合衆国国防総省は兵士のバイオメトリックス(身体情報収集)に消費者向けスマホを利用

スマートフォンは世界中のポケットや財布を侵略しているが、しかしAOptixはもうすぐ、それらのモバイルデバイスを遠方の交戦地帯に持ち込むかもしれない。カリフォルニア州Campbellの同社が、政府系ITパートナーCACIと共同で今朝(米国時間2/13)発表したところによると、同社は“スマートモバイルアイデンティティ”なるものを実現するための研究開発を、合衆国国防総省から300万ドルで受託した。

同社のプレスリリースは技術の詳細を明らかにしていないが、Wired誌に詳しい記事がある。その大きな目標は、市販のスマートフォンを利用した一種のアクセサリで、それが高精度なバイオメトリックデータを捕捉する。たとえば親指の指紋、顔や目のスキャン、録音された声、など。

ちょっと話を聞いただけでは、それほど画期的な研究開発テーマとは思えない。スマートフォン自身が数年前に比べて格段に強力になっているし、その傾向はこれからもますます続くだろう。だから近い将来は、スマートフォンと外部センサー群の組み合わせから継続的に大量のデータを送れる、と考えても無理ではない。しかも同社がWired誌に語っているところによると、今のスマートフォンを自分でも持って使っている兵士なら誰でもすぐに使えるような、“直感的なインタフェイス”をそのバイオメトリックシステムは備えるという。

AOptix社はモバイルのプラットホームを特定していないが、おそらくセンサーデバイスとAndroidデバイスを一体化したような最終製品になるのだろう。合衆国国防総省とGoogleのモバイルOSは、互いに他人の関係ではない。2011年の終わりごろには、DellのAndroidタブレットStreak 5 を、政府は公式に採用した。最近国防総省は、iPhoneがペンタゴンで広く使われていることを率直に認めたが、軍用の大量調達品ではコストの点からいっても、iPhoneは無理、Androidで行く、と考えるのが自然だ。コストだけでなく、Androidは開発面でもきわめてオープンなアーキテクチャだから、その点でも有利だ。

しかし、Androidスマートフォンという消費者製品を利用する兵士用バイオメトリックアクセサリ、という考え自体は、ちょっとおどろきだ。しばらく前から‘ITの消費者化’が流行語になっているが、その流れで、これからは‘軍用情報技術の消費者化’が進むのかもしれない。今年のCTIA MobileConカンファレンスでCIO副官Robert Wheeler少佐が、国防総省のモバイル戦略には、既存の問題に革新的なマスマーケット向け技術を利用することも含まれる、と言った。だから今回のAOptixのお話は、今後の長期的な傾向の端緒、にすぎないのだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))