小さいほうがコストも下がる、小型ロケットに特化した豪スタートアップGilmour Spaceが約50億円調達

オーストラリアのロケット打ち上げスタートアップGilmour Space Technologies(ギルモア・スペース・テクノロジーズ)は、大きければいいとは限らない、という考えに賭けている。同社はErisと呼ぶ、最大215kgのペイロードを太陽同期軌道へと運ぶことができる小型の打ち上げビークルを開発した。そして現在、同社はErisを2022年に宇宙へと送るためにシリーズCラウンドで6100万豪ドル(約50億円)を調達した。

Gilmour Spaceの創業者、アダム・ギルモア氏とジェームズ・ギルモア氏(画像クレジット:Gilmour Space Technologies)

Erisは他の打ち上げ会社のロケットよりもずいぶん小さい。Relativity SpaceのTerran Oneの地球低軌道への最大ペイロードは1250kgで、SpaceXの初かつ最小の軌道ロケットFalcon 1ですら450kg運ぶことができた。Gilmour Spaceは、軽量のペイロードの方がスペースクラフトを軌道に送ろうとしている急増中の顧客のためにコストを下げることができると請け合っている。

調達した資金は、同社の従業員を70人から120人へとおよそ倍増させるのに、そしてオーストラリア・クイーンズランド州のアボットポイントに新規の商業スペースポートを設置するのにも使われる。オーストラリアの当局は5月に打ち上げサイトの建設を承認した。同社はまた、極軌道打ち上げを促進するために南オーストラリア州にある提案された打ち上げサイトを調査している。

Gilmour Spaceはすでに、将来のEris打ち上げのために見込み顧客との契約書にサインした。ここには、オーストラリアの宇宙スタートアップ2社との契約も含まれる。1社はEris初打ち上げで35kgのスペースクラフトを打ち上げる予定のSpace Machines Company、もう1社は2023年に小型衛星6基を運ぶ予定のFleet Space Technologiesだ。Gilmour Spaceは米国拠点のMomentusとも同社の軌道移行サービスの使用で契約書を交わした。

シリーズCラウンドはFine Structure Venturesがリードし、オーストラリアのVCであるBlackbirdとMain Sequence、豪州年金基金HESTA、Hostplus、NGS Superなどが参加した。BlackbirdはGilmour SpaceのシリーズAを、Main SequenceはシリーズBをリードした既存投資家だ。今回のラウンドは、オーストラリアの宇宙企業によるプライベートエクイティ調達額としては過去最高で、Gilmour Spaceの累計調達額は8700万豪ドル(約72億円)となった。

カテゴリー:宇宙
タグ:Gilmour Space資金調達オーストラリアロケット

画像クレジット:Gilmour Space Technologies

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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