急成長するタイの物流スタートアップFlash Expressが約210億円を調達

タイのeコマース企業と協業している創業2年のロジスティックスタートアップFlash Express(フラッシュ・エクスプレス)は米国時間10月12日、新たな投資ラウンドで2億ドル(約210億円)を調達したと発表した。新型コロナウイルスのパンデミックによる需要で急成長中のマーケットに賭けるようだ。

シリーズDラウンドは、タイのコングロマリットである石油大手PTTの子会社PTT Oil and Retail Business Public Company Limitedがリードした。他に、東南アジアで大きなコングロマリットであるDurbelとKrungsri Finnovateも本ラウンドに参加し、Flash Expressのこれまでの調達総額は4億ドル(約420億円)になった。

ドアツードアのピックアップと配達サービスを展開しているFlash Expressは、この分野における民間企業としては2番目の規模だと主張している。Alibabaからも出資を受けているFlash Expressは小包1つの配達料金60セント(約58円)という低価格でマーケットに参入し、あっという間にかなりのマーケットシェアを獲得した。

同社はこの1年間、積極的に事業を拡大した。2019年の今頃、同社の配達拠点は1100カ所だったが現在では5000カ所を超え、138年の歴史を持つ郵便事業者のThailand Postを上回っている。

Flash Expressは現在、1日あたり小包100万個を配達している。昨年の今頃は5万個だった。同社はまた、完全自動分別システムにより1分間に小包10万個をさばけるようにするテクノロジーにもかなり投資した、としている。

CEOのKomsan Lee(コムサン・リー)氏は、調達した資金は新たなサービスの導入や他の東南アジアマーケットへの進出(具体的な国名は明らかにしなかった)にあてる計画だと述べた。「当社はまた、配達の質を高め、ロジスティックの効率化を図れる新たなテクノロジーの開発も準備している。さらに重要なことには、当社は中小企業の投資コストを下げることでそうした企業をサポートしたいと考えている。これは長期的にデジタル時代のタイ経済全体に貢献するものだと確信している」。

Retail Business Public Company Limitedは、増大する消費者の需要に対応するためにFlash Expressのロジスティックネットワークを活用する計画だ、と企業戦略、イノベーション、持続可能性を担当する上級副社長のRajsuda Rangsiyakull(ラージスダ・ランシヤックル)氏は述べている。

Flash Expressは、同様にAlibabaから出資を受けているBest Express(ベスト・エクスプレス)、2019年8月にIPOを申請したKerry Express(ケリー・エクスプレス)と競合する。

オンラインショッピングやデリバリーはここ数カ月急増したが、タイのロジスティックマーケット全体は今年、史上初めて縮小するとの予測がある。タイ運輸・物流協会の会長Chumpol Saichuer(チュンポール・サイチュアー)氏は先月、タイのロジスティック事業はすでに世界経済後退で大きな打撃を受けていると述べた。

カテゴリー:ニュース
タグ:Flash Expressタイ物流 / ロジスティクス資金調達

画像クレジット:Flash Express

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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