改良版Bitcoinを名乗るOpenCoinがAndreessen Horowitzらから資金を獲得

このところ、毎日のようにBitcoin関連の投資話がある。どうやらVCたちは、分散型デジタル通貨を取り巻くエコシステムへの投資に躍起になっているようだ。今日はOpenCoinが、Andreessen Horowitz、FF Angel、Lightspeed Venture Parnters、Vast Ventures、そしてBitcoin Opporunity Fundからエンジェル資金を調達したと発表した(額非公開)。最後のBitcoin Opporunity Fundは、SecondMarketのファウンダBarry Silbertが作ったBitcoin関連専門のVCだ。そしてOpenCoinは、オープンソースの支払決済プロトコルRippleのデベロッパでもある。

OpenCoinは、新たに得られた資金をRippleのオープンソースコードの拡張に充てる。Rippleは、一種の仮想通貨/支払システムで、誰もがどんな通貨でも、またどれだけの額でも、低コストで取引できる市場を作ろうとしている。CEOのChris Larsenは金融業界のベテランで、P2P方式の巨大貸し金サイトProsperのファウンダでもある。OpenCoin自体は、新しいグローバル通貨を作ることをミッション(企業の使命)としている。

OpenCoinは“Bitcoinのコピー”だ、と言う人もいる。分散型でオープンソースの支払ネットワークであり、そして”Ripple”と呼ばれる独自の仮想通貨(Bitcoin的)を使う。でもOpenCoin自身は、Bitcoinの同類と見られるのは迷惑、と言っている。

Bitcoinは今人気急伸中で、仮想通貨としては初めての10億ドル市場になりつつあるが、にもかかわらず、あるいは、それゆえに、不安要素が増し、セキュリティの問題も抱えるようになった。Bitcoinのトランザクションはまた、確認に時間がかかりすぎると言われている。

OpenCoinはこれらの問題を、統一台帳を作ることによって解決しようとする。その台帳には、すべての口座とトランザクションと残高が記録され、それをシステムが自動的にpingすることによってトランザクションの正当性を確認し、1分以内で正しい決済が完了する、と同社は言う。手数料は無料、複数の国にまたがる取引も費用やチャージバックを最小にする。また、Bitcoinのようなセキュリティ問題も、生じない。

同社の主張では、Rippleはどんな通貨にも対応できる。ドルでも円でもユーロでも、それにBitcoinでも。そこでRippleは、初めての分散通貨交換システムとなる。今流通しているRippleはそれほど多くないが、同社は5月に大量の通貨(500億Ripple)を市場に投入し、長期的には総流通量を1千億まで持っていきたい、と同社は言っている。

この話の前にOpenCoinはSimpleHoneyを買収し、その人材を確保した。SimpleHoneyは、ウィッシュリスト(欲しい物・今後買いたい物リスト)をベースとするショッピングアプリケーションで、Bitcoinのような仮想通貨の利用を本格的に大衆化することをねらっている。この買収のタイミングは、OpenCoin自身が仮想通貨交換システムの拡張に乗り出した時期と一致する。この機能拡張によってユーザは、Rippleを媒介として複数の通貨による支払いの送受、口座残高の監視、両替、などができるようになる。

今は多くの人が、Bitcoinの将来を危ぶみ、一時的な流行ないしバブルと見ているが、似たもの視されがちなOpenCoinとRippleには、上で述べたようなプラスの側面もある。またRippleを開発したJed McCalebらのハッカーはBitcoinの初期の開発における中心的人物であり、仮想通貨の世界では高い評価を得ている。最大のBitcoin交換サイトの一つであるMt.Goxを作ったのが、McCalebだ。

OpenCoinは、Bitcoinがもっと進化した形だ、と自負している。セキュリティを重視した複数通貨による交換システムにより、グローバルな分散仮想通貨を世の中のメジャーに押し上げ大衆化していく動きの、先頭に立ちうるかもしれない。

詳しくは、Rippleのサイトで。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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