宇宙開発企業のAstraが推進装置メーカーのApollo Fusionを買収

特別買収目的会社(SPAC)との合併から上場を計画している宇宙開発企業のAstra(アストラ)は、電気推進装置メーカーのApollo Fusion(アポロ・フュージョン)を買収すると、米国時間6月7日に発表した。AstraのチーフエンジニアであるBenjamin Lyon(ベンジャミン・ライオン)氏は、同日のブログ記事で、電気推進システムは宇宙船を低軌道から高軌道へ、さらには月へと移動させるのに有効であると述べ、Astraが地球軌道を超えたミッションも計画していることを示した。

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今回の取引条件では、AstraはApollo Fusionを株式3000万ドル(約33億円)と現金2000万ドル(約22億円)、合計5000万ドル(約55億円)で買収する。さらにApollo Fusionが一定の業績ベンチマークを達成した場合、最大9500万ドル(約104億円)の追加対価を支払う可能性もある。PJT Partners(PJTパートナーズ)は、この買収に関してAstraの財務アドバイザーを務めていると、アラメダに拠点を置くこのスタートアップ企業は月曜日に発表した。

AstraのChris Kemp(クリス・ケンプ)CEOは、同社を打上げから宇宙サービスまで提供する垂直統合型宇宙ビジネス企業にするという目標を公言しており、Apollo Fusionのスラスター技術はそのパズルの主要なピースとなる。Astraは2020年12月にアラスカのコディアックから最初のテストロケットの打ち上げを成功させたが、ケンプ氏は公式声明の中で、毎月商業打ち上げを行う計画を示している。

Apollo Fusionは「アポロ・コンステレーション・エンジン(ACE)」と「ACE MAX(ACEマックス)
」という2種類の電気推進装置を製造しており、どちらもクリプトンとキセノンの推進剤に対応している。同社は、York Space Systems(ヨーク・スペース・システムズ)から、2022年に打ち上げが予定されている低軌道(LEO)衛星コンステレーション・プログラムの推進システム供給メーカーに選ばれているという。

AstraによるApollo Fusionの買収は、AstraがSPACであるHolicity(ホリシティ)との合併を2021年末に完了させた後、成立する予定だ。ケンプ氏はTwitter(ツイッター)で、同社が7月1日に「ASTR」というティッカーシンボルでNASDAQに上場する意向であることを明かした

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カテゴリー:宇宙
タグ:Astra買収

画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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