店舗や企業の配置をマップに正しく表示するPlaceKitのSocialRadarが国際展開へ

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オンライン地図はこの数年で驚くほど精度が改善された。しかし建物の中のショップや企業の位置となるとこころもとない場合が多い。Uberやタクシーのドライバーが目的のレストランの裏口の前で客を降ろそうとするのはそのためだ。

SocialRadarの新しいPlaceKitはビジネス向けにマップ上の正確な位置データをサポートするサービスだ。この情報はきわめて精密なので、レストランの入り口や会社の受付がどちら側にあるかもわかる。

こうしたことを口で言うのは簡単だが、実際にはどうだろうか? SocialRadarはデモサイトを用意して自社の地図データをGoogleマップと並べて表示した。なるほどひと目見ればどちらのデータがより正確かわかる。

SocialRadarのCEO、Michael Chasenは大成功を収めた教育テクノロジーの企業Blackboardの共同ファウンダーであり、1997年から2012年までCEOを務めた。当時Blackboardのエンジニアは位置情報ベースの一般向けアプリの開発を試みたが、すぐにビジネスの位置を示すデータとしては既存のロケーション・サービスの情報が根本的に不正確であると気づくことになった。そこでチームはこの問題を修正するツールを独自に開発した。その最初の成果がLocationKitというツールで、これは位置情報の管理を行うSDKだった。デベロッパーはAppleとGoogleのロケーション・マネージャーの代わりにこのツールをドロップインで利用できた。

デベロッパーがユーザーのビジネスの位置を正確に地図上に表示する際にLocationKitは大いに助けとなったが、新しい PlaceKitはビジネスの位置する周囲の環境までよく理解している。

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PlaceKitの位置情報データはオフィス・ブロックも正確に表示する

Googleマップはほとんど常に検索地点の周囲の「興味ある場所」をサイドバーに表示するが、レストランにはどちらの道から入ったらよいかについてはあいまいなことが多い。 SocialRadarのデータはこの点はるかに正確で、ユーザーはレストランやショップへのアクセス経路で迷うことがない。開発チームはこのデータベースをオフィスビルにも拡張している。他の地図はそのビルを所在地としている企業名を単にまとめて表示することがほとんどだが、SocialRadarはこうしたデータもきちんと整理している。

The same area on Google Maps

上のオフィスブロックがGoogleマップではこういう表示になる

Chasenはこうした正確な位置情報の表示を可能にするテクノロジーについては多くを語ろうとしない。しかしチームは「われわれが開発した独自のアルゴリズムを利用して街路レベルの画像情報と人力による解析をうまく組み合わせる方法を発見した」という。私が理解したところによると、人力による解析作業のかなりの部分はMechanical Turkのアウトソーシングを利用しているようだ。ただしSocialRadarは開発したテクノロジーについていくつかの特許を申請している。

SocialRadarの新しい位置情報データベースはアメリカの大都市のほとんどをカバーしている。さらにChasenはフランスの首都、パリの位置情報を整理するためにこのツールをテストしているところを見せてくれた。SocialRadarではできるかぎり早い時期に位置情報サービスを外国に拡張する計画だ。その手始めはヨーロッパになるという。

現在SocialRadarはデータを大企業やモバイル広告代理店などにライセンスする計画だ。残念ながらすべてのデベロッパーが利用できるセルフサービス・タイプのプランではない。しかしChasenは将来はそうしたサービスも視野に入れていると語った。

SocialRadarのツールの有効性を目の当たりにして、大規模なサービスを提供するビジネスがこのテクノロジーを採用すれば効果的てあることは間違いなさそうだと感じたU(たとえばUberやLyft、モバイル広告ビジネスなど)。あるいはSocilaRadarをストレートに買収しようとする企業も現れるかもしれない。

画像: UNDER A CC BY 3.0 LICENSE

〔日本版〕デモサイトを開くとGoogleマップが表示される。画面上部のSocialRadar Placekit Mapsをクリックするとショップやビジネスが詳しく表示されたマップになる。Office Buildingと書かれた横の下向き三角のアイコンをクリックするとドロップダウン窓に入居しているショップやオフィスの一覧が表示される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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