数百のホテルで提供されるゲスト用Wi-Fiシステムにセキュリティ上の欠陥発見

あるセキュリティ研究者によると、世界の何百ものホテルがゲストにWi-Fiネットワークを提供し、管理するために利用しているインターネットゲートウェイには脆弱性があり、ゲストの個人情報を危険にさらしている。

Etizaz Mohsin(エティザズ・モーシン)氏が語ったところによると、Airangel製のHSMX Gatewayにはプレーンテキストなどハードコードのパスワードがあり、それらは極めて簡単に推測できるものだ。そのパスワードをここでご紹介することはできないが、攻撃者はそれらを使ってゲートウェイの設定と、Wi-Fiを使っているゲストの記録があるデータベースにリモートでアクセスしている。それによりゲストの記録を盗んだり、ゲートウェイのネットワーキングの設定を変えて知らぬ間にゲストを悪質なウェブページへリダイレクトしたりするという。

2018年、モーシン氏は彼が泊まっていたホテルのネットワークが使っているゲートウェイの一部でそれを発見した。そのゲートウェイは、インターネットを介してファイルを別のサーバーと同期するために使われており、モーシン氏によると世界中の有名高級ホテルの一部が数百ものゲートウェイのバックアップファイルをそこに置いていた。またそのサーバーには「数百万」のゲストの名前やメールアドレス、到着と出発の日付が保存されていた。

モーシン氏はそのバグを報告し、サーバーは保護されたが、そこからある考えが浮かぶ「このたまたま1つのゲートウェイに、何百もの他のホテルを危険にさらす、その他の脆弱性はなかったのか?」

そしてそのセキュリティ研究者は、顧客情報の窃盗行為などゲートウェイの侵犯に使われる可能性がある他の5つの脆弱性を見つけた。彼が見せてくれたスクリーンショットでは、あるホテルの脆弱なゲートウェイの管理インターフェースが、ゲストの名前やルームナンバーやメールアドレスを暴露していた。

モーシン氏は新たに発見した欠陥のキャッシュをAirangelに報告したが、それから数カ月が過ぎても英国のネットワーキング機器メーカーはバグを修正していない。同社代表者は、その機種は2018年以降販売しておらず、すでにサポートしていない、とモーシン氏に告げた。

しかしモーシン氏によると、その機器は世界中のホテルやモール、コンベンションセンターなどで今でも広く使われている。インターネットをスキャンしてみると600以上のゲートウェイがインターネットだけからアクセスできる状態だが、本当の脆弱なデバイスの数はもっと多いだろう。被害を受けたホテルの多くが英国、ドイツ、ロシア、そして中東全域にある。

「この脆弱性の連鎖が攻撃者に提供するアクセスのレベルを見るかぎり、彼らにできることの限界はないようです」とモーシン氏はいう。

モーシン氏は彼の発見を、2021年11月にサウジアラビアで行われた@Hackカンファレンスで提示した。Airangelにコメントを求めているが応じていない。

画像クレジット:Jeff Greenberg/Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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