専用デバイスとスマホで車の健康を測るスマートドライブ、8月から実証実験開始

自動車についている「OBD2コネクタ」というものをご存じだろうか。OBDとは、On-board diagnosticsの略で、これは自動車の点検用の規格である。このODB2コネクタを通じて、車速やエンジンの回転数をはじめとした、さまざまなデータを取得できるようになっている。

このOBD2コネクタにデータ送信用のデバイスを差し込み、スマートフォンを経由して車の健康状態や移動の履歴などを取得するといった取り組みを行っているスタートアップが米国で続々登場している。AUTOMATICZubieMETROMILEMOJIODashなどが存在している。ちなみにDashには国内からサイバーエージェントが出資をしている。

それぞれ、コネクタに挿したデバイスからスマートフォンにデータを送信することで、急発進や急ブレーキなどガソリンの無駄になるような運転をした場合に警告を出したり、ドライブの記録をしたりといったことを実現している。

この領域に日本で挑戦するのがスマートドライブだ。2013年10月に設立した同社は、ベンチャーキャピタルのANRIから出資を受けて、現在自動車向けのデバイスと、連携するスマートフォンアプリを開発している。

そんなスマートドライブだが、8月から柏の葉アーバンデザインセンター (UDCK)の協力のもと、千葉県の柏の葉スマートシティにて1カ月にわたる実証実験を開始することを明らかにした。今回の実証実験では、柏の葉スマートシティエリアの住人約20人が対象となる予定だ。

スマートドライブの手がけるシステムもOBD2コネクタにデータ送信用のデバイスを挿し、スマートフォンへリアルタイムに車の健康状態や運転ログを記録する。

アプリでは、1000以上のエンジンアラートのトラブル内容を閲覧できるほか、運転ログの閲覧、急ブレーキや急発進、走行速度の状況などから、燃費効率を分析し、「ポイント」という形で評価する。

年内にも販売を開始

スマートドライブでは、年内にも個人向けにプロダクトの販売を開始する予定。ただし、ビジネスの中心になるのは、保険会社などにデバイスを卸し、その契約者に使用してもらうといったようなBtoBtoCのモデルになるそうだ。

例えば米国の保険会社Progressiveは、契約者に「Snapshot」なるデバイスを提供している。このデバイスもOBD2コネクタに接続して使用するのだが、急ブレーキなどの回数などをもとに安全な運転をしているかを分析。安全運転であれば保険料の割引もなされるという取り組みをしている。スマートドライブでもこのような形で自動車保険や自動車整備関連の事業者を通じたデバイスの提供を狙う。

また将来的には、個々の車のデータを分析し、ビッグデータによる渋滞予測や交通事故予防などにも取り組む予定だという。


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TechCrunch Japan

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