太陽光発電の製造技術を向上させるLeading Edge Equipmentが約8億円調達、2021年に商品化へ

Array Technologies(アレイ・テクノロジーズ)が上場に成功し、ソーラー機器製造・設置チェーンの効率向上を目的とする市場の存在を証明してからわずか数週間、Leading Edge Equipment(リーディングエッジ・テクノロジーズ)は新型シリコンウェハー製造装置のための資金を調達した。

760万ドル(約8億円)の資金を提供したのはPrime Impact Fund Clean Energy VenturesDSM Venturingの3社で、この資金を使って営業とマーケティングを強化すると同社はいう。

過去数年間、研究者の間ではカーフレス単結晶シリコンウェハーと呼ばれる技術の可能性が話題になっている。業界ウォッチャーにとって単結晶対多結晶ウェハーの話は聞き慣れているだろうが、気象テクノロジー投資の復活に関わる多くの事象と同様、今回は違うのかもしれない

現在のシリコンウェハー製造は7段階のプロセスからなり、巨大なエネルギーを消費する加熱炉で作られた巨大シリコンインゴットがワイヤーによってウェハーに切り出される。このプロセスでは大量のシリコンが捨てられ、膨大な量のエネルギーを消費する上に、製造されるウェハーの質が低くソーラーパネルの効率を落とす。

ウェハーの製造にリボンを使うLeading Edgeの製造装置は、フローティングシリコン法によって製造を1工程に減らし、少ないエネルギーでほとんど無駄を出さないと同社はいう。

Leading Edge Equipmentは、シリコンファウンドリ業界の長年のエキスパート2名によって設立された。Alison Greenlee(アリソン・グリーンリー)氏はマサチューセッツ工科大学(MIT)で4つの学士を取得し、太陽電池向けシリコン製造の無駄を減らすフローティングシリコン法を研究している。Peter Kellerman(ピーター・ケラーマン)氏はフローティングシリコン法技術の先駆者だ。

2人は、Applied Materialsが数年の研究の後に休止したプロジェクトを復活させるべく、Leading Edge Equipmentを立ち上げた。

両氏は国の補助金500万ドル(約5億2000万円)を獲得し、ベンチャーキャピタルから600万ドル(約6億3000万円)の初期資金を調達、2018年にスタートを切った。

Leading Edgeは自社の装置がシリコン基板製造の標準になることを目指している。

ケラーマン氏は現在名誉CTOとなり、後任のNathan Stoddard(ネイサン・ストッダード)氏はシリコン製造技術の専門家で、コンセプトからパイロット製造まで3種類のソーラーウェハー技術をもたらしたチームで働いていた。ストッダード氏はグリーンリー氏の1366(新規シリコン製造技術を専門としていた初期の企業の1つ)時代の同僚で、Applied Materialsの旧テクノロジーに対するグリーンリー氏とケラーマン氏の信念に魅了された。

自社のテクノロジーはウェハーのコストを50%削減し、商業ソーラーパネル発電能力を7%増加、製造に関わる排出ガスを50%以上削減すると同社は述べている。

プロジェクトを営利化するために、同社は長年のソーラー技術イノベーターでCIGS結晶の研究を1995年に始めたRick Schwerdtfeger(リック・シュベルトフェーガー)氏をチームに呼び入れた。シュベルトフェーガー氏は2000年代、ARCエネルギーによる次世代加熱炉技術の進歩に貢献した。

「重要な技術デモンストレーションと新たな商業化ツール開発を経て、当社は2021年にこのテクノロジーを市場に提供する準備が整いました」とシュベルトフェーガー氏が声明で語る。「最近3万1000平フィートの施設を確保し、要員を倍増した当社は、今回調達した資金を使って2021年の商業パイロットテストの準備に入ります」。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Leading Edge Equipmentシリコンウェハー資金調達

画像クレジット:Gencho Petkov / Shutterstock

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。