名刺管理のEightが記事の「シェアボタン」を提供へ、ビジネスSNSに向けて一歩前進

eight

ニュース記事を読んでそれを誰かにシェアしようと考えた時、例えばFacebookとTwitterでもシェアする内容もシェアしたいと思う相手も違うだろう。個人的な内容やプライベートで友達と楽しむ内容であればFacebookやTwitterで十分だろうが、仕事の内容であればまた話は違ってくる。それらのSNSでは、仕事上の付き合いがある人とはつながっていなかったり、シェアしたい内容が他のプライベートな投稿に紛れてしまったりしてしまう。そこで名刺管理アプリEightは、インターネット上の記事を仕事で関連のある人と簡単にシェアできるようにする。本日Eightは、外部サイト向けの「シェアボタン」をリリースしたことを発表した。

そもそもSansanが展開する名刺管理アプリEightは、名刺の写真を撮影してアップロードすると、アプリ内で情報が閲覧できるようにデータ化するサービスだ。登録が完了した名刺は一覧画面で確認、あるいは検索画面から会社名、個人名、肩書などから見つけ出すことができる。

Eightにはこのビジネスパーソンのつながりを活用したSNSの側面を併せ持っている。Eightアプリのトップ画面では自分の仕事上の近況を投稿したり、ネットワーク上のユーザーの近況を閲覧したりすることができる。今回の外部サイト向け「シェアボタン」の提供でEightはこのSNS部分の活性化を狙っている。

今日からビジネス情報のウェブメディア「日経ビジネスオンライン」、イベントの告知や参加者管理ができる「EventRegist」、企業や団体用のプレスリリース配信サービス「PR Table」が先行してシェアボタンを導入している。

nikkei share button

日経ビジネスオンラインのシェアボタン

 

Eightは、本日の日経ビジネスオンラインのサイトリニューアルを合わせてシェアボタンをリリースした。日経ビジネスオンラインはこのリニューアルに伴ない、Eightの他にもビジネスコミュニケーションツール「チャットワーク」の「チャットワークでシェア」ボタン、さらに社内SNSの「Talknote」のシェアボタンも実装している。チャットワークとTalknoteのシェアボタンは会員限定機能のようだ。

Eightはシェアボタンを設置するサイト側のメリットとして、FacebookやTwitterでのシェアとは違い、記事がプライベートな投稿に紛れず、ビジネス情報を求めているユーザーの目に触れること、また新規読者の開発につながることを挙げている。シェアボタンは全ての外部サイトに開放しているのではなく、あくまでEightが許可したメディアのみが設置可能ということだ。

海外ではビジネスパーソン向けSNSのLinkedInがシェアボタンを提供していて、英語版TechCrunchを含め、多くの海外メディアもシェアボタンを実装している。LinkedInは「ビジネスに特化したネットワーク」として確立することで、他のSNSとの住み分けができ、それが成功につながったと言える。LinkedInは履歴書/職務経歴書がネットワークを作る上での最初の切り口だった。Eightは名刺であり、チャットワークはビジネスチャット、Talknoteは社内SNSをそれぞれビジネスネットワークを構築する切り口にしている。また、ビジネス情報の共有という観点からはNewspicks、採用から個人の仕事のプロフィールに移行しているWantedlyなんかも、ビジネス向けネットワークに近い立場にあると言えるだろう。今はまだ最終的にどのサービスが日本のビジネスSNSを制することになるかは分からないが、日本のビジネス慣習に則し、最先端技術に慣れ親しんでいないユーザーをも取り込む施策を打ち続けることが成功への近道になるのかもしれない。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。