医師が処方する保険適用「ニコチン依存症治療アプリ」など研究開発のCureAppが21億円調達

医師が処方する保険適用「ニコチン依存症治療アプリ」など研究開発のCureAppが21億円調達

CureApp(キュア・アップ)は3月12日、第三者割当増資および融資による約21億円の資金調達を発表した。引受先は、ジャパン・コインベスト3号投資事業有限責任組合や既存株主をはじめとする10社。借入先は商工組合中央金庫。累計調達額は約64億円となった。

調達した資金により、2020年より販売を開始したニコチン依存症治療アプリの社会浸透をさらに促進する。また、現在治験中の高血圧治療アプリ、臨床試験中のNASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリ、アルコール依存症治療アプリとがん患者支援治療アプリの研究開発や薬事手続、その他新規領域におけるパイプライン拡大を加速させる。

健康保険組合や企業、自治体を主な顧客とする民間向けヘルスケア事業に関しても、引き続き拡大を目指すとしている。

CureApp「治療アプリ」の現在の状況

  • ニコチン依存症治療アプリ:慶應義塾大学医学部呼吸器内科との共同開発。2019年5月、日本初となる治療用アプリの大規模RCT(ランダム化比較試験)を終了。2020年8月に薬事承認を取得、同年12月に保険適用を受け禁煙外来での処方開始
  • 高血圧治療アプリ:自治医科大学循環器内科学部門との共同開発。2019年12月より治験を開始。2021年中の薬事申請を予定
  • NASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリ:東京大学医学部附属病院との共同研究。2016年10月より臨床研究、2018年4月より多施設での臨床試験を開始
  • アルコール依存症治療アプリ:国立病院機構 久里浜医療センターと2020年6月より臨床研究を開始
  • がん患者支援治療アプリ:第一三共と2020年11月より共同開発を開始

2014年7月設立のCureAppは、アプリそのものが病気を治療する治療法(デジタル療法)として「治療アプリ」の研究開発・販売を行っているスタートアップ。2020年8月には国内初の治療用アプリ「CureApp SC」の薬事承認、2020年12月に保険適用を受けた。すでに、医療機関において治療アプリを用いたデジタル療法が開始されているという。

また現在、4疾患を対象に治療アプリの研究開発を進め、これら医療機関向け「治療アプリ」の開発で蓄積した知見を活用した民間法人向けモバイルヘルスプログラム「ascure卒煙プログラム」も提供している。「日本発のデジタルヘルスソリューション」として、順次グローバルにも展開予定という。

ascure卒煙プログラムでは、医師開発アプリと医療資格を有する禁煙指導員のオンラインカウンセリングを組み合わせ、6カ月に渡って禁煙支援を提供。2017年4月の提供開始以来200超の法人で導入が進んでいるほか、特定保健指導に対応したプログラムも提供している。

治療用アプリは、海外ではDTx(Digital Therapeutics。デジタルセラピューティクス)と呼ばれ、従来の治療法では治療が難しかった疾患を治す可能性を秘めた最新治療として、国内外で研究開発を進められているという。

DTxは、医薬品と比べても遜色のない治療効果を有し、開発コストの低さ、スマートフォンを持っていれば誰でも平等に受けられるという特徴がある。

関連記事
AIによる頭髪診断・対策支援から専門家への相談まで可能な国内初のAGA・男性型脱毛症アプリHIXが4000万円調達
ガーミンがスマートウォッチ連動の「Garmin Connect」アプリに「妊娠トラッキング」機能追加
腕に貼ったセンサーにスマホをかざすだけで血糖値を確認できる「FreeStyleリブレLink」アプリ
妊産婦のオンライン診療で安心安全な出産を目指すメロディ・インターナショナルが1.6億円調達
慶應病院が全国のApple Watchユーザーを対象とする睡眠中・安静時の脈拍に関する臨床研究開始
自社開発のウェアラブルセンサーによる体温の研究・解析を目指すHERBIOが1.2億円を調達
日本初の薬事承認を目指す「治療アプリ」のキュア・アップが15億円を資金調達
「治療アプリ」開発のキュア・アップ、Beyond Nextなどから3.8億円の資金調達
ニコチン依存症の治療アプリを開発するキュア・アップが1億円を調達

カテゴリー:ヘルステック
タグ:アプリ / モバイルアプリ(用語)医療(用語)CureApp(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。