家族向けロケーターサービスのLife360がTileを227億円で買収

Apple(アップル)のAirTag(エアタグ)と競合する遺失物追跡サービスのTile(タイル)が、家族向けコミュニケーションサービスのLife360に買収される。買収額は2億500万ドル(約227億円)。Tileのブランドは継続し、現CEOのCJ Prober(シージェイ・プローバー)氏が引き続き率いる。同社によると、現在のところTileチームの変更は予定しておらず、プローバー氏はLife360の取締役会にも加わる。

Life360にとって、今回の買収は最近のハードウェア買収としては2件目となる。同社は今年初め、位置情報機器メーカーのJiobit(ジオビット)を3700万ドル(約43億円)で買収した。その際、目標は、Life360アプリが動くスマートフォンを持つ人以外、つまり、小さな子どもや特別なニーズを持つ子ども、ペットなどにも、家族の追跡機能を拡大することだと述べた。

しかし、Tileの場合は、家族を追跡するだけでなく、家族が最も大切にする「人、ペット、モノ」を見つけるための幅広いソリューションとして事業を拡大する可能性を視野に入れている。同社は、統合プラットフォームを提供するサービスを構想している。そのプラットフォームでユーザーは、連絡を取り合うために家族を追跡するだけでなく、Tileの位置情報検索機能を利用して、財布、鍵、リモコンなどのモノも追跡できる。

またTileは、ワイヤレスイヤホンからノートパソコン、犬の首輪まで、50種類以上のサードパーティ製デバイスと提携している。これらは買収の価値を高めるものだ。そして同社は「Tile Finding Network」という巨大なネットワークを運営している。Tileの所有者がTileのモバイルアプリを立ち上げると、Bluetoothの範囲外にあるモノの位置を特定できるというものだ。同社は、これまでに4000万個以上のデバイスを販売し、42万5000人超の有料顧客を抱えているが、アクティブユーザーの総数は公表していない。

Life360は、同社の3300万人のスマートフォンユーザーが加わることで、TileのFinding Networkのリーチが10倍になると見込む。

Life360の共同創業者でCEOのChris Hulls(クリス・ハルス)氏は声明で「今回の買収は、安全性と位置情報サービスの世界的なプラットフォームになるというLife360のビジョン達成に向けた重要な一歩となります。TileをLife360ファミリーに迎え入れることができ、大変嬉しく思っています」と述べた。

このニュースに先立ち、Tileは9月に4000万ドル(約46億円)の負債による資金調達を発表した。これについてプローバー氏は、「負債は株主に希薄化をもたらさないため」理にかなっており、「『負債と株式』の混合は良いことだ」と述べていた。だが、Apple AirTagの立ち上げ以来、Tileの将来が脅かされていたことは間違いない。Tileは独占禁止法の問題でAppleを断固として批判しており、Appleがビジネスに与える影響について議員らの前で証言したこともあった。

Tileは最近、競争力維持を期待して、製品ラインを刷新した。その中には、AirTagのライバルとなる超広帯域無線の製品も含まれている

Life360とTileの共通点は、プラットフォームにとらわれないアプローチであり、iOSとAndroidの両方のデバイスに対応していることだ。Androidに対応していることが、国際的な事業拡大に役立つ可能性がある。Androidは世界中の多くの市場を支配している。

Life360は、今回の買収により、Tileを販売する2万7000以上の小売店や、Tileの技術が組み込まれている100万台以上のサードパーティ製デバイスのユーザーにアクセスできるようになる。また、両社はプレミアムサービスを提供しており、Life360は有料会員数を45%増の約160万人に拡大する見込みだ。将来的には、両社のサービスを統合し、より多くの無料ユーザーが有料会員になることを期待しているようだ。

Life360は、2019年からオーストラリア証券取引所に上場しており、以前には2022年に米国での二重上場の可能性を計画していると発表していた。今回の買収により、その目標に向け、勢いがつくとLife360は述べている。

今回の買収では、Credit SuisseとCode AdvisorsがLife360の共同財務アドバイザーを務めた。また、DLA PiperとOrrick、Herrington & Sutcliffe LLPがLife360の法務アドバイザーを務めた。Tile側は、Jefferies LLCが独占的に財務アドバイザーを、Fenwick and West LLPが法務アドバイザーを務めた。

「Tile、当社の顧客、そして従業員にとって素晴らしい日です」とプローバー氏は声明で述べた。 「今回の買収は、ミッションや価値観を共有する2つの素晴らしいチームを結びつけるだけでなく、安心・安全のための世界有数のソリューションを共同で開発する道を開くものです。これは、私たちの旅における次のステップであり、引き続き素晴らしいチームを率い、Life360の取締役会に参加できることに、これ以上の喜びはありません」。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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