各生徒へ最適な問題を提案するAIタブレット学習教材「Qubena」、提供元が6億円を調達

人工知能型タブレット教材「Qubena(キュビナ)」を開発するCOMPASSは4月13日、複数の投資家を引受先とした第三者割当増資により総額6億円を調達したことを明らかにした。

今回のラウンドには伊藤忠テクノロジーベンチャーズ新生企業投資加賀電子といったVCと事業会社に加え、個人投資家として本城慎之介氏と髙濱正伸氏が参加している。本城氏は楽天の共同創業者であり、現在は2016年に設立した軽井沢風越学園準備財団の理事長を務める人物。髙濱氏はこれまで学習塾「花まる学習会」や進学塾「スクール FC」を設立、現在は算数オリンピック委員会の理事も担う。なお本城氏については、今回COMPASSの社外取締役にも就任している。

COMPASSは2015年6月にインフィニティ・ベンチャー・パートナーズと個人投資家から4000万円、2017年3月に7人の個人投資家から2.2億円を調達。今回調達した6億円も含め、累計の調達額は8.6億円となった。

COMPASSが手がけるQubenaでは、生徒が入力した回答データやそれに至るまでの操作ログ、計算過程を解析。つまずく原因を特定し、各生徒に適切な問題へ自動的に誘導することで効果的な学習をサポートする。これにより同社が運営する学習塾では、中学校数学の1学年分の学習範囲を平均3か月(32 時間)で修了するといった効果もでているそうだ。

現在は小学生〜中学生の「算数・数学」に特化していて、学習塾への導入や提携を推進。たとえば北海道を中心に学習塾を展開する練成会グループでは今月から全校導入が決まっているなど、「具体的な数字は明かせないが、万単位のアカウントが動くことになる」(COMPASS担当者)という。

小中に関してはオリジナルの教材を提供している一方で、高校数学の学習教材についても河合塾と共同で開発中。また直近ではB2Cのサービスとして、Qubenaをベースとしたオンライン家庭教師サービス「Qubena Wiz」も始めている。

今回の資金調達を踏まえ、COMPASSではQubenaのコンテンツ拡充や新たな教科・教材の開発を加速させるほか、新規事業への積極的参入などを視野に入れて事業拡大や人材採用を強化するという。

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TechCrunch Japan

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