問題解決のためのプロダクトデザインを実践する


編集部記Ashish Krishnaは、Crunch Networkのコントリビューターである。また、彼はMammothの共同ファウンダーでデザイナーを務めている。
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私はデザインとスタートアップが大好きだ。この2つの要素が出会う時、魔法のように素晴らしい企業が誕生すると考えている。例えば、Braun、 Apple、 Airbnb、 Medium、 YouTube、 SquareやNestなどだ。ビジネスとデザインと技術的なスキルの適正量が組み合わさることで、これらの企業は大成功を収めることができた。

しかし、多くの人はデザインにまつわる多様な基本要素やフレームワークに惑わされ、デザインを必要以上に複雑に考えているように思う。デザインはシンプルで、工程は反復できるものであり、スタートアップが重要視すべきものだ。Mammothでは、デザインは考える方法であり、問題を解決するためのクリエイティブな手段だと考えている。ユーザーの共感を得たり、構造化されていないチャンスを表面化する手段であるとも考えている。私たちの実践しているアプローチは以下の通りだ。

プロセス、スペック、美しい表現というものにとらわれ過ぎないこと。
市場に素早く適応し、学習して構築するスピード感が重要だ。Photoshopで製作したモックや文書がピクセル一つ一つまで完璧である必要はない。完璧を求めるべきものは、ユーザーに届けるプロダクトであってモックアップではない。最終的にユーザーはPhotoshopの単独のファイルではなく、プロダクトを見ることになる。スペックや製品は重要だが、エクスペリエンスをデザインすることに集中すべきだ。

画面ではなく、ストーリーをデザインする。
デザイナーは画面のデザインを依頼されることが多いだろう。例えば、サインアップした直後のページ、サインアップのフロー、レファラル機能の画面などだ。デザイナーとしては、それらを個別の画面で考えるのではなく、ストーリーとして捉えることが重要だ。ストーリーには、登場人物や文脈や感情がある。ユーザーの全体のサービスにおける旅路を考えることだ。ユーザーの目標を達成すること(初めて来たユーザーから何回も訪れるようになるユーザーになるまで、とも言える)を考え、サインアップさせるというような目的だけにとらわれないことだ。

仮説を持ってデザインをする。
学習し、数字でデザインするということだ。スタートアップを運営しているのなら、立ち上げ当初、必ずユーザーの問題を理解し共感していて、それを解決する重要な仮説を立てたはずだ。多くの大企業とは違い、スタートアップではデザイナーと開発チームはマイルストーンに合わせてプロダクトを製作するのではない。スタートアップのデザイナーは毎日プロダクトを製作してユーザーに届けるものであるという意識で仕事をすべきだろう。

仮説を検証するために何を測るかを把握しておくことだ。Mixpanel、Heap、Google Analyticsといったアナリティクスツールを試し、ユーザーにとって今のデザインがどのように受け取られているのかを検証する。パフォーマンスを分析し、当初の仮説と比較し、考察を深めよう。何が起きているのかを探り、そこから学び、ユーザーにプロダクトを製作して届けるというプロセスを何回も繰り返していくことだ。

Facebookでプロダクトデザインのディレクターを務めるJulie Zhoが投稿した 洞察に富んだ記事では、良いデザイナーと経験を積んだデザイナーのデザインプロセスの違いを図で表している。スタートアップでプロダクトをリリースした後のプロセスこそ、デザインの仕事の難しさがあることを表現している見事な記事だ。重要なのは反復学習することだ。

グループでデザインをするのではなく、グループの意見を鑑みたデザインをすること。
UXのサイクルの中で、プロダクトや機能開発のチームと連携することは重要だ。しかし、自分で最終的に決定することを忘れないことだ。グループでデザインしたプロダクトデザインに良いものはない。全員の意見を聞き、それぞれの考え方を尊重しつつ、そこから得られた洞察をもってデザインすることに意味がある。

開発者は盟友だ。
デザイナーと開発者は、互いがいなければ成立しない。開発者がモックに命を吹き込むことで、機能やプロトタイプが実現する。開発者が好きな飲物とドーナッツを差し入れ、魔法をまとった製品を協力して作り出せる良い関係を築こう。

カスタマーサポートの一端を担う。
カスタマーサポートのリーダーを務めるのは更に良い。ソーシャルメディアやサポートフォーラムでユーザーと毎日話すことになる。何をすべきか、あるいは何をすべきではないかという理解が深まるだろう。文脈に沿った調査や研究室での実験ほどの効果は得られないかもしれないが、何が上手くいっていて、何が上手くいっていないか、そしてユーザーがプロダクトに何を求めているかが良く分かるようになる。

鉛筆やペンをもっと使うこと。
Sketch、PhotoshopやHTML/CSSに直行しないことだ。デジタルツールをいかに使いこなしていたとしても、ペンで書いた方が5倍は早いだろう。ペンでのスケッチの方が安いし、フィードバックが得やすく、何度でも試すことができる。

学習(いつでも、どんな時でも)
アナリティクスツール、Git、HTML、CSS、といつもはそこまで重要視していない左脳用の合理的なツールは、スタートアップにとって、とても重要なものだ。開発、検証、プロダクトを科学的に検証するチーム(もしあれば)と連携するなど、自分から積極的に動いて学ぶことだ。大きな組織で働いているのなら、一つの分野に特化するのも良いだろう。しかし、スタートアップのデザイナーには、デザイン以上のことも多く求められる。自らがプロダクトマネージャーになったり、フロントエンド開発を行ったり、カスタマーサポートを先導したりすることは、会社にとっても、そして自分にとっても価値があることだろう。

自分と周りの人たちを大切にすること。
スタートアップでの仕事は大変なことも多い。時には子供と遊んで笑ったり、パートナーや伴侶とディナーに出かけたり、ちょっとした時間にテニスで身体を動かしたり、ワインを飲んだりしよう。デザインを楽しもう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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