少ないデータ通信量でハイクオリティな360度ビデオストリーミングを可能にするVisbitが320万ドルを調達

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バーチャル・リアリティは多くの人々を巻き込む革命だ。PC部品の製造業者は、ハードウェアがもつスペックのリミットをもう一度引き上げなければならず、この革命は彼らをもう一度復興させるきっかけとなるだろう。また、ISPはユーザーがストレスなくVRコンテンツを楽しめるように、従来より高速のダウンロード速度を提供するという圧力がかけられるようになる。

それが実現するにはまだ時間がかかる。だが、今回紹介するVisbitはVR業界に”今”存在するギャップを埋め、VRコンテンツがユーザーのデータ通信量を使いきってしまうことがないように、速度の遅いインターネットでもハイクオリティな360度ビデオのストリーミングができるソリューションを生み出した。

カルフォルニア州にあるSunnyvaleを拠点とする同社は現地時間6日、Presence Capital、ZhenFund、Colopl Next、Amino Capital、Eversunny Limitedなどが参加したシードラウンドで320万ドルを調達したと発表した。本ラウンドにはアメリカと中国のVCが入り混じっており、これは同社がもつグローバルな野望の表れだ。

Visbitは今回調達した資金を利用して、現存する技術よりも大幅に少ないデータでハイクオリティな360度VRビデオのストリーミングを可能にするという彼らのプロダクトを、より早い段階で市場に送りだす構えだ。

同社のテクノロジーはFacebookの「ダイナミック・ストリーミング」技術に似ている。ダイナミック・ストリーミングとは、360度ビデオをストリーミングする際にユーザーが向いている方向だけを高解像度で描写するという技術だ。ユーザーが360度ビデオ内で視線を動かすと、Facebookは”ダイナミックに”ストリーミング映像の解像度を調整し、ユーザーが向いている方向の映像だけを最大の解像度で描写するのだ。これにより、4Kビデオのストリーミングに対応していないインターネット環境でもハイクオリティな映像体験を楽しむことができる。

ダイナミック・ストリーミングが機能するのはFacebookのプラットフォームだけだ。その一方でVisbitは、「Visbit View-Optimized Streaming(VVOS)」と呼ばれる同プロダクトのライセンスを360度ビデオのコンテンツ製作者に販売する予定だ。そうすることで、コンテンツの製作者は任意のプラットフォームでこの技術を利用できるようになる。現在のところ、同プロダクトはモバイル・プラットフォーム上の4Kビデオや8Kビデオのストリーミングにフォーカスしている。Gear VRなどのプラットフォームがその例だ。

共同創業者兼CEOのChangyin(CY)Zhouは、以前にはGoogle XとMicrosoft Researchでコンピュータービジョンとビデオ・プロセッシング技術に携わっていた。

4Kの360度ビデオをストレスなくストリーミングするために通常必要とされるインターネット速度と比べると、VVOSを利用した場合に必要なインターネット速度は、その半分だ。

つい先日、VisbitはVRコンテンツ企業やスタジオ向けにクローズドなプライベート・ベータ版を公開しており、今後このベータプログラムへの参加企業を増やしていく予定だ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

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TechCrunch Japan

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