復活したばかりの老舗音楽共有アプリTurntable.fmのそっくりライバル「tt.fm」がiOS・Androidベータ版アプリ発表

あなたが混乱したとしても無理はない。私自身このネタを追ってきて、まさに今書いているところだが、それでも混乱してしまいそうだ。「Turntable.fm」(オリジナルの、そして最近再リリースされた、ソーシャルミュージックアプリの名称)と混同してはいけないTurntable(または「tt.fm」アプリ)は、米国時間6月8日、同社サービスのiOS版、Android版、およびデスクトップPC版を提供開始したと発表した。

簡単に説明すると、オリジナルのTurntable.fmは、ライブ音楽プラットフォームに注力するために2013年に閉鎖された。このサイトで数え切れないほどの就労時間を費やした我々にとって、とても悲しい日だった。しかし、こういうこともある。人は変わり、企業はピボットするものだ。

もちろんそのノスタルジアは、この1年間、家の中に閉じこもって社会とのつながりを求めていたときに猛烈な勢いで戻ってきた。ある程度の年齢に達しており、おそらくTwitchにまだどっぷり浸かれていない我々のようなユーザーは、サイトを懐かしく思うようになった。そこで創業者のBilly Chasen(ビリー・チェイセン)氏は、Turntable.fmの復活を計画した。現在のベータ版では、ロイヤリティの問題を回避するためにYouTubeストリーミングを利用するなどいくつかの変更点はあるものの、ちょっとしたタイムカプセルのようなものだ。よくできている。私はこのところ使っている。楽しい。そしてつい先日、この会社は新しい10年に向けて750万ドル(約8億2000万円)を調達した。

ほぼ同時期に、Turntable.fmの初期の従業員がこのサービスを別の形で立ち上げることにした。モバイル利用に焦点を当て、クラウドファンディングのルートを選択したtt.fmは、懐かしさの波に乗り、2021年3月に発表された50万ドル(約5500万円)の資金調達に成功した。

6月8日、そのサービスがベータ版として開始される。同アプリは現在、Apple(アップル)App StoreとGoogle(グーグル)Play Storeで公開されている。また、ブラウザでアクセスすることも可能だ。Turntable.fmと同様に、tt.fm(ここではわかりやすくするためにそう呼ぶ)もサードパーティの音楽サービスに依存している。起動時には、リンクされたSpotify(スポティファイ)またはApple Musicのアカウント、およびSoundcloud(サウンドクラウド)から音楽を取り込む。YouTube機能は近日公開予定だという。

上の画像からわかるように、このサービスはTurntable.fmと同じフォーマットに基づいており、似ているが異なるグラフィックとなっている。DJがステージ上で曲をプレイし、観客がそれを気に入ったら頭を振ってうなずく。この新しいサービスの特徴の1つは、アーティストによるDJセットをホストすることだ。

Turntable(tt.fm)のCEOであるJoseph Perla(ジョセフ・パーラ)氏はリリースの中でこう語った。「オリジナルTurntableのファンは、ダンスフロアに戻ることを熱望しており、ライブDJセット、音楽ファンとのソーシャルネットワーキング、音楽の共有、オンライン音楽コミュニティなどのニーズに応える製品を求めていました」。

Turntable.fmのファンとしては、ゼロから突然2つのサービスになったことは、突如大金持ちになった恥ずかしさのように感じる。しかし、2021年の混雑したメディア環境の中で、ニッチを超えて本当に成功できるかどうかは疑問が残る。Turntable.fmのようなアプリが1つ存在する余地はおそらくあるだろう。

しかし、2つ?このすでに奇妙な物語は、さらに奇妙なものになりそうだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:ベータ資金調達音楽音楽ストリーミング

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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