工場や災害時向け業務用ドローンのV-Cube Robotics Japanが数億円の資金調達を実施

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企業や自治体向けに業務用ドローンソリューションを提供するV-cube Robotics Japan(VRJ)が今日、グロービス・キャピタル・パートナーズツネイシキャピタルを引受先とする第三者割当増資を実施したことを発表した。調達金額は非公開だが関係者らの話によれば、数億円前半とみられる。VRJは業務用テレビ会議システム提供で東証一部上場のV-CUBEの子会社として2015年10月にスタートしているが、外部資本を入れて成長を加速する形だ。

親会社のV-CUBEはテレビ会議システムを提供しているわけだが、その先にドローンをぶら下げることで、複数遠隔拠点をリアルタイムで状況把握するソリューションが提供できる。VRJがターゲットとする利用シーンは、工場や、高圧電線、橋梁など定期点検が必要なものの人間が作業するには危険な場所が1つ。もう1つは地方自治体などの災害時の状況把握。実際の操作はドローンからの映像をストリーミングしながら、会議室にいる専門家が遠隔地でオペレーターとコミュニケーションを取りながら撮影場所を指示しながら状況把握を進める、という使い方だそうだ。オペレーションの種類によっては、今後は録画した映像を非同期で解析するといった応用もあり得るという。

VRJ代表取締役副社長の高見耕平氏によれば、法整備や保険サービス提供開始などドローンを取り巻く環境が急速に発展していることから、地方の警察や消防などからの今年に入って問い合わせが増えているそう。資金調達により、販売体制を強化する。ちなみに導入するドローンの機種については制限がないが、今のところDJIが多いそうだ。高圧線など電磁波が強すぎてドローンが接近できないような場所でズーム機能付きの国内製ドローンが使われることもある。

実際にドローンを現地や各企業・自治体に展開するにあたっては、VRJではドローンの構造や操作方法、法令知識のトレーニングも提供している。「現在、量販店に行けばドローンが売られています。ただ、それをそのまま飛ばすのは原付を無免許で乗り回してるようなもの」と高見氏は安全面の重要性を指摘する。

現在のところ法的にはドローンの操作はインターネット越しに行うことができない。操作者も、ドローンが視界に入る場所にいなければならないという制限がある。ただ、山間部での遭難救助など状況によっては遠隔操縦も許可される法改正なども将来的にはあり得て、ドローンによる映像コミュニケーションサービスにはより広い応用があると高見氏は話している。

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TechCrunch Japan

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