急速充電が可能なKiaの電動クロスオーバーEV6が2022年初頭に米国に登場

Kia(起亜自動車)は米国時間5月18日の夜、内燃機関から電気自動車への構造的変化を目指す「プランS」戦略の一環として、全電動クロスオーバーのKia EV6を2022年初頭に米国で発売するとニューヨークで行われたライブストリーミングイベントで発表した。

EV6は現代自動車グループのHyundai(現代、ヒュンダイ)およびGenesis(ジェネシス)と共通のプラットフォームである新Electric-Global Modular Platoform(エレクトリック・グローバル・モジュラー・プラットフォーム、E-GMP)で構築された初のバッテリー電気自動車だ。E-GMPは新型コンパクトクロスオーバーHyundai Ioniq 5の基礎となったものである。EV6はKiaが2026年までに全世界で発売する予定の11種の電気自動車のうちの1つとなる。

同社によると、新型バッテリー電気自動車名の先頭にはすべて「EV」という称号が付き、それに続いてラインナップの中でのポジションを示す数字が付けられるという。つまりEV6は今後のラインナップの中でも中間あたりに位置することになる。

2021年初めのグローバルデビューの際にも詳細が多く発表されたが、今回さらに公開された情報によると、6月3日から1500台の初代EV6の予約が開始するという。なお、各種機能の価格は明らかにされていない。

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EV6 First Editionはベースモデルと同様に、ARヘッドアップディスプレイ、リモートスマートパーキングアシスト機能、14スピーカーのMeridian(メリディアン)製オーディオシステム、SiriusXMの2年間利用権など多くの技術的な付加価値を備えている。また、ワイドサンルーフ、20インチホイール、デュアルモーターAWD、77.4kWhのバッテリーなど、メカニカル面でもエクステリア面でも特筆すべきアップグレードが施されている。

2022 EV6(画像クレジット:Kia)

基本概要

広々としたスポーツカーのような外観と性能を目指してデザインされたこの4ドアクロスオーバーのEV6は、フロントエンドが低くルーフラインに向かって上がるクーペのような外形となっている。LEDヘッドライトにはセグメントパターンが採用され、また内燃機関車に見られる従来のグリルはなくなっている。

EV6のホイールベースはKia Tellurideと同じ114.2インチのためサイズ感は想像しやすいのではないだろうか。

EV6には58kWhと77.4kWhの2種類のニッケルコバルトマンガンバッテリーが搭載されており、77.4kWhのバッテリーで300マイル(約483km)の航続距離を目標としている。後輪駆動とAWDの2種を備え、電気モーターとバッテリーの構成により167~313馬力を発揮。EV6 GTはより大きなバッテリーと強力な前後の電気モーターを搭載したAWDモデルで、567馬力を発揮する。GTモデルは2022年後半まで発売されないが、0から60マイル(約97km)加速は3.5秒以内だという。

さらに重要なのは400ボルトと800ボルトのDC充電に対応していることだろう。Kiaは350kWの充電器からの800V DC急速充電により、18分以内に最大210マイル(約338km)の走行距離を追加できると説明している。

同社はあらゆる充電機能を搭載。EV6には11kWのレベル2充電器が搭載されており、約7時間でバッテリーを充電することが可能だ。また、EV6には「ビークル・トゥ・ロード機能」と呼ばれる機能が搭載されており、これはEV6が家電製品やパソコンなどのデバイスやツールの電源になり得ることを表現した言葉である。これはバッテリーから充電コントロールユニットに電気を取り込むことにより、1900Wの電力を供給する仕組みだ。

2列目のシートベース前部のソケットにある100Vコンセントを介してこの電源に接続することができ、バッテリーがフル充電されている場合36時間以上連続して電力を得ることができると同社はいう。また、110V充電器と同等の1.1kWというペースではあるものの、車から車への充電にも使用可能だ。

2022 EV6(画像クレジット:Kia)

その他にも運転支援、安全性機能、車載テクノロジーなど数多くの機能が搭載されている。車内にはカーブを描いた2つの12インチスクリーンディスプレイを備え、インストルメントクラスターとインフォテインメントセンターを完備。また、最近では定番となっているBluetooth機能やスマートフォンのワイヤレス充電機能も備えている。

追加料金を支払えばWi-Fiホットスポットのほか、地図やインフォテインメントシステムのソフトウェアをワイヤレスで更新する機能を追加することも可能だ。Kia Payと呼ばれる車載用コマース機能、盗難時のリカバリートラッカー、AppleやAndroidのスマートウォッチを利用してバッテリー状態や車両に関する通知、車両制御を表示するスマートウォッチアクセシビリティ、天気やルート案内などのコネクテッドカー機能なども備えている。

さらにスマートスピーカーと連携させることで、Amazon AlexaやGoogle Assistantを使ってリモートスタートなどの車両機能を遠隔操作することもできる。

車外に設置された4つのカメラが360度の視界を確保。駐車時に障害物を検知する他、ドライバーや同乗者がドアを開ける際に、何かが接近すると検知した場合に警告を発して退出させないようにする安全機能も搭載している。

また、前走車との距離を一定に保ち、車線内の中央を運転するようにする機能など、21種類の高度な運転支援システムを標準装備している。Kiaによると、同機能の新バージョンでは車線変更をサポートして車線内での車体の側方位置を調整することもできるようになるという。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Kia電気自動車

画像クレジット:Kia(screenshot

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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