巨額買収を完了したIBMはRed Hatの翼で飛翔する

IBMの340億ドル(約3.6兆円)という巨額なRed Hatの買収は数週間前に完了し、米国時間8月1日に両社はその最初の成果を発表した。今日の発表の大部分は、あらゆるパブリックおよびプライベートクラウドにプロダクトを持ち込みたいとするIBMの野心の拡大の表れだ。そもそもIBMがRed Hatを買った理由がそれだから何も意外ではないが、多くの業界ウォッチャーにとって意外だったのはその実現の早さだ。

具体的には、IBMはそのソフトウェアポートフォリオをRed Hat OpenShiftに持ち込む。それはRed HatのKubernetesをベースとするコンテナプラットホームで、顧客がRed Hat Enterprise Linuxを使用するかぎりどんなクラウドでもそれを使える。

IBMはすでに100製品を超えるプロダクトをOpenShift向けに最適化し、それらを同社がCloud Paksと呼んでいるものにバンドルした。そのPaksなるものは現在5つあり、それらはCloud Pak for Data、Cloud Pak for Application、Cloud Pak for Integration、Cloud Pak for Automation、そしてCloud Pak for Multicloud Managerだ。これらの技術をIBMの顧客は、AWS、Azure、Google Cloud Platform、そしてほかでもないIBM自身のクラウドで利用でき、そこにはDB2やWebSphere、API Connect、Watson Studio、 Cognos Analyticsなどが含まれている。

今日の発表声明でRed HatのCEO Jim Whitehurst(ジム・ホワイトハースト)氏は「Red HatはコンテナやKubernetesなども含むLinuxベースの技術でイノベーションを駆動しており、それはハイブリッドクラウド環境の基盤的ビルディングブロックになっている。ハイブリッドクラウドのためのこのオープンな基盤により、「any app, anywhere, anytime」(どのアプリケーションもどこでもいつでも動く)というビジョンが実現可能になる。それがIBMの強力な専門的能力と結びつき、意欲的なデベロッパーやパートナーから成る巨大なエコシステムにサポートされれば、顧客は自ら選んだ技術で現代的なアプリケーションを作り、オンプレミスでも複数のパブリッククラウドにまたがるものでも、そのアプリケーションにとって最良の環境でデプロイする柔軟性を持つことができる」と述べている。

IBMは、クラウド上の初期のイノベーションの多くは現代的で顧客志向のアプリケーションを市場化することにあり、主にベーシックなクラウドインフラストラクチャにフォーカスしていた、と主張している。しかしながら今日では、エンタープライズは自分たちのミッションクリティカルなアプリケーションをクラウドで動かすことにも関心がある。そのために彼らは、複数のクラウドにまたがって使えるオープンなスタックを求めているのだ。

さらにIBMは今日、完全な管理を伴うマネージドなRed Hat OpenShiftサービスを自身のパブリッククラウド上でローンチする、と発表した。そのほかに同時に、IBM ZやLinuxONEメインフレームなどIBM Systems上のOpenShiftと、Red Hatに関するコンサルティングおよび技術的サービスの立ち上げも発表された。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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