各国政府からのGoogleコンテンツ削除要請は1年でほぼ倍増

政府というものは、民主的な政府ですら、つねに透明性を重んじるとは限らない。Googleの最新のトランスパレンシーレポートによれば、“Googleの各種サービスのコンテンツを検閲しようとする各国政府の試みは増加し”、2012年の後半には前年(2011年)同期比で倍増した(削除要請件数1054から2285へ)。2012年後半における要請件数の最多はブラジルの697件、次位合衆国が321件だった。


[09年以外は前半と後半]

Googleによれば、ブラジルが多いのは政府や政治家に対する批判を禁じる法律があるからだそうだ。アメリカと違ってブラジルでは、選挙期間中に候補者の名誉を毀損した選挙運動は弾圧される。市長候補を攻撃しているYouTubeビデオを政府の命令に従って取り去らなかったら、Google Brazilのトップは逮捕され、Googleのすべてのプロダクトが完全に閉鎖されるところだった。

Googleは儀礼的な言葉遣いで次のように述べている: “ブラジルの憲法は表現の自由を保証しているので、コンテンツも保護されるはずである。そこで弊社はこれらの裁判の多くを上訴している”。

合衆国政府(警察、裁判所など)も、削除の要請では負けていない。Googleはそれらを具体的に明かすことはできないが、要請の中には地方自治体からの過剰反応と思われるものもある。“ある自治体は、学校の校長の名誉を毀損しているとしてYouTubeビデオの削除を要請してきた”、とGoogleの広報担当は語った。

Googleは削除要請のわずか45%にしか応じていない。要請の形式が不備だったり、Googleのサービス規約に違反している場合(強権的で頭ごなしの削除要求など)は、要請に応じていない。

たぶんいちばん心配なのは、強権国家ロシアからの要請が増えていることだ。同国は最近、児童ポルノや自殺の奨励など、悪質なコンテンツを取り締まるための適用範囲の広い検閲法を制定した。ロシアからの要請の大半(114中107)は、この法律を引証している。The New York Timesの記事によると、この法律は今のところ本当に悪質なコンテンツだけを対象にしているが、政府を監視している団体などは政治的な検閲に悪用されることを懸念している。

トランスパレンシーレポートの本体はここにある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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