実家に帰った気分になれる「バーチャン・リアリティ」は、未来の食事のあり方なのかもしれない

自分の作った食事や買ってきたご飯を狭いワンルームで細々と食べる。一人暮らしで、一番寂しいのは食事の時間ではないだろうか。田舎の大家族とみんなでわいわいしながら美味しく食事したいと思う日もある。今回、南あわじ市がふるさと納税のプローモーションの一環としてリリースした「バーチャン・リアリティ」は、まさにそんな体験が味わえるVR動画だ。

バーチャン・リアリティ」ではその名が示す通り、おばあちゃんが登場し、自慢の手料理をふるまってくれる。ただ、このVR体験を最大限楽しむためには、動画と同じ料理を食べながら、VRを見るのが一番だ。南あわじ市は料理のレシピを公開していて、ふるさと納税をした人にご当地の新鮮な食材を届けている。その食材で動画と同じ料理を作り、VRを楽しむことができるのだ。南あわじ市はこのVRで田舎暮らしの魅力を伝え、ふるさと納税者に訴求することを目指している。

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食事を一人で食べる「孤食」は、栄養バランスが偏りがちになり、楽しくもなく、心身ともに悪影響のある問題でもある。VRは孤食問題を解決するのに効果的と名古屋大学大学院の情報科学研究科博士、中田龍三郎氏はいう。中田氏は今回のプレスリリースに以下のようにコメントを寄せている。

「一人で食事をする時に鏡を見ながら食べると、よりおいしく感じることが実験で確かめられました。実際に家族や友人と食事をしていなくても、“誰かと一緒に食べている”と感じることで疑似的な共食によっておいしさが増すと思われます。バーチャルリアリティによる体験でも、鏡の場合と同じ効果を得られると考えられます」。

 

ただ、実際やってみようとすると視野が半分以上ふさがる上、簡易型のVRビューアーだと片手も使えない。VR動画を見るとおばあちゃんが話しかけてくれて確かにほのぼのするが、VR見ながらの食事は今のところちょっと難しそうだ。

ちなみに、海外でもインターネットを介して食事を共有する体験がにわかに注目を集めている。ゲームストリーミングサービスTwitchでは、ユーザーが自分の食事の様子を配信する「ソーシャル・イーティング」の専用カテゴリーがある。これは韓国発祥の文化で、配信するユーザーも視聴するユーザーもお互い食事をしながら、チャットしたりしてコミュニケーションを楽しんでいるのだとTwitchは説明している。

そう考えると、VRで遠隔の人と食事する未来が来るのもそう遠くないのかもしれない。

投稿者:

TechCrunch Japan

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