専門知識いらずのクラウド会計「マネーフォワード」正式版、価格優位でシェアトップ狙う

専門知識がなくても確定申告や会計処理を可能にするクラウド型会計ソフトといえば、2012年のTechCrunch Tokyo(TC Tokyo)でデビューを果たし、翌年3月にローンチした「freee」がある。その対抗馬と目されるのが2013年のTC Tokyoでお披露目となった「マネーフォワード 確定申告」および「マネーフォワード For BUSINESS」だ。1月27日に正式版サービスを開始した。料金プランは個人版で無料プランを用意したり、法人版ではfreeeを意識して安めに設定し、一気にシェアトップを狙う考えだ。

トップ画面のイメージ図

マネーフォワード 確定申告/マネーフォワード For BUSINESSは、確定申告や会計・経理業務を可能な限り自動化するクラウド型会計ソフト。銀行やクレジットカードなど1400以上の金融機関から入出金データを自動取得したり、学習機能で仕訳のルールを作成したり、仕訳データをもとにキャッシュフロー計算書や決算・税務申告関連のレポートを作成するなど、手入力の手間が大幅に省けるという。クラウド型サービスであるため、会計ソフトが少ないMacやiPadなど端末を選ばず、ブラウザー経由で使用できるのも特徴だ。

仕訳画面のイメージ図

料金プランは個人向けのマネーフォワード 確定申告が、基本機能無料のフリーミアムモデル。無料版は仕訳登録数が月間15件まで、仕訳の精度を高めるための学習ルールを登録できるのが月間5件までという制限がある。月額800円のプレミアムプランに加入すれば、これらの制限がなくなるとともに、帳簿データを他社ソフトの形式でエクスポートしたり、同時に閲覧・編集するユーザーを最大3名まで招待する機能なども利用できる。法人会計向けのマネーフォワード For BUSINESS(法人会計)は45日間無料で利用可能で、その後は月額1800円。

マネーフォワードは2013年11月にベータ版を公開(関連記事:マネーフォワードがクラウド会計に参入、専門知識不要の自動入力サービス)。正式版開始に伴い、青色申告・白色申告用の申告書の作成、家族や社員、税理士などと共同でデータを閲覧・編集するためのユーザー招待機能、「弥生」「会計王」「勘定奉行」など他社会計ソフトのデータのインポート機能などを追加した。また、領収書やレシートをスマートフォンで撮影し、データを自動で取り込む無料アプリも公開。レシートを読み取るアプリは数多くあるが、形式が複数ある領収書を読み取れるアプリは日本初だという。

実はベータ版公開時、料金プランはfreeeと同じで個人向けが980円、法人向けが1980円と発表していたが、正式版のリリースにあたって価格を下げたかたちだ。以前、マネーフォワードの辻庸介CEOにインタビューした際には「競合との価格競争は避けたい」と漏らしていたが、なぜ価格を下げたのか。

改めて聞いてみたところ、「今年中にクラウド会計ソフトのナンバーワンシェアを取る意気込みの表れ。今後もお金のプラットフォームになるための機能やサービスを追加する予定で、お金を払ってGmailも使えばカレンダーも使うGoogle Apps for businessのような存在になりたい。そのためには(値段を下げてでも)使ってもらわなければ」と話している。

マネーフォワードの辻庸介社長


投稿者:

TechCrunch Japan

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