後払い販売(Buy-Now-Pay-Later)が英国で規制対象に

政府による審査の結果、英国の金融サービス規制当局はKlarna(クラーナ)、AfterPay(アフターペイ、英国内ではClearpay)などの企業によって普及した「buy now, pay later(バイ・ナウ・ペイ・レイター、後払い販売)」業界を規制するよう指示された。

業界への聞き取りは継続中であり、その後議会の日程が合い次第「buy now, pay later」規制法案が可決される見込みだ。

これによって英国の金融行動監視機構(FCA)は、無利息のbuy now, pay later契約の規制を厳格化することを求められる。たとえば企業は融資の前に包括的な支払い能力審査を行い、顧客が公正に扱われることの確認を「特に返済に苦しむ弱者」について要求される。これまでこの業界は、クレジットカードなどの利付商品に含まれていないために規制対象から外れており、消費者は問題が起きた時に頼る術がなかった。

「多くの消費者は無利息のbuy-now-pay-laterを信用販売の一種であると認識していないため、信用販売と同レベルの監視が適用されず、サービス提供者によるチェックも企業にとってのリスクに焦点を当てたものであり顧客にとって購入可能であるかどうかの視点がありませんでした」と英国財務省は語った。

FCAのChristopher Woolard(クリストファー・ウーラード)氏による審査報告では、信用調査の問題および売買契約者間における透明性の欠如が適切に指摘されている。「通常の取引は比較的少額ですが、買い手は複数のサービス提供者と契約することが可能であり、審査結果によると、信用照会期間や主要金融機関から見えない状態で1000ポンド(約14万3000円)程度の負債が容易に生じます」と財務省は指摘する。

さらに審査結果によると、英国における後払い販売市場は27億ポンド(約3885億円)に上り、パンデミックでオンラインショッピングがブームになって以来、500万人が利用しており、その多くはすでにその他の信用販売で支払いを滞納している。

これまで小売業者が提供する無利息後払い販売は、英国の信用に基づく金融商品から消費者を守る目的の規制の対象外だった。英国の金融問題活動家であるAlice Tapper(アリス・タッパー)氏は2020年6月に「#regulateBuyNowPayLater(BuyNowPayLaterを規制せよ)」キャンペーンを開始し、これは「規制がテック巨人に追いついていない典型例」だと以前。私に話している。

「消費者信用法は1970年に制定されたもので、アルゴリズムや瞬時の融資判断を想定していません」と彼女は説明した。「これは事実上消費者保護がゼロであることを意味しています。消費者は購入あるいは広告を見た時点でリスクに関する情報を与えられていません。債務回収や責任ある支出についの言及もありません。これは、若者や脆弱な消費者など信用商品を使った経験のない人たちにとって特に深刻です」。

一方、たとえばKlarnaは規制強化に反対ではないという姿勢を貫いている。もちろん悪魔は細部に宿っていて、まだ決着はついていない。「有意義なかたちで作られた良い規制は意味をなすと思っています」とCEO・共同ファウンダーのSebastian Siemiatkowski(セバスチャン・シェミアトコフスキ)氏は2020年私に話した。「私たちはどの点についても反対ではありません、それが市場にいる全プレーヤーに公平である限り」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Klarnaイギリス

画像クレジット:FCA

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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