新しいソーラー技術が再生可能エネルギーを大きく後押しする

英国オックスフォードからカリフォルニア州レッドウッドシティまで、いくつもの会社が再生可能エネルギー発電の普及を促進する可能性を持つ新しいソーラー技術の商品化に励んでいる。

今年、オックスフォード大学と協力関係にあるスタートアップ、Oxford PV英国政府から300万ドルの資金を受け、新しい材料を使って太陽電池を作る技術を開発している。一昨日、米国ではSwift Solarという会社が同じ技術を市場に出すために700万ドルを調達した。証券取引委員会に提出した資料による。

ペロブスカイト太陽電池と呼ばれる新しい光起電技術は、有機・無機ハイブリッドハロゲン化鉛系材料を集光レイヤーに使用する。光を電力に変換する効率を現在の技術よりも低コストで改善するここ数年で初の技術だ。

「ペロブスカイトは現在屋根の上に見えているシリコンベースのソーラーパネルでできることを、根本から考え直させるものだ」とSwift Solarの共同ファウンダーで最高科学顧問のSam StranksがTed Talkで語った。「もうひとつ私を驚かせているのが、コストの安さだ」。この薄い結晶膜は2種類の豊富にある塩類を混ぜて作られている。その結果ペロブスカイト太陽電池のコストはシリコンの半額以下になる」

ペロブスカイト太陽電池は2009年に日本の研究者らによって初めて開発されたが、効率が低く不安定だったため、広く利用されることがなかった。しかし、過去9年間に材料の安定性と太陽電池の効率の改善が続けられた。

現在英国のOxford PVは変換効率37%の太陽電池開発を進めている——既存の多結晶光起電あるいは薄膜太陽電池よりはるかに効率が高い。

過去には太陽電池製造のさまざまな新技術が開発されたが、コスト高が商業化の障壁だった。中国政府による製造能力の強力な推進のおかげでソーラーパネルの価格が急激に下がったためだ。

多くの製造メーカーは結局閉鎖したが、生き残ったメーカーが業界の支配的立場を維持していることで、購入者はコスト削減や効率アップのために新技術を求める必要がなかった。

この新テクノロジーも同じリスクに直面する可能性がある。効率を劇的に高めるこの技術のコストは、購入者や投資家を魅することができるほど低い。

すでにOxford PVは、ペロブスカイト太陽電池で27.3%という変換効率の新記録を達成している。これは、現在入手可能な単結晶シリコンパネルの最高値をすでに4%上回っている。

「現在、商業サイズのペロブスカイト太陽電池は当社のパイロット製造ラインに乗っており、商品化に向けて機材とプロセスを最適化しているところだ」どOxford PVのCTO Chris Caseが声明で語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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