新世代チームコラボレーションツールAirtableのようなCRM構築を目指すAttio

Attioは、AirtableNotionZapierのような新世代のコラボレーションツールをよく知ってる人たち向けの新しいCRMだ。同社が作ろうとしているのは、ユーザーの顧客やサプライヤーやパートナーに関する重要な情報をすべて収められるプロダクトだが、それにはまた同時に、データを容易に編成し、一覧し、操作できる柔軟性がある。

AttioはPoint Nineがリードする770万ドル(約8億9000万円)のシードラウンドを調達し、これにBalderton CapitalHeadlineが参加した。同社の以前からの投資家であるPassion Capitalと、数名のエンジェル投資家も参加した。後者はFrontの共同創業者でCEOのMathilde Collin(マチルデ・コリン)氏、Loomの共同創業者でCTOのVinay Hiremath(ヴィネイ・ヒレマス)氏、LoomとHyperの共同創業者であるShahed Khan(シャヘド・カーン)氏、そしてIndeedの共同創業者であるPaul Forster(ポール・フォースター)氏らとなる。

投資家のリストがこんなに長いのも、創業者の経歴を見ればうなずける。Attioの共同創業者でCEOのNicolas Sharp(ニコラス・シャープ)氏は以前Passion Capitalのアソシエイトで、その後Alexander Christie(アレクサンダー・クリスティー)氏とともにAttioを起業。彼は、同社のディールフロー(取引の流れ)部分の処理に多大な時間を投じた。

シャープ氏は特に、AirtableとNotionからヒントを得たという。「現在、ビジネスソフトウェアの世界にはすばらしいことが起きつつあり、特に変化が著しいのはCRMです。今のCRMは、顧客が望むものを何でも作ることができます。その一方で、このようなことが起こっており、それ自体が興味深いものです。CRM市場では、新しい販売方法のパラダイムシフトが起きています。今や、さまざまなチャネルを通じて関係性を育むことが重要になっています」。

つまりCRMソフトはもはや、営業のチームに限定されていないということだ。現在では、A社で仕事をしている多くの人たちが、B社のさまざまな人たちとやりとりをしている。そのような状況で、単一のコンタクトポイントにこだわっていると全体の把握も、追跡もできなくなってしまう。

画像クレジット:Attio

Attioは、既存のさまざまなツールからデータを取り込む。アカウントをセットアップするときは、自分のチームのコンタクト(連絡先)もインポートする。また、メールの会話をCRMのプラットフォームと同期できる。共有のレベルは、メタデータだけか、または件名とメタデータかのどちらかを選ぶ。そしてもちろん、カレンダーの同期もできる。

そうやって設定したあと、AttioはユーザーデータをTwitter、LinkedIn、Facebookといったサードパーティのソースから自動的に補足する。自分の会社と特定のコンタクトとの最近の対話のタイムラインを見ることもでき、他の企業を検索して、その企業にいる自分が知っている人を調べることもできる。

さらにおもしろいのは、コレクションの構築だ。コレクションは、特定のプロジェクトのためのコンタクトのリストだ。例えばすべての投資家のコレクションを作ったり、営業のための情報通信チャネル(いわゆる「コネ」)のコレクションを作れる。知っている記者たちのコレクションもあるだろう。

コレクションの見方は、いろいろある。Airtableのように、行と列からなるスプレッドシート状のインターフェースで、データを加えてもよい。あるコレクションに必要になったら、新しい属性の列(カラム)を増設できる。

あるいは、コンタクトをあるカラムから別のカラムに移動できる。カレンダー形式でもよい。それぞれのビューは、さまざまなフィルターや整列(ソート)の基準でカスタマイズできる。

画像クレジット:Attio

Attioは、多くのSaaS同じような設計なので、チームで利用するのに適している。タブ方式で最新のアクティビティをそれぞれで確認できるし、タスクを作って注記を加えれば、そこからチームとしてのプロジェクトが始まる。

現在、同社には120社ほどの有料顧客がおり、Coca-ColaやSupercell、Saltpay、Causal、Upfront Venturesなどの企業でチームが利用している。しかし、このようにしてCRMを「再発明」しよとしているのはAttioだけではない。競合他社には、最近紹介したFolkや、4DegreesAffinityなどがいる。

シャープ氏がこのプロダクトを思いついたときは、競争がまだそれほど激しくなかった。「当時はNotionが開業したばかりでしたし、みんな新しいスプレッドシートや新しいノートアプリのようなものを開発していました。新しい原理をCRMに応用しようとしている人は皆無でした」とシャープ氏はいう。

ユーザーにとっては、CRMプラットフォームの選択肢は大きく増えた。この分野がどのように進化していくのか、興味深く見守っていきたい。

画像クレジット:Attio

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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