新卒から中途、独立支援まで―、人材サービスのBranding Engineerが1億円調達

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就活中の学生にとって、今でも大手企業に就職するのが魅力的なキャリアであることに変わりないのかもしれないが、一方でスタートアップに参画したり、自分で起業したりなどキャリアのあり方は少し前とは変わって多様性が出てきたように思う。特にエンジニアであれば、大企業やスタートアップに就職するだけでなく、独立して働く選択肢もあるだろう。Branding Engineerはそうしたエンジニア向けの転職サービスを軸に、複数のサービスを展開する。今後Branding Engineerは学生の就職活動から、転職、そして独立まで様々なキャリアの段階での事業の確立を目指している。Branding Engineerは本日、East Ventures、ベクトル、JSH Holdings LLC、Skyland Ventures、バリュークリエイトから総額1億円を調達したことを発表した。techstars

TechCrunch Japanは昨年12月、Branding Engineerが提供するエンジニア向けのダイレクトリクルーテイングサービス「TechStars(テクスタ)」を紹介した。これまでの転職サイトでは、転職エージェントからのメールや必ずしも自分の希望条件に合わないメールが大量に届き、それらを確認するだけで手間がかかることもあった。転職を検討するエンジニアは「TechStars」のプロフィールに技術力、経歴、希望条件などを入力すると、その条件以上オファーを提示する企業からのみ連絡が届く仕組みを採用している。これにより、エンジニアと企業が効率的に出会える場を提供する。ローンチ以来、150社以上が「TechStars」を利用したとBranding Engineer、代表取締役COOを務める高原克弥氏は話す。

Branding Engineerは現在、中途採用事業、新卒採用事業、独立支援事業の3つの事業を展開していく計画と高原氏は話す。中途事業として「TechStars」を軸に、他に2つの関連サービスをリリースしている。1つは2016年4月から提供を開始した「TechStars PREMIUM」で、これはハイクラスのエンジニア向けの審査型転職サービスだ。年収700万円以上の求人情報のみを扱い、経歴や面談で審査を通過したスキルの高いエンジニアに提供する。もう1つプロダクトは、2016年2月からベータ版を提供している「Design Stars(デザスタ)」だ。これは「TechStars」と同じダイレクトリクルーティング方式のWebデザイナー向けサービスだ。

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2016年6月からは、新卒採用事業として就活生向けに就職サイトの登録やスケジュール管理をするためのツール「イッカツ」を提供している。就活生はたいてい5、6個の就活サイトに登録しているが、それぞれを上手く使いこなすのは難しいと高原氏は説明する。「イッカツ」を使うと、いくつか選択した就活サイトにその名の通り一括で登録することが可能だ。各サイトの情報は「イッカツ」内に統合され、企業情報やイベント情報を確認したり、企業からのメールに返信したりすることができるという。「イッカツ」では学生のキャリアの志向に応じて、その分野が得意な就活サイトとをつなぐ場にしたい考えだという。Branding Engineerとしては、学生と就職する企業との接点を「イッカツ」で確保することで、他の事業にも活かせるデータベースを構築していくことが目標と高原氏は話す。

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Branding Engineerは独立支援事業として、今年の10月に独立を検討するエンジニア向けに保障や福利厚生を提供する「MIDWORKS(ミッドワークス)」をローンチ予定だという。エンジニアのキャリアとして、会社で働く方法と独立して仕事を得る道が考えられると高原氏は説明する。会社で働けば保障も手厚く安定しているが、給与面での厚遇は期待できないかもしれない。一方で独立し、フリーランスとして働けば高い報酬も得ることもできるだろうが、安定的に仕事が得られるかは分からない。「MIDWORKS」では、エンジニアのスキルにあった報酬を受け取れる仕事を紹介し、共済や健康保険などを保障するパッケージを提供することでリスクを減らした上で独立への第一歩を支援するサービスだ。独立するにあたって必要な個人事業主登録といった手続きや経理業務などを行うシステムを提供するプランも用意する予定だという。「MIDWORKS」では、エンジニアにとって新たな働き方を提案し、それぞれがキャリアアップを達成できるよう支援していくという。

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2013年10月に創業したBranding Engineerは、もともと受託開発などの仕事を手がけてたが、1年ほど前に受託開発を辞め、自社サービスとして人材領域の事業を本格的に始めたと話す。人材領域、特にエンジニアのキャリアにおける課題を解決しようと考えたのは、Branding Engineerの共同代表でCEOの河端保志氏、そして高原氏のどちらもエンジニア出身で、エンジニアのキャリアの問題を学生の頃から感じてきたからと説明する。河端氏が通っていた大学では、多くの学生は先輩が就職した会社に就職することが一般的で、エンジニアとしてキャリアをどのようにしていくかを考えている人は少なかったという。高原氏もいくつかスタートアップの立ち上げに関わっていたこともあり、エンジニアの技術力やキャリアのステップアップに関心があったと話す。Branding Engineerでは各種サービスを展開し、エンジニアと会社との出会いを作ること、そして新たな働き方を提案することでキャリア開発のサポートしていきたいと話す。

今回の資金調達はこの3つの事業のグロースを目指し、人材の採用を行う計画だという。自社の技術力と営業力を強化し、ゆくゆくは人材領域に留まらず、ライフスタイル事業も行っていきたいと高原氏は話す。Branding Engineerにとって今回が2回目の資金調達だ。前回は、2014年10月にANRI2号投資事業有限責任組合から2000万円を調達している。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。