大手出身のベテランが集まった新進ゲームスタジオMountaintopが友人と家族から5.8億円調達

複数の大手ゲーム企業から集まったベテランのスーパーグループが創設したゲーム開発スタジオMountaintop(マウンテントップ)は、友人や家族からのシード投資550万ドル(約5億8000万円)を調達し、最初のタイトルはPvPシューターになると発表した。

同社は2020年夏、Oculus(オキュラス)の共同創設者Nate Mitchell(ネイト・ミッチェル)氏の下にゲーム業界の大物たちが集まり、自分たちで一発当てようと立ち上げられた。大手パブリッシャーや開発業者では広く常態化され、頻繁に目撃される(または報道される)クランチ(徹夜作業を強要する過酷な開発環境)と有害な文化から逃れて、独立したスタジオを作ろうというのが彼らの主旨だ。

独立とは、大手パブリッシャーからの手当てが受けられないことを意味する。そのため彼らは、運営資金を調達する必要があった。そしてそれは、人もうらやむ大きな懐を持つ彼らの家族や友人からもたらされた。思うに、投資する側からすれば成功した起業家として名を馳せ、業界を牽引し刺激してきた人たちの事業への投資ほど安心できるものはないだろう。

550万ドルのシード投資資金は、同社初タイトルの開発に投入される。それはPvPシューターになる予定だ。ここで少し不安に感じる方もいるだろう。PvPシューターといえば、「Overwatch(オーバーウォッチ)」「PUBG」「Fortnite(フォートナイト)」「Apex Legends(エーペックスレジェンズ)」といったこの5年間で大成功したものと、「Crucible」「Battleborn(バトルボーン)」「Paragon」「Gigantic」大失敗したものがひしめくジャンルだからだ。後者は前者の不毛な模倣の試みだった。

だが、日和見主義的な人まねの企業文化はMountaintopには見られない。彼らは、あれこれ指図する株主とは無縁の小さなチームだ。いるのは友人と家族だけ。行儀のいい彼らは指図などしない。おもしろくて商業的にも成功するPvPシューターを作れると彼らが思うのなら、ぜひ作ってほしい。他のゲームにはもう飽きてしまった。

このゲームが、クランチのない環境で作られるというのも嬉しい。各々が自分のスケジュールで働き本当に大切に思えるものを作れば、すばらしい結果が得られることを、我々はSupergiantGamesの「Hades」で知っている。

ミッチェル氏もこう話している。

すばらしいゲームや製品は、クランチ抜きでも作れます。それは、開発のあらゆる段階において、調査、計画、履行を入念に行うということです。クランチの排除は簡単だとはいえません。非常に大きな挑戦です。特に予期せぬボールが飛んでくることを思えばなおさらです。

しかし結果として、それはすべてリーダーとその決断にかかっています。Mountaintopでは、常にチームで適切な進め方をすることを約束しています。

創設チーム5人からスタートした同社は、今では20名にまで増えた。Mountaintopは当初からパンデミック対応を考えていたわけではないが、リモート優先のアプローチにより、新型コロナ禍においても雇用によって会社の運営計画が変更されることはなかった。現在、同社で働いてる人たちは、Epic、Blizzard、Naughty Dog、Respawn、Infinity Ward、Ubisoft、Raven、Turtle Rock、Double Fine、PopCap、 そしてもちろんOculusの出身者たちだ。

彼らが大切に思っているものの中には、多様性とインクルージョンがある。だが20人の従業員のうち19人が男性で、20人中の18人が白人という現状は、今後の大きな課題を示している。

「まだスタートしたばかりですが、誰もが自分の居場所だと感じられる、多様性とインクルージョンを核にしたスタジオを作りたいと私たちは考えています。長い道のりになりますが、それが実現するよう全力を尽くします」とミッチェル氏はいう。雇用者数の目標は50人。その約束が果たせる余地は十分にある。

ゲームに関して、詳しい情報はまだ何もないが、今の調子で行けば、夏には新情報が少し聞けるかも知れない。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Mountaintop資金調達

画像クレジット:Mountaintop Studios

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(文:Devin Coldewey、翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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