多拠点住み放題「ADDress」が社会的インパクト投資として資金調達、逗子・習志野などに拠点をオープン

月額住み放題の多拠点居住プラットフォーム「ADDress」を運営するアドレスは1月31日、社会変革推進財団リノべるアイティーファームを引受先とする増資と、日本政策金融公庫からの融資による資金調達の実施を明らかにした。金額は非公開。今回の調達は、2019年にJR東日本スタートアップほかを引受先として実施したシリーズAのエクステンションラウンドに当たり、ラウンドは継続中ということだ。

ADDressは月額4万円からの定額で、全国の拠点に自由に住める多拠点コリビング(Co-living)サービスだ。個室を確保しながら、シェアハウスのようにリビングやキッチンなどを共有。空き家や空き別荘のオーナーと契約することで、遊休不動産の活用とコスト抑制を図っている。

今年1月には、初のホテル提携拠点としてJR東日本ホテルズが運営する群馬県みなかみ町の「ホテルファミリーオ みなかみ」、初の旅館拠点として長野県山ノ内町の「志賀高原幸の湯」をオープン。ほか栃木県益子町や逗子、茂原、習志野、千倉、大網白里、一宮にも拠点をオープンした。今後も拠点を増やし、4月までに45拠点展開を予定しているという。

また月額制のホステル泊まり放題サービス「Hostel Life」を運営するLittle Japanとの提携により、月額プラス1万円でホステルパスサービスが利用できる実証実験も2月1日より開始することになっている。

ADDressは「住まい」だけでなく、「移動手段」との連携も行うことで、多拠点を回遊するライフスタイルの拡大を図ろうとしている。目的は、人口減少によって発声する空き家増加などの課題を背景に、多拠点居住を通じて都市と地方の人口をシェアし、関係人口の増加・地域活性化を進めることだ。そのために同社は、移動の定額化、国内のMaaS経済圏の実現も図ろうとしている。

具体的には、ANAホールディングスとの連携により、本日から航空券サブスクリプションサービスの実証実験を開始。ADDress会員は月額プラス3万円で、ANA国内線の指定便について、月に2往復することができるようになった。

今回の資金調達でアドレスは「今後、多拠点コリビングサービスを広げるとともに、全国で進行する人口減少や空き家の増加、都市部への人口集中等の社会課題解決に向けて関係人口を創出し、社会的インパクトの創出を目指す」としている。

出資者とは一部、事業連携も進める予定だ。社会変革推進財団は、インパクト評価の知見やネットワークを生かして、ADDressの社会的インパクトの可視化を支援する。

リノベるは、リノベーションのノウハウや不動産会社・金融ネットワークを生かして、空き家活用のパートナーとしてアドレスと協業。またリノベるで住宅設計・施行してきたオーナーへ、ADDressによる多拠点生活の利用を推進していく。2月下旬以降は、空き家を活用したい戸建オーナー向けに、ADDress拠点とリノベるの戸建てリノベーションを共同で案内するセミナーなども順次展開していく予定だ。

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TechCrunch Japan

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