地方企業の人材不足解消を目指し、groovesが地銀系VCらから2億円を調達

IT系人材サービスを展開するgroovesは地方企業と全国の人材を結びつけることで地方創生を加速させたい考えだ。groovesは本日、広島ベンチャーキャピタル大分ベンチャーキャピタルと連携し、各地域の企業における人材採用支援を行うと発表した。同時に広島ベンチャーキャピタル、大分ベンチャーキャピタル、ヒトメディアと日本たばこ産業株式会社(JT)の合弁会社であるヒトトキインキュベーターインスパイアヒトメディアを引受先として、総額2億円の第三者割当増資も発表している。

groovesは2004年3月に創業した会社で池見幸浩氏が代表取締役を務めている。2011年11月にサイバーエージェント・ベンチャーズから資金調達を行い(金額非公開)、2012年4月には日本ベンチャーキャピタルから6000万円の資金調達を決定している。2014年12月にはエクイティと一部デットファイナンスで総額2.2億円を調達した。

groovesはITエンジニアに特化したキャリア支援サービス「forkwell」企業の人事と人材紹介会社をつなぐプラットフォーム「Crowd Agent(クラウドエージェント)」といったサービスを展開している。今回の広島ベンチャーキャピタル、大分ベンチャーキャピタルとの連携では、このクラウドエージェントのプラットフォームで彼らの有する優良企業の求人ニーズと全国の人材紹介会社を結びつけ、都道府県を超えた人材の流動化を目指すという。

クラウドエージェントについて説明すると、これは人材採用を行いたい企業がクラウドエージェントに登録する全国の人材紹介エージェントに求人を依頼できるサービスだ。昨今、ダイレクトリクルーティングやアルゴリズムによる求職者と求人をマッチングするサービスが増えている中、「世間の流れとは逆行しますが、クラウドエージェントはキャリアコンサルタントの価値と可能性を信じているサービスです」と池見氏は言う。

groovesでも「grooves HRTech 研究所」を立ち上げ、求職者の経歴を標準化し、アルゴリズムで求人情報とマッチングする研究を行ってきた。その結果、求職者に最適案な求人をマッチングすることはすでにできるけれど、テキストや文面だけではその仕事が求職者にとって価値があるということが伝わりづらいのだという。「信頼のおけるキャリアコンサルタントが求職者にその求人を魅力をわくわくするようなストーリーで伝えることで求職者の気持ちが動きます」と池見氏は説明する。

特に地方に移る仕事の場合、求職者にとってたとえそれがどんなにキャリアに良い仕事であったとしても、引っ越しや年収のことを考えると転職のハードルが高いと感じるだろう。そこに信頼するキャリアコンサルタントから、数年先のキャリアを見据えた提案があれば心が動くと池見氏は説明する。

クラウドエージェントでもまだ地方への転職件数は多くないが、地方にも優良企業はあり、例えば海外営業職や管理職など、東京では年齢や職歴の条件が厳しいものでも地方でなら採用が決まる場合もあるという。一方の求職者側にも親の介護や実家の相続、配偶者の転勤などでIターンやUターンを希望する求職者のニーズもある。クラウドエージェントでは、そうした企業の求人と全国の人材紹介社を通じて適切な求職者をマッチングしたい考えだ。現在、クラウドエージェントには独立系人材エージェント約450社、1000人のキャリアコンサルタントが登録し、利用企業は3000社以上になったという。

今回調達した資金は、クラウドエージェントのシステムの強化と営業開拓に充てる予定だという。また、将来的には海外展開も視野に入れていて、そのために商標や特許取得などの知財戦略に投資していく計画だと池見氏は話している。

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TechCrunch Japan

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