才能あるテック系個人を支援するEntrepreneur Firstがトロントに進出

Entrepreneur First (EF)は、チームをまだ組んでいない、そしてアイデアを温めている個人を発掘してスタートアップを立ち上げるのをサポートする「才能インベンター」だ。英国・ロンドンに本社を置いているが、このたびカナダに進出すると発表した。

EFが北米マーケットに進出するのは初めてとなる。EFは現在、ロンドン、ベルリン、パリ、シンガポール、香港、バンガロールに拠点を構える。

EFは資金1億1500万ドル(約124億円)調達のクロージングを2020年2月に予定していて、その後カナダ・トロントでローンチする。

この資金調達が発表されたとき、EFは新たな資金をグローバル展開の継続にあてると話していた。特に、今後3年間でさまざまなプログラムに参加する個人2200人超をサポートできるようになるとした。

これにより、ベンチャーがサポートする300社超の企業が興されるはずとのことだ。この数字は、マッキンゼーで同僚だった Matt Clifford(マット・クリフォード)氏とAlice Bentinck(アリス・ベンティンク)氏が2011年にEFを設立して以来、サポートしてきたスタートアップの3倍だ。

往々にしてアクセラレータと誤って呼ばれるが、EFは「チーム結成前」「アイデア実行前」の個人をサポートするという手法をとっているため、他のスタートアッププログラムとは異なる。つまりEFのプログラムで参加者は通常、共同設立者や会社を見つけることになる。そうしてできるスタートアップはEFなしには日の目を浴びなかったものだ。

EFの手法は、イグジットや資金調達の面からして、これまでのところ新たなタイプのベンチャーモデルとなっている。だが、1つの都市とエコシステムで展開しているEFのスタッフを他都市に完全にもってくるということはできないため、いかに規模を拡大するかについては疑問が残る。あるVCが私に言った通り、「マットとアリスの代わりはいない」からだ。

だが、GreylockのパートナーでLinkedInの共同創設者であるReid Hoffman(リード・ホフマン)氏はEFの規模拡大を確信している。GreylockはEFに投資していて、ホフマン氏は「EFが20〜50都市に進出して、面白いテック企業を創出するのに不可欠の存在となるはずだ」とTechCrunchに以前語っていた。

クリフォード氏の声明は以下のとおりだ。「第3の大陸でプログラムを立ち上げることで、世界で最も野心的な個人に今置かれた場所で会社を立ち上げるためのツールを提供するという目標の達成に一歩近づいた。トロントは、資金、そして才能の面で北米で最も急速に成長しているテックエコシステムのひとつであり、トロントでの展開は我々にとって次世代の野心的な創業者の登場を促す素晴らしい機会となる」。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。