採用活動する前に候補者を囲い込む、タレントプール型採用ツールの「EVERYHUB」

タレントプール型の人材採用サービス「EVERYHUB(エブリハブ)」を提供するEveryhubは3月14日、プレ・シードラウンドとしてF Venturesを引受先とした第三者割当増資を実施した。調達金額は500万円だ。これに併せて、同社はEVERYHUBの正式版を本日より提供開始する。

写真左より、代表取締役CEOの小林祐太郎氏、CTOのTyler Shukert氏

数多くの人材採用系のサービスがあるなかで、EVERYHUBはちょっと変わった採用のあり方を提案しようとしている。自社に興味を持つ人々をあらかじめ囲い込み、その時点で採用活動を行っていようがなかろうが、それらの人材をタレントプールとして管理するという方法だ。

このようにタレントプールを構築し、その中の人材と継続的にコミュニケーションをとり続けることで、いざ採用活動を行うとなったときに効率的に候補者を絞りこむことができるというわけだ。

EVERYHUBでは、企業のタレントプールに紐付いたURLとQRコードを発行することができる。その企業に少しでも興味がある候補者は、これをスマホのカメラで読み取り、氏名、メールアドレス、パスワードの3点を入力することでタレントプールに参加できる。例えば、イベントで設置するバナーや名刺にこのQRコードをプリントしておけば、オフラインで出会った人々もタレントプールに呼び込むことが可能になる。

ちなみに、EVRYHUBはWebアプリとして提供しているので、QRコードを読み込むとアプリをダウンロードしろと言ってくることもない(僕はそこで離脱してしまうたちだ)。

企業はタレントプールに参加した候補者に対し、チャットやタイムライン型のフィードコンテンツを通してコミュニケーションを図ることができる。費用をかけて人材募集をかける前に、まずはタレントプール内の人材に対してフィード上で募集をかけるといったことも可能だろう。

タレントプールに参加した候補者は、EVERYHUBのサービスページにアクセスして自分のプロフィール情報をより充実させることも可能だ。タレントプールへ参加する時に入力した3つ情報に加えて、学歴やスキルなどを追加で入力することができる。すると、履歴書のフォーマットにそったプロフィールが自動で作成される。

Everyhub代表取締役の小林祐太郎氏によれば、このプロフィール機能は「社内会議で利用するために履歴書のフォーマットで候補者のプロフィールが見たい」という声を受けて導入したのだという。一方の候補者も、この履歴書をダウンロード(もしくは印刷)して利用することが可能だ。

EVERYHUBはタレントプールを作成する企業側に対し月額3980円〜の料金で提供する。それに加えて、タレントプール内の人数に応じて従量課金が発生する。

タレントプールという仕組みを取り入れ、広い意味での候補者たちと継続的なコミュニケーションが取れるというメリットを打ち出すEVERYHUB。しかし、現時点で同サービスが提供する機能だけを考えれば、ビジネスSNSの「Wantedly」とそう変わらないように見える。Wantedlyでも企業を”フォロー”することで最新情報を受け取ることができるし、企業側もフォローした候補者にアプローチできる。

QRコードを活用してオフラインでの出会いも採用に生かせる、という点のように、EVERYHUBならではのタレントプールという仕組みを生かし、既存サービスとは違うメリットをどれだけ訴求できるかが今後の成功の鍵となるだろう。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。