愚か者とそのBitcoinたち

今日(米国時間3/4)、ある広報マン ― 私のお気に入りの一人 ― からテキストメッセージが届き、テキサス州オースチンにできた2台の新しいBitcoin ATMと、SXSWで酔っぱらったソーシャルメディア・マーケティング・マネージャー向けに暗号化通貨を吐き出すであろう「移動」ATMについて、独占取材をしないかと誘われた。

「このネタ欲しくない?」と彼は尋ねた。

「いいや」と私は答えた。なぜなら真相は、Kim-Maiが数日前に秀逸な記事、『Mt. Goxの退場はもっとまともな第二世代のBitcoin起業家の時代を開く』で示唆した通り、われわれ暗号化通貨ファン(私も1人に数えている)は間抜けであるということだからだ。

われわれは日本で大量のBTCを持つ奇妙な男の子を信じている。われわれは、その存在以外に内在的価値を持たない通貨に投機している。「交換所」が殆どの場合プログラマーのミスによって生まれたり死んだりしているのを見ている。ちょっとこれを見てほしい。Flexcoinは、まあまあ人気の交換所だが、有り金を残らず盗まれて閉鎖した(「2014年3月2日、Flexcoinは攻撃を受けホットウォレットのコインをすべて奪われた。強盗は896 BTCを持ち去った」と管理人が書いている)。ではPoloniexはどうか。彼らは資産の12%をハッカーに奪われた。現時点でそれは、どの交換所がハック〈されない〉かに賭けるゲームだ。ちなみに私の金はCoinbaseにある。

ファンサイトでは、スマホにBitcoinウォレットを持っていてワンドリンクのオーダーをBTCで受けるバーテンダーが次のJeff Bezosになる、とばかりに喜んでいる。現実はと言えば、Bitcoin Jeff Bezosは存在しない、なぜなら、Jeff Bezosの頭脳を持つ人間は、現在のBitcoinがトンデモであることを知っているから。

現状に対する私の意見? 応援はもう十分。Bitcoinはもっと真剣になる必要がある。そこには想像を超えるチャンスがある。しかし、その「シーン」の登場人物 ― 「投資家」からハードウェアメーカーから採掘者から交換所の設立者まで ― ほぼ全員の心的自慰やばかばかしい失敗や常識外れな金欲は、Bitcoinの基本前提にとって何一つ良いことがない。われわれ人類が、誰にでもいつでも何のためにでも、匿名で支払い、スムーズな交換ができるべきであるという前提だ。それ以外のすべては無価値だ。

愚か者と子供たちがBitcoinの社交場を乗っ取った。次に何が起きるのか。ガキ共が飽き、大企業が参入して牛耳りBitcoinを無力な送金手段に変える。PayPalは喜んであなたの指定BTCプロバイダーになり、Chase Manhattanは送金手数料の一部を手にしつつ、スムーズな支払いプロセスの恩恵に預かる。Amazonは大喜びで、あなたがAmazon商品を買うための予算でいっぱいの秘密ウォレットを提供するだろう。真っ当な感覚の持ち主なら、これがBitcoinの向かう方向であるとわかるだろう。

私だって心地よいBitcoin物語は大好きだ。近所のサンドイッチショップがBTCを受け取るって? 是が非でもあなたが喜んでいることを伝えるべきだ。しかし、スクラントン市中心部でネットワーク効果を起こすためのあなたの努力が、Bitcoinの存在に何らかの影響を与えるとは思わない方がいい。老後の貯金をウォレットに入れれば、何時間かの間、ディナーパーティーの人気者になれる。最高の気分だ! 経済問題を語り反対意見を言う相手を叩きのめす。それがインターネットのやり方だ。

ただ、あなたが自分のコミュニティーに対して何か良いことをしていると思ってはいけない。なぜなら全世界はBitcoinを失敗と混乱だと考えているからだ。あなたは何らそれを和げてはいない。

BTCの素晴らしき新世界を作ろうと懸命な努力をしている善良な人々はいる。しかし、彼らはごく稀でしかない。

しかし自主規制がなければ、はるかに卑劣な何者かがBitcoinを統制するだろう。Bitcoinの現在の宣伝文句は詐欺一歩手前 ― すぐに儲かります! 今大人気です! ― であり、Bitcoin交換所は、現金を靴の箱に隠して公園のベンチに置いておく方が安全だ ― 少なくともベンチは窓から見える。Bitcoinを破壊するには頭が良い必要すらない。欲深ければそれでいい。

この市場は成熟と自制を必要としている。あるアイデアのために死のうと思う人は、大てい一人で死ぬことになる。それは何度でも起きる。これは例外ではない。大人になろう、Bitcoinファンよ、さもなくばこの夢ははかなく消えていく。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook