在宅検査キットのEverlywellがヘルスケア企業を買収、親会社Everly Healthを設立し事業範囲を拡大

オースティンを拠点とする在宅検査キットのスタートアップEverlywell(エヴァリーウェル)は、2社の買収と、同社のCEO兼共同創業者であるJulia Cheek(ジュリア・チーク)氏が率いる新しい親会社の設立により、その活動範囲を大幅に拡大することになった。新会社はEverly Healthと呼ばれ、今後、在宅検査キットや健康教育、米国全土の臨床医ネットワークを通じた集団規模の検査、テレヘルス、支払者が自己負担する / 企業レベルの自己採取検査などのサービスを提供していく。

これは、2015年に設立されたEverlywellにとって大きな動きだ(同社は2016年、TechCrunchのDisrupt SF Battlefieldでファイナリストに選ばれている)。同社は着実に提供内容を反復しており、家庭での検査を不妊治療製品から食品の過敏症やアレルギーにまで拡大し、2020年は在宅新型コロナウイルス(COVID-19)検査も開始した。

これからEverly Healthの事業は、そのような家庭でのコンシューマー向け診断や個人の健康教育だけでなく、Everly Health SolutionsとリブランドされるPWNHealthが持っている、米国内のヘルスプラン、雇用者、ラボなどとの数多くの関係を含むことになる。

実はEverlywellはPWNHealthの長年のパートナーであり、今回の買収は両社にとって非常に理に適っていたと、チーク氏は筆者に語ってくれた。両社は何年も前から提携しており、新型コロナのパンデミックをきっかけに、その協力関係はさらに深まったという。

「2020年、当社はさまざまな企業とのパートナーシップを通じてソリューションを提供していました。その経緯から、両社の文化は非常によく一致しており、チームは緊密に協力し合えるとわかっていました」と同氏は語った。「私たちはともに人々を助け、命を救うという緊急の必要性を感じていただけでなく、診断を基盤とした、消費者の手に届きやすい、有効なケアに関する領域を共有しています」。

チーク氏によると、より包括的なケアを提供するために必要なパズルのピースを獲得するという決断は、パンデミックに後押しされた部分もあるが、実際にはコロナ禍以前からEverlywellが見始めていたことを単に加速させたものだったという。2020年12月に調達した1億7500万ドル(約192億円)の新資本により、Everlywellは、この瞬間を最大限に活用するために大胆な行動を取ることが可能な状態にあった。

「パンデミック前はもちろんのこと、特にパンデミック中、そしてパンデミック後に向けても、消費者が使いやすい検査サービスへのニーズが急速に高まっていることを実感しています」と同氏はいう。「当社のビジネスは、通常の診察が再開されてからも飛躍的な成長を続けており、300%という伸びを見せています。パンデミック以降、医療は大きな転換期を迎えていると思うので、この分野の成長に合わせて、フルサービスの診断ソリューションを提供できるようにするにはどうしたらよいか、と考えました。つまり、Everlywellは消費者向けのブランドであると同時に、企業レベルの在宅検査やさらに幅広い消費者向けの診断に対する大きなニーズを満たす企業になるのです」。

Everly Health SolutionsはEverlywellと競合すると考えられる多くの顧客にもサービスを提供しているため、今回の買収はEverly Healthのビジネスに複雑さをもたらす。チーク氏は、両事業ともHIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)基準に準拠したセキュリティとデータ保全の実績があることを指摘し、反競争的な行為の可能性がないことを保証するために、Everly Health Solutionsに「完全なデータの独立性」をもたらす厳格なファイアウォールを設定していると述べている。

しかし両社はカスタマーエクスペリエンス、デザイン、製品に関するリソースを共有し、高品質なカスタマーエンゲージメントに焦点を当てた統一ブランドを構築する計画だという。

Everly Healthは今回の取引の財務詳細を開示していないが、PWNHealthのCEOであるSanjay Pingle(サンジャイ・ピングル)氏が当面の間、統合会社で過渡的な役割を担い、Everly Healthの取締役を務めることを明らかにした。また、PWNHealthに出資しているSpectrum EquityおよびBlue Cross/Blue ShieldのコーポレートVCであるBlue Venture Fundは、Everly Healthの株式を保有することになる。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Everlywell買収

画像クレジット:Everlywell

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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