広告詐欺対策製品を開発するMomentum、SMBCやみずほなどから資金調達

クラッキングなどサイバー犯罪が攻撃者と対策者のいたちごっこになっているなんて話はよく聞くが、アドテクノロジーの進化につれて、不正に広告を出稿させる「アドフラウド(広告詐欺)」という行為が増えていることはご存じだろうか?

そんなアドフラウド対策で広告のパフォーマンスを向上させるサービスを展開するのがMomentumだ。同社は5月29日、SMBC ベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、VOYAGE VENTURES、GMOベンチャー通信スタートアップ支援を引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施した。調達額は約7000万円。GMOベンチャー通信スタートアップ支援はシードラウンドでも同社に出資をしており、今回は追加出資となる。

Momentumが提供するのは、アドネットワーク向けのアドフラウド対策プラグイン「Black Heron」と、広告主・広告代理店向けのアドフラウド・アドベリフィケーション(ブランド保護)機能を備える第三者配信ツール「Black Swan」。

アドフラウドとはどんな行為を指すのか? 具体的には、悪意のある媒体(広告出稿先)の運営者の指示でボットや人を使って意図的に広告を複数回表示・クリックするといったことから、インラインフレーム内などでの広告の大量表示、誤操作での広告クリックを促すなどさまざま。

海外では大きな問題になっているようで、2014年にはMercedes-BenzがRocket Fuelを通じて配信した広告は、人間よりも不正な出稿を促すボットに見られていたなんてニュースもあった。Momentumによると、米国ではインプレッションの10〜20%以上が不正な広告出稿だという調査データもあるそう。日本ではまだここまでアドフラウドは多いという状況ではないが、「(疑いがあるという意味で)グレーなものを含めると、インプレッションの5〜8%はアドフラウド」(Momentum代表取締役社長の大久保遼氏)なんだそう。

アドフラウドのイメージ

アドフラウドのイメージ

MomentumのBlack Heronでは、IPのチェックからはじまって約90種類の判断基準でアドフラウドの可能性の高さをスコア化してアドネットワークに提供。効果を生まない広告出稿を防ぐことで、アドネットワーク全体のパフォーマンスを向上させるのだという。

一方でBlack Swanではアダルトサイトや違法ダウンロードサイトなど、ブランドによっては出稿が不適切だと判断され、価値毀損が起こる可能性のサイトへの出稿を避けることができる。そのほか、アドフラウドに関する情報を広告主や広告代理店に提供するツールも展開している。

また現在、全自動のアドフラウド対策ツールも開発しているとのこと。このツールとBlack Swanによって、オンライン広告のCPAが3〜7%以上削減することが期待できるという。

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現在BlackSwanを利用できるのは、Google AdWordsやフリークアウトなど。詳細は以下のとおり。

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なお海外では、White OpsDoubleVerifyといったサービスも登場している。ただし大久保氏いわく、「海外ではボット対策が中心になっているが、日本では日本ならではの手法のアドフラウドも多い。人間への対策も必要になってくる」とのこと。

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TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。