完全審査制のビジネス向けマッチングアプリyentaは、人工知能が毎日おすすめユーザーを10名紹介

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ウェブ業界の仕事に特化した求人サイトGreenやユーザーのソーシャルデータを解析し、人工知能で企業と採用候補者をつなぐサービスTalentBaseを運営しているアトラエは、本日新たに完全審査制のビジネスパーソン向けマッチングアプリ「yenta」をリリースしたことを発表した。2015年12月からプライベートベータ版を展開していたが、本日から東京23区で会えるユーザーならyentaに登録することができるようになる。

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yentaを使うにはユーザーはまずFacebookでログインし、審査を待つ。審査を通過したユーザーは会いやすい地域(例えば、渋谷や新宿)、職歴と職種、学歴、自己紹介文を入力すると、毎日昼の12時に人工知能が導き出した相性の良いユーザー10名が紹介される。会いたいと思った場合は右にスワイプし、そうでない場合は左にスワイプする。男女のマッチングアプリではお馴染みのインターフェイスだ。マッチング結果はリアルタイムではなく、夜の8時にまとめて届く。これはマッチングを判断する時間とマッチング後のメッセージのやりとりの時間を分けることでユーザーの負荷を減らすと共に結果が届くのを待つちょっとしたわくわく感になることを期待しているとアトラエの取締役を務める岡利幸氏はTechCrunchに話した。

「yenta」とは英語で口うるさい女性を指す言葉で「おせっかいおばさんが会いたい者同士をつなげるようなイメージのサービス」と岡氏は説明する。yentaはTalentBaseの人工知能を活かしていて、ユーザーのFacebookの投稿内容、プロフィールデータ、興味関心からユーザー同士の相性を判断しているそうだ。

yentaが完全審査制を取っているのは、刺激ある出会いを提供するためと岡氏は言う。yentaは技術審査とアナログ審査を行っているという。技術審査では人工知能が既存のユーザーベースからどれだけそのユーザーに会いたいという関心が集まるかを予測し、一定数を超えれば通過となる。アナログ審査では担当者が内容をチェックしていて、例えばヘッドハンターばかり増えないようバランスを保つために行っているという。また、不審なユーザーがいたら簡単に通報できるなどの工夫を施し、安全面に気を配っているそうだ。

2015年12月にプライベートベータでサービスを開始してから、今では350名ほどの登録者数でマッチングの合計件数は3000件に上るという。マッチングアプリでマッチングの成立と同時に重要なのは、マッチング後にユーザー同士がメッセージを交換して実際に出会うことだ。メッセージ交換に抵抗感のあるユーザーもいるが、1回メッセージの送受信を経験をすると抵抗感が減って次回から活発にメッセージを送るようになり良い循環が生まれていると岡氏は言う。yentaのユーザーは主にランチやお茶、オフィス訪問でつながっているそうだ。

もう1つyentaの特徴は、Facebookで既に友達同士のマッチングも行える点だ。アプリの「友人・知人」ボタンから人工知能が既存の友達をレコメンドする。「1回しか会ったことがない友人や飲み会で初めて会った知人など、きっかけがないとまた会う機会がなく、仲を深められないことがあります」と岡氏は言う。yentaは新たに人脈を広めること、そして既存のつながりとも仲を深めることの両方を担うと説明する。

海外にはWeaveといったビジネスパーソン向けのマッチングアプリが既に存在するが、ログインにはLinkedInのアカウントが必要であり、日本の市場にはやや不向きだと岡氏は指摘する。元Googleの開発者が率いるAccompanyという会社が既存連絡先との関係性を維持するサービスを開発しているがまだローンチしていない。今のところyentaと似たアプリでしっかりと作りこんであるものは少なく、アメリカ市場への参入の余地もあるかもしれないと岡氏は話す。しかし、まずはユーザー数が増加しても良い出会いを最大化できるようにすることが最初のミッションと岡氏は話す。

マッチングではないが日本のビジネスパーソン向けサービスとして頭に思い浮かぶのは、名刺管理のSansanやソーシャルリクルーティングサービスを提供するWantedly辺りだろうか。Sansanは企業やそこで働いている人を検索して名刺交換を依頼し、メッセージをやりとりすることができる。Wantedlyでは求人情報やビジネスパーソンを探してつながることが可能だ。これらのサービスはインターネット上でビジネスパーソンがつながる新たな方法を提案してきた。yentaのアプリでは人工知能でビジネスパーソンの出会い方や関わり方の効率化を試みる。デートアプリの普及で男女の出会い方やコミュニケーション手段が変わってきたように、ビジネスパーソンの出会い方やその後の関わり方も徐々に変わってきているようだ。

yentaのiOSアプリはこちらからダウンロードできる。

投稿者:

TechCrunch Japan

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