医療へのアクセスは、自宅検査サービスから始める方法もある

ScanaduCorなど、多くの自宅検査システムが今もFDA(食品医薬品局)の認可を待っている。一方、簡単な検査であれば自宅で採取した検体を検査機関に送ることで実施できる。数多くのスタートアップが、STD(性感染症)や食物アレルギーの検査サービスを提供している。

テキサス州オースチン拠点の自宅用検査システムのスタートアップ(TechCrunch Disruptのバトルフィールド参加企業でもある)、Everlywellは、検査を低価格で誰もが使えるようにすることを目標にしている。2年前にデビューして以来短期間に大きく成長した。ファウンダーのJulia Cheekは本誌に、現在Everywellは数百万ドルの売り上げを生み、米国の46州に出荷していると話した。最近の発表によると、200万ドルのシード資金を獲得し、計500万ドルとなった資金をサービス拡大に役立てている。

これまでにEverywellは、食物アレルギー、甲状腺、代謝の検査や受胎能検査など8種類の検査サービスを提供しており、それぞれの機能の状況を正確に把握できるようにしてきた。

MyLabBoxというスタートアップは、自宅など自分の都合に合わせて使用できる様々なSTD検査を提供している。費用は保険が適用されないと(自宅検査は殆どが対象にならない)高く感じるかもしれないが、FSA/HSAなどの医療費積立制度の払戻しを受けられる場合もある。

アメリカの医療保険をどうするかについては議論が続いているが、こうしたスタートアップは医療産業に新たな分野を拓くものであり、非正規雇用者など健康保険に加入していないことの多い人たちが少ない費用で医療を受けられるために役立つだろう。

手順はは実に簡単だ。オンラインで注文すると検査キットが郵送されてくる。検査の種類によって血液または唾液の試料を採取し、指示にしたがって検査機関に郵送する。

この種のスタートアップのアイデアは、苦境に立たされている血液検査会社、Theranosがかつて目指していたものと似ている部分もある。Theranosは設立当初、一滴の血液で数百種類の病気の検査が可能だという大きな約束を掲げた。しかし、結果を知るためにはWalgreenの提携検査に行く必要があった。

最近の検査スタートアップは、自分で採取した検体を第三者の検査機関で正確に測定する方法を提供している。こうした検査は、医者に行くかどうかを決める前に結果を知りたいという人たちにも適した方法といえる。あなたは性感染症にかかっている、と言われるかもしれない人と対面することは大きな恐怖だ。

どちらのスタートアップも検査結果の正確性を約束している。私はEverlwellで食物アレルギーの検査をして、腹痛の原因となる食物を識別するのに役立った ―― 原因の一つはグリーンピースだったが、検査の前には思いもよらなかった。

私自身、医療へのアクセスが良好とはいえない状態だが(これも問題だが別の機会に)、数多く出てきた新たな医療スタートアップは、保険料を支払うことなく自分の体の中で起きていることを知る安定した方法を提供してくれるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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