家計や引っ越し、給料交渉など大学を卒業したばかりZ世代のための大人の手引書を提供するRealworldが3.7億円調達

Realworld(リアルワールド)は大きなビジョンを持っている。目標は「大人であることをシンプルにすること」だと創業者でCEOのGenevieve Ryan Bellaire(ジェネビーブ・ライアン・ベルエアー)氏は筆者に語った。そしてニューヨーク拠点の同社は目標を達成するためにシードファンディングで340万ドル(約3億7000万円)を調達した。

どうやらそれはベルエアー氏自身が20代前半に苦労したことだったようだ。MBAを持つ弁護士であるにもかかわらず、自分自身が「こうした実世界のことにまったく準備できていなかった」ことに気づいた。住宅や医療保険のことなどだ。これらに関しては筆者(弁護士でもなく、MBAも持っていない)もまったく同感だ。

「クレジットカードを申し込むのに、このフォームを記入してくださいと教示するコンテンツはそこら中に山ほどあります。しかしあなたは自分自身が何を知らないかをわかっていないのです」とベルエアー氏は話した。「大人であることを1カ所で定義する場所はありません」。

と同時に、大人であることの側面を簡単にするオンラインサービスがある。保険であればLemonade、投資であればBetterment、診察の予約であればZocdocなどだ。しかし繰り返しになるが、こうしたサービスを探すこと、そしてそれらのサービスを使うべきだと知っていることはハードルとなる。だからこそ、Realworldは「1つのエントリーポイント」として機能することを意図している、とベルエアー氏は述べた。

そのために、Realworldは家計や引っ越し、給料の交渉などをカバーする90以上のステップ・バイ・ステップの計画を作成した。大学を卒業し、就職したばかりのZ世代のためのものだとベルエアー氏は語る。

RealworldのCEO、ジェネビーブ・ライアン・ベルエアー氏(画像クレジット:Realworld)

もちろん、特定の年代にフォーカスするとして、同じ20歳代でもそれぞれに異なるバックグラウンドを持ち、収入レベルや抱えている問題も異なる。計画はユーザーの特定の目標や状況に応じてインストラクションをカスタマイズするとベルエアー氏は話したが、Realworldの15の計画から構成される「スターターパック」は予算の作成やアパート探し、所得税の理解などすべての大人が何らかの形で対処する必要があるものをカバーするとも主張した。

Realworldは初のモバイルアプリを2021年5月にリリースする計画で、目標は「プラットフォーム、マーケットプレイス、コミュニティ」になることだ。計画はプラットフォームで重要な役割を果たし、そしてゆくゆくは大人になることの目標を達成するのをサポートするサービスのためのマーケットプレイス、そしてユーザーが知識やアドバイスを共有するコミュニティも含むことになるかもしれない。

Realworldは当初、計画へのアクセスに課金していたが、現在は無料で利用できる。その代わり、追加の機能や「コンシェルジュのようなサポート」にサブスク料金を課すかもしれないとベルエアー氏は話した。

「これは、正しいものを手にすれば、大きな影響を与えることができる問題の1つです。しかし経済的に大きな成功を手にすることができるものでもあります」と付け加えた。

投資家らはこれに同意しそうだ。Realworldは以前110万ドル(約1億2000万円)を調達したが、今回のシードラウンドはFitz Gate Venturesがリードし、Bezos Expeditions(ジェフ・ベゾス氏の個人的な投資会社)、Knightsgate Ventures、The Helm、Great Oaks VC、Copper Wire Ventures、AmplifyHer Ventures、Underdog Labs、Human Ventures、Techstarsが参加した。

AmplifyHerのパートナーであるMeghan Cross Breeden(メーガン・クロス・ブリーデン)氏は、Realworldが現在のZ世代のための「人生のマイルストーン」のマーケットだけでなく、家の購入から親の介護まで長期にわたる「あらゆる未来のマイルストーン」のマーケットを追求することになるかもしれないと指摘した。

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タグ:Realworld資金調達Z世代

画像クレジット:Realworld

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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