多数の著名投資家が支援するカーボンオフセットマーケットPachamaが約16億円調達

世界の森林の復元と保全は、大気中の温室効果ガスを減らす最も簡単でコストも安く、シンプルな方法の1つだと長い間考えられてきた。

脱炭素、あるいは事業から排出される炭素の相殺に向けた長い道のりにおいて、簡単な最初のステップを模索している企業にとっては圧倒的に人気の手法だ。しかしこのところ、Bloombergの爆弾のような報道のおかげで、数多くの森林オフセットの効率、妥当性、そして信頼性には疑問の目が向けられてきた。

森林カーボンクレジットのためのマーケットプレイスを構築しているPachama(パチャマ)の財務を投資家が補強することになったというのは、この不確実な背景に反するものだ。このマーケットプレイスについて同社は、衛星画像と機械学習テクノロジーのおかげで透明性があり、検証可能だと話す。

そうした主張は新規ラウンドで1500万ドル(約16億円)をもたらした。共同調達した資金はプロダクト開発とマーケットプレイスの拡大に使われる、と創業者でCEOのDiego Saez Gil(ディエゴ・サエズ・ギル)氏は話した。

わずか1年前に創業されたPachamaは著名な顧客や投資家を獲得してきた。(Amazonがどれくらいマイナスの影響を地球に及ぼしたか考えると)他ならぬJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が、役職を間もなく離れるCEOとして株主に宛てた手紙でPachamaに言及した。南米最大のeコマース企業Mercado Libreは持続可能性に向けた広範な取り組みの一環として80万ドル(約8700万円)のオフセットプロジェクトの管理でPachamaを選んだ。

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AmazonのClimate Pledge Fundは最新ラウンドに出資している。この最新ラウンドはBill Gates(ビル・ゲイツ)氏の投資部門Breakthrough Energy Venturesがリードした。他の投資家にはLowercarbon Capital(Uberへの投資で成功したエンジェル投資家のChris Sacca[クリス・サッカ]氏の気候専門のファンド)、元Uber幹部Ryan Graves(ライアン・グレーブズ)氏のSaltwater、MCJ Collectiveが、そして新規投資家としてTim O’Reilly(ティム・オライリー)氏のOATV、Ram Fhiram(ラム・フィラム)氏、Joe Gebbia(ジョー・ゲビア)氏、Marcos Galperin(マルコス・ガルペリン)氏、NBAスターのManu Ginobili(マヌ・ジノビリ)氏、James Beshara(ジェームズ・ベシャラ)氏、Fabrice Grinda(ファブリス・グリンダ)氏、Sahil Lavignia(サヒール・ラヴィニア)氏、Tomi Pierucci(トミ・ピエルッチ)氏がいる。

これは同社の投資家のフルリストではない。Pachamaの成功の理由はGoogle、Facebook、SpaceX、Tesla、OpenAI、Microsoft、Impossible Foods、Orbital Insightsなどの企業からトップの人材を引きつける能力と併せて、十分に理解された森林オフセットマーケットに気候ミッションを適用していることだ、とサエズ・ギル氏は話した。

「自然の回復は気候変動の最も重要なソリューションの1つです。森林、海洋、その他のエコシステムは膨大な量の二酸化炭素を大気から隔離するだけでなく、多様な生物に重要な生息地を提供し、世界中のコミュニティの暮らしの源です。当社は誠実さ、透明性、そして効率性をもって資金をこうしたエコシステム回復と保全に振り分けられるようにするのに必要なテクノロジーを構築しています」とサエズ・ギル氏は説明した。「我々のミッションを信じ、長期的に成長を喜んで支えようという気持ちを示している、信じられないような投資家のグループからサポートを得ることができ、名誉に思うと同時に興奮しています」。

南米以外の顧客もまたPachamaのオフセットマーケットプレイスへのアクセスを求めている。Microsoft、Shopify、SoftBankも有料の顧客だ。

これはY Combinator、Social Capital、Tobi Lutke、Serena Williams、Aglaé Ventures (LVMHのテック投資部門)、Paul Graham(ポール・グレアム)氏、AirAngels、Global Founders、ThirdKind Ventures、Sweet Capital、Xplorer Capital、Scott Belsky(スコット・ベルスキー)氏、Tim Schumacher(ティム・シューマッハ)氏、Gustaf Alstromer(グスタフ・アルストロマー)氏、Facundo Garreton(ファクンド・ガレトン)氏、Terrence Rohan(テレンス・ローハン)氏が、Pachamaの2020年の創業以来の調達資金2400万ドル(約26億円)の支援を約束できたもう1つの理由だ。

「Pachamaは大気から二酸化炭素を取り除く自然の潜在能力をフルに引き出すべく取り組んでいます」とBreakthrough Energy VenturesのCarmichael Roberts(カーマイケル・ロバーツ)氏は声明で述べた。「Pachamaのテクノロジーベースのアプローチは、インパクトのあるカーボンニュートラルイニシアチブを認証、モニター、測定するための森林分析に機械学習モデルを使うことで巨大な相乗効果を生み出します。Pachamaのチームが短期間に成し遂げた成果に感銘を受け、彼らのユニークなソリューションをグローバル展開するために協業することを楽しみにしています」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Pachamaカーボンオフセット資金調達二酸化炭素

画像クレジット:Thomas Jackson / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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