情報セキュリティ職員が三人しかいないラスベガスをネットワークのAI化で守るDarknet

ラスベガスには数十万の人びとが住んでいる。しかし市の情報セキュリティチームは、わずか3名の職員とインターンが1人いるだけだ。そこでラスベガスのCIOは、人工知能を使って市のデータとテクノロジーの安全を図っている。

“もっとも警戒しているのは、ランサムウェアとフィッシングだ”、とCIOのMichael Sherwoodは語る。“どちらも、手口はきわめて単純だが防御は難しい”。Sherwoodは夜の安眠を確保するために、DarktraceのAIによるセキュリティソリューションで彼の小さなチームを支えている。

人工知能は今やテクノロジー産業全体のバズワードで、サイバーセキュリティも同様だ。企業向けのセキュリティ企業は、自分たちの製品にAI機能を後付けで加えて顧客企業のネットワークの異状を検出している…人の介入が要らないように。

しかし2013年に創業したDarktraceによると、同社は最初からAIを利用している。“うちはほかのセキュリティ企業に比べて3年以上の経験の差がある”、とCEOのNicole Eaganは語る。“今では多くの企業が機械学習を謳っているけど、‘それで何をしているの?’と私は聞きたい。うちは、まったく独自の使い方をしている”。


Eganによると、一部のベンダーは機械学習を使って彼らの製品にマルウェアの認識を教えているが、彼女のチームは機械学習を利用して企業のネットワークに“自己意識”を与え、侵入を自分で検出できるようにしている。彼女はそれを、人間の免疫系になぞらえる。感染を自分で検出して自動的に対応するのだ。

検出はDarktraceの製品の前からの機能だが、自動対応は新しい。しかしそれは、Sherwoodのような小さなチームにはきわめて重要な機能だ。“Darktraceを使っていると、ネットワークのある部分では不安がまったくなくなる”、と彼は述べる。“応答性が良いし、必要なコントロールをただちに実装できるようになる”。

Darktraceの目標は、応答に関する意思決定を自動化して、人間の承認を不要にすることだ。AIのそこまでの君臨は怖くもあるが、しかしSherwoodはその考え方に前向きだ。彼はそのような総合的アプローチをUberやLYftになぞらえる。彼らは市の規制やタクシー業界とたたかって、ベガスの通りを走れるようになった。“やるなら、中途半端はいけない。今や人工知能は不可欠の要素だ。人間は毎日、間違った意思決定をしているからね”、これが人海戦術に頼れない市のセキュリティ管理者としての、彼の考え方だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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TechCrunch Japan

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