新型コロナで増えるバーチャルワークアウト、フィットネスインストラクター向けサービスMoxieが約6.9億円調達

新型コロナウイルスの影響で地球上の人々が屋内でワークアウトをするようになり、家庭用フィットネス市場がブームになっている。2020年10月には、設立3年目のFuture(フューチャー)がシリーズBラウンドで2400万ドル(約26億3000万円)を調達、パーソナルトレーナー向けストリーミングサービスのPlaybook(プレイブック)はシリーズAラウンドで930万ドル(約1億200万円)を調達した。新たにこの市場に参入したMoxie(モキシー)は、フィットネスインストラクターが、ライブや録画でクラスを配信できるプラットフォームだ。ライセンスを受けた音楽プレイリストにアクセスしたり、CRMや支払い用のツールを活用することもできる。クラスの受講価格は5~25ドル(約550〜2700円)で、さまざまなサブスクリプションやパッケージが提供されている。

Moxieは米国時間4月8日、Resolute Ventures(リゾルト・ベンチャーズ)が主導した「シード+」ラウンドで、630万ドル(約6億9100万円)の資金を調達したと発表。この投資ラウンドには、Bessemer Ventures(ベッセマー・ベンチャーズ)、Greycroft Ventures(グレイクロフト・ベンチャーズ)、Gokul Rajaram(ゴクル・ラジャラム)氏などの投資家も参加した。2020年10月に行われた210万ドル(約2億3000万円)のシードラウンドと合わせて、Moxieは合計840万ドル(約9億2100万円)の資金を調達したことになる。

今回の資金を使って、Moxieはユーザーと講師をつなぐ新しいツールや、受講前のクラスのプレビュー機能などを導入し、Moxieの厳選された人気クラスにおけるユーザー体験の最適化を計画している。

Moxieは、新型コロナウイルスが流行した時代に、その利便性から同社が「指数関数的な成長」を遂げたと主張する。2021年3月には8000クラスが完了し、100万クラス分 / 月を超えたという。Moxieの独立したインストラクターは、自分でスケジュールや価格を設定し、プラットフォームで得た収益の85%を確保することができる。

同社はStride Health(ストライド・ヘルス)との提携により、インストラクターに健康保険、歯科・眼科プラン、生命保険などを提供するヘルスケア特典「Moxie Benefits(モキシー・ベネフィット)」の導入も予定している。

また、同社が計画している「Moxie Teams(モキシー・チームズ)」は、Uber(ウーバー)のドライバーがチームを結成するのと同じように、インストラクターのグループがプラットフォーム上で小さなビジネスを行うことを可能にする。

Moxieの創設者でCEOのJason Goldberg(ジェイソン・ゴールドバーグ)氏は、声明の中で次のように述べている。「Moxieは、パンデミックの際にジムやスタジオから追い出され、突然起業家となってバーチャルフィットネスという新たなフロンティアを開拓しなければならなくなった何千人もの独立したフィットネスインストラクターとともに誕生しました。現在はオンラインフィットネスが人々の生活に広く浸透しており、Moxieの成長はこのような消費者行動の変化が持続力を持つことを証明しています。Moxieのユーザーの89%は、その利便性からバーチャルワークアウトを、新型コロナウイルス収束後も継続するつもりであることがわかっています」。

Resolute Venturesのパートナーであり、共同設立者であるRaanan Bar-Cohen(ラーナン・バーコーエン)氏は、次のように述べている。「我々の投資理論は、常に今日の問題を解決する起業精神に溢れた創業者を見極めることにあります。Moxieには、ジェイソンという経験豊富な経営者がいて、インストラクターや消費者がオンラインフィットネスへの移行で経験した問題を解決する製品があり、継続的な成功のための明確なロードマップを持っていると、我々は考えています」。

ではなぜ、Moxieは新しいバーチャルワークアウトの文化に定着することができたのだろうか?ゴールドバーグ氏によると、それにはさまざまな要因があるという。

まず、MoxieがVODアプリやPeloton(ペロトン)とも決定的に異なるのが、インタラクティブなグループフィットネスのクラスをライブで提供するという、2面性のあるフィットネスマーケットプレイスであるということだ。さらに、Pelotonのように「スター」として選ばれるのを待つのではなく、Moxieではどんなインストラクターでも教えることができる。なぜなら、クラスの90%はライブのグループフィットネスのクラスであり、これらはパーソナルトレーニングではなく、ヨガスタジオやHIIT(高強度インターバルトレーニング)クラスの代わりとなっている。ゴールドバーグ氏によると、多くのトップインストラクターがこのプラットフォームで6桁ドル(数千万円)の収入を得ているという。

確かにMoxieは、ジムが閉鎖されている間に、バーチャルクラスを簡単に行うことができるという事実をうまく利用してきた。だが、新型コロナウイルス収束後も彼らは残ってくれるだろうか?おそらく、多くの人が、ジムに足を運ぶよりも便利で、実際に対面するクラスに参加するよりも敷居が高くないことに気づくだろう。加えてユーザーは、テレビのチャンネルを切り替えるように、簡単にクラスを変更することができるのだ。

ゴールドバーグ氏は、メールで次のように語っている「新型コロナウイルスにより、誰もが初めてバーチャルフィットネスに挑戦せざるを得なくなりました。それでどうなったでしょう?人々は、オフラインのジムに行くよりも便利で、よりつながりが感じられると思うようになりました。それでどうなったでしょう?Peloton以外を選ぶ人が増えたのです」。

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画像クレジット:(c) Daniel Hofer / (c) Daniel Hofer under a (c) Daniel Hofer license.

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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