実名グルメ「Retty」が3.3億円調達、「行きたい」ユーザーにクーポン配布で収益化

実名ベースの飲食店口コミサービス「Retty」を運営するRettyは2日、シリーズBラウンドとして、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、みずほキャピタル、既存投資家を割当先とする総額3億3000万円の第三者割当増資を実施した。これに伴い、Rettyを収益化する人員や体制を強化し、2014年春から飲食店向けの課金サービスを始める。

Rettyはお気に入りの飲食店の情報を友達と共有できるソーシャルグルメサービス。登録ユーザーの8割以上がFacebookアカウントでログインしているので、信頼性の高い実名ベースの口コミが投稿されるのが特徴だ。他のユーザーの投稿に「行きたい」ボタンを押して「行きたいお店」リストに追加し、外出先からスマホで現在地周辺の「行きたい」店を確認するといった使い方もできる。

「Retty上でグルメな友人や食の嗜好が合う人をフォローすれば、例えば渋谷で働く人がランチで通っている飲食店がわかったり、広告代理店の人がオススメする接待用の飲食店をチェックすることもできます。備忘録のかわりに気に入った飲食店を登録するユーザーも結構多いですね。」(Rettyの武田和也社長)

最近では検索エンジンやソーシャルメディア経由の流入が増え、10月にはユニークビジター数が100万人を突破、翌11月には130万人まで伸びている。これまでに投稿された口コミは70万件を超え、掲載されている飲食店16万件のうち8割に「行きたい」ボタンが押されているのだという。

2011年5月にサービスを開始して以来、ユーザー数を増やすことに注力してきたRettyだが、いよいよ収益化に着手する。まずは「行きたい」ボタンを押したユーザーに対して、飲食店がクーポンを配信するツールを有償で提供する。実名ベースで「行きたい」意志を表しているユーザーにリーチできるので、単なるバラマキのクーポンよりも効果が高いとみている。資金調達では、収益化に向けたエンジニアやマーケティング人員を強化。社員を現在の7名から約30名に増員する。

余談になるが、Rettyは7名の社員全員に「ランチ自転車」を与えているのだという。オフィス周辺にあるRettyで話題の飲食店でランチする際の移動手段として使うためだ。Rettyは赤坂、新宿、六本木、築地と次々にオフィスを移転しているが、理由は「周辺の飲食店をすべて制覇したため」(武田氏)。そして築地の飲食店を食べ尽くしたのか、12月には恵比寿に引っ越しした。

「単なるグルメ好きと思われるかもしれませんが、サービスの運営メンバーはいちばんのヘビーユーザーであるべきなんです。Rettyをやっていると行きたいお店がどんどん増えてきて、実際に投稿すればバグも見つかり改善案も出てくる。もちろんグルメが好きなので、恵比寿でもエンゲル係数を気にせずに食べ尽くしていきますよ。」

Rettyは2012年10月、グリーベンチャーズ、NTTインベストメント・パートナーズ、三菱UFJキャピタルの3社を引受先として、総額1億円のシリーズAラウンドの資金調達を実施。その1年前には、サイバーエージェント・ベンチャーズとエンジェル投資家から2200万円を調達している。


投稿者:

TechCrunch Japan

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