宇宙観光、大きく近づく―ジェフ・ベゾスのBlue Origin、同一機体の打上げ・回収に4回連続成功

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Blue OriginはNew Shepardブースターと乗員カプセルの宇宙への打ち上げと安全な回収に成功した。用いられた機材は過去3回軌道飛行に成功しており、これで4回目の宇宙旅行となった。ジェフ・ベゾスのBlue Originは世界で最初に宇宙観光旅行を提供する民間企業となるという目標に向けて大きく前進した。

この成功でBlue Originは弾道軌道を飛行するロケットが繰り返し使用に耐えることも証明した。

今日(米国時間6/19)の無人飛行ミッション目的の一つは、乗員カプセルの減速パラシュートの一つが作動しなかった場合でも安全に着陸できることを確認する点にあった。Blue OriginではNew Shepardシステムで有人ミッションを行う前にあらゆる面で安全性を高めるべテストを繰り返している。

パラシュートが開かないというのはありそうにないシナリオと思われるが、実は過去に起きている。ジェフ・ベゾスは以前、アポロ15号が降下中にパラシュートの一つが開かなかった例を挙げた。

Failed parachute during Apollo 15 / Image courtesy of NASA

アポロ15号のパラシュートの一つが作動不良 / 画像: NASA

これに先立つ3回の打ち上げと異なり、New Shepardシステムにいくつかの改良が加えられ、また打ち上げから着陸までの一部始終がライブのウェブキャストで中継された〔ライブ録画は下にエンベッドされている〕。

打ち上げ後、ほぼ11分でNew Shepardシステムは高度100kmを超えて宇宙に達し、その後ブースター、乗員カプセルの双方が安全に地上に降り立った。New Shepardシステムは弾道飛行中に約4分間の無重量〔マイクロG〕状態を経験した。

New Shepard upon descent, slowed by circular fin on the top and smaller fins along the outside / Screenshot of Blue Origin webcast

降下中のNew Shepard。ブースター上部に、大型のリング型フィンとスタビライザー、下部に小型の安定用フィンが見える。 / Blue Originのウェブキャストのスクリーンショット

New Shepardのロケットブースターの上部(乗員カプセルと接合する部分)の円周にはリング型の安定フィンが取り付けられ、降下中の空力安定性を増している。ローンチパッドの直上でメイン・エンジンを逆噴射し、時速5マイル〔8キロ〕程度にスピートを落とす。着陸脚が展開してブースターは静かに着陸するという仕組みだ。

Blue Origin's New Shepard vehicle touches down as the crew capsule begins its descent / Screenshot of live Blue Origin webcast

ローンチパッドに着陸したブースター。インセット内はパラシュートで減速しながら降下する乗員カプセル / Blue Originのウェブキャストのスクリーンショット

ブースターが安全に着陸した後、われわれの注意は乗員カプセルに移った。ウェブキャストで鮮明に映されているとおり、カプセルからはパラシュートが2個しか打ち出されていないが、これは安全性テストのためで、計画どおりだ(このシステムでは減速パラシュートは3個が用いられる)。乗員カプセルはタッチダウン数秒前に小型エンジンを逆噴射してさらに減速する。着地の瞬間の下向き速度はわずか時速2マイル(3.2キロ)程度だという。

Blue Originの説明によると、このような正常に行われた着陸では乗員は「枕をして横になっている」ようなソフトなショックしか受けないという。

New Shepard crew capsule descent with two parachutes deployed / Screenshot of BlueOrigin webcast

New Shepardの乗員カプセルが西テキサスの山なみを背景に降下する / Blue Originのウェブキャストのスクリーンショット

ウェブキャストの解説者を務めたエンジニアによれば、乗員カプセルの着地は「完璧に計画の通りであり、大成功」ということだ。

打ち上げ前の解説によれば、もし降下中に乗員カプセルに何か問題が検知されれば即座に「パラシュートの不具合のテスト」は中止され、3個のパラシュートすべてが作動する手はずになっていた。Blue Originではカプセル・ハードウェアの安全な回収を最優先事項としているためだという。

カプセルは料金を支払った観光客を念頭に置いて設計されている。Blue Originの企業としての当面の目標は観光客を宇宙まで往復させることだ。乗客の視界を最良のものとするため、これまで宇宙に到達したカプセルとしては最大のサイズの窓が設けられている。

ただしこれまでテストされてきたカプセルには本当の窓は設けられていない(外観では判別しにくいが、窓はペンキで描かれたもだ)。しかし次回以降の打ち上げにはカプセル表面積の3分の1にも及ぶ窓が設置される。

New Shepard crew capsule / Image courtesy of Blue Origin

窓を設置した新しい乗員カプセル / 画像: Blue Origin

今回のミッションの成功でBlue Originは同一のブースター、乗員カプセルを4回(おそらくはそれ以上)繰り返して軌道飛行させることことできるのを実証した。

ジェフ・ベゾスは当面の目的として早ければ2018年にも最初の有人飛行を行う準備をしている述べた。 今回のミッションの成功でBlue Originが世界で最初に有人宇宙旅行を実現する民間企業となる可能性は高まった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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