新型コロナに対抗する投資家たち、ポルトガル投資家にインタビュー(後編)

(日本版編集部注)本稿は日本と同じく新型コロナの脅威にさらされているポルトガルの投資家へのインタビュー内容をまとめた記事だ。記事の前段と5人の投資家へのインタビューは前編に掲載したので、そちらをご覧いただきたい。

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後編では以下の投資家へのインタビュー回答を掲載する。

マスタード・シード・メイズの共同経営者、アントニオ・ミゲル氏

TC:概して、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

シェアリングエコノミー(レンタルソリューションなど、循環性との関連が高い)、高齢者ケア、技能開発(ポストコロナの大規模な再教育)、フェムテックです。

TC:最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

フェムテック事業への投資です。投資先のフェムテック事業は、月経のある人に質の高い生理用品を提供し、テクノロジーを活用したプラットフォームを使用して月経期間中においてあらゆる面からサポートすることを目的としています。

TC:特定の業界で見てみたいと思っているものの、まだ登場していないスタートアップはありますか。今、見過ごされているチャンスは何かありますか。

高齢者ケアは、何年もの間話題となっているにもかかわらず、混乱のときを迎えています。女性の健康に関する特定のトピック(更年期など)についても、もっと取り上げてほしいと思います。また、人々が今、意味のあるつながりをこれまで以上に求めていることを考えると、eコマースの環境フットプリントやオンラインからオフラインへの移行ソリューションといった分野の可能性が見過ごされていると思います。

TC:次の投資を判断する際に、通常検討することは何ですか。

社会的・環境的インパクトの創出が売上の原動力であるべきという信念に基づいて、厳密にインパクトベースで判断しています。

TC:新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資するのに慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

持続可能な消費をサポートするアプリ、個人の二酸化炭素排出量を把握する技術、アーバンモビリティです。

TC:概して、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

地元のエコシステムに50%、ヨーロッパ全域(EU加盟国および非EU加盟国)に50%です。

TC:現在の投資先に含まれているかどうかに関わらず、御社の都市や地域で、長期的に大きな収益が見込める業種と、そうでない業種は何ですか。また、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

大きな収益が十分に見込めるのは、 ブルーエコノミー関連ベンチャー、高齢者ケア関連ベンチャー、フードテックです。それほど収益が見込めないのは、 消費者向けビジネスです。期待している企業は、 Hopin(ホピン)、スチューデント・ファイナンスです。

TC:他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の全体的な投資環境とチャンスについてどのように考えるべきでしょうか。

ポルトガルは、優れた人材を低コストで見つけるのに絶好の場所であり、その規模、製品と市場の距離の近さ(すばやくフィードバックを得て製品に反映できる)、ユーザーの洗練度を考えると、ヨーロッパ企業にとって最初のセカンド市場とするのに絶好の場所です。

TC:パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

間違いなくそうなる思います。 リスボンを例として挙げます。パンデミックの結果としてイギリスやドイツ、フランス、米国を離れ、リスボンに移住する創業者や投資家について毎週耳にしています。地元のエコシステムはかつてないほど国際的で多様になっています。

TC:新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。御社が投資するスタートアップ創業者の最大の悩みは何ですか。今、御社が投資するスタートアップにアドバイスをお願いします。

当社の戦略への影響はわずかです。当社の戦略は、社会問題や環境問題を解決しながら利益を上げていく企業が最終的に大きな成功を収める、という信念に主眼を置いて立てています。新型コロナウイルス感染症はそのような企業の必要性を裏付けているに過ぎません。影響があるとすれば、当社では、2020年の第2四半期と第3四半期の資金調達の性質を考慮し、通常より早期投資を増やしたことぐらいです。

TC:創業者の悩みは、不確実な時代の中での資金調達です。現在の資金調達能力は、時間的制約のあるトレンド(流通チャネルとしてのD2Cの復活など)の中で、将来どれほどの資金を獲得できるかを示すものです。

アドバイスとしては、何よりもまず行動することです。 特に上顧客、パートナー、投資家などのステークホルダーの管理を強化してください。

TC:御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

はい、回復傾向にあります。そう言えるのはとりわけ当社が、社会的・環境的課題を解決することで収益を上げている企業のみを対象に投資しているからです。結果として、パンデミック中やパンデミック後には、これらの企業のソリューションに対する需要が高まっています。

TC:この1か月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

Michael Seibel(マイケル・セイベル)氏の話を聞くと、社会貢献型投資は前回のYCバッチで見られた最大のトレンドだそうです。

インパクト・ナウ・キャピタルの共同経営者、ハイメ・パロディ・バルドン氏

TC:概して、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

私たちはインパクト投資とソーシャルイノベーションにフォーカスしています。 国連2030年持続可能な開発目標(SDGs)の中心となる課題に取り組むスタートアップです。

TC:最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

現在、最初のVCファンドの組成を行っており、2021年初頭には稼働する予定でいます。

TC:特定の業界で見てみたいと思っているものの、まだ登場していないスタートアップはありますか。今、見過ごされているチャンスは何かありますか。

私たちは、ビジネス、インパクト、テクノロジーの交わるところに、ほどなくして必ず発展が起きると心待ちにしています。新興分野であるインパクトテックは、そうした発展の原動力となる可能性を秘めています。 今はまだ未熟な分野ですが、起業家や投資家の間で急速に認知度と評価が高まっています。

TC:次の投資を判断する際に、通常検討することは何ですか。

私たちは、国連のSDGsアジェンダの中核にある問題を解決するための方法としてテクノロジーを開発しているスタートアップや、ソリューションの規模を迅速に拡大するための経路としてテクノロジーを活用しているスタートアップを探しています。こういったスタートアップは、収益を上げると同時に、社会的および環境的インパクトを生み出す必要があります。個人的には、AIやブロックチェーンがそうしたスタートアップの促進力なってくれることを期待しています。

TC:新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資するのに慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

インパクトの分野にはまだまだ成長の余地が残されています。 地域に根差した取り組みの多くは持続可能ではなく、拡張の余地もありません。 そうした取り組みの事業化を(製品やサービスを通じて)専門的に行い、持続可能な(そして収益性のある)ものにすること、テクノロジーを取り入れて拡張可能なものにすることが求められています。

TC:概して、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

イベリア(地元のエコシステムであるポルトガル、そしてスペインを含む)に50%、ヨーロッパとCPLP(ポルトガル語諸国共同体)に合わせて50%を投資することを予定しています。

TC:現在の投資先に含まれているかどうかに関わらず、御社の都市や地域で、長期的に大きな収益が見込める業種と、そうでない業種は何ですか。また、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

ポルトガル政府は、ソーシャルイノベーションファンド(SIF)を通じて、社会革新を支援し、インパクトエコノミーを促進しています。 現在、ヘルスケアと福祉(SDG目標3)、教育(SDG目標4)、クリーンエネルギー(SDG目標7)、持続可能な都市とコミュニティ(SDG目標11)などの分野で大きな発展が見られます。また、責任ある消費と生産、気候変動対策、不平等の削減など、他の分野でも素晴らしい取り組みが行われています。 それでも、社会的・環境的な必要性を満たすにはまだまだ不十分です。 私たちは緊急感を持ち、これらの課題に手遅れになる前に取り組まなかった場合、どれだけ深刻な結果につながるかということを理解する必要があります。

TC:他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の全体的な投資環境とチャンスについてどのように考えるべきでしょうか。

リスボンにはエキサイティングなスタートアップのエコシステムがあります。 他国の投資家はそのことに気づいており、この都市、そしてそのエコシステムと良好な関係を維持しています。 リスボンではウェブサミットを筆頭とした起業家や投資家向けの重要イベントが開催されています。 さらにソーシャルイノベーションファンドは、外国人投資家がポルトガルの影響力のあるスタートアップに投資する機会を生み出しています。

TC:パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

パンデミックの間にリモートワークツールの導入が増えたことで、もともとあったリモートワークへの移行トレンドが加速しただけです。 リスボンはすでに起業家やデジタルノマド(ポルトガルのスタートアップで働く人だけでなく、海外のスタートアップで働く人も含む)のハブとなっていました。バーチャルコミュニティが広まる一方で、現在スタートアップのハブとして機能する大都市からは人々が流出していく可能性があります。

それにより、VC業界は大都市にこだわらず、投資範囲を広げていくことになるでしょう。 しかし私の考えでは、人と人との触れ合いは非常に重要で、物理的なイベントはコミュニティを作るうえで大きな役割を果たしているため、そういったイベントが再開されれば、すぐに人が集まってくると思います。

TC:御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス行動の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはどこですか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような前例のない時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

今回のパンデミックにより、国連のSDGsアジェンダにすでに存在する課題のいくつかが、さらに大きくなりました。 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、健康への壊滅的な被害を及ぼしたことは明らかですが、これまでの不平等を削減する取り組みの弱点を表面化させることにもなりました。またパンデミックによって、人間性の概念を再考する動きが起こり、人々にとって良いきっかけが生まれています。こうした動きの中では、コアバリュー、人々の連帯意識、グローバルな協調について盛んに取り上げられ、これらすべてを促進するうえでデジタルトランスフォーメーションとデジタルアダプションが活用されています。

国連のSDGsアジェンダは絶対に取り組まなければいけないものです。選択の余地はありません。スタートアップが中長期的に成功する大きなチャンスをつかむには、 SDGsの中核となる課題のいずれかに対処するために、収益性があり、拡張可能なビジネスモデルを実現する必要があります。短期的には、新型コロナウイルス感染症そのものに関連する問題の解決に焦点を当てた、限定的なミッションを遂行する一方、将来に向けてより広い視野を持ち続けるスタートアップが、急速な成長を見せるでしょう。

TC:新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。御社が投資するスタートアップ創業者の最大の悩みは何ですか。今、御社が投資するスタートアップにアドバイスをお願いします。

新型コロナウイルス感染症は、国連がすでに提起している問題の解決に向けて、これまで以上に緊急感をもたらしました。当社の投資戦略は変わっておらず、現在の状況を考慮してより一層強化しました。

TC:御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

当社の投資先企業はまだ公開していませんので、この質問に十分にお答えすることはできません。 これまで私たちが見てきたところでは、先ほど述べたデジタルトランスフォーメーションやデジタルアダプションのおかげで、新規市場の創出と既存市場の拡大が見られます。 また、消費者の社会的・環境的課題に対する意識の高まりと、消費者の購買行動に対する責任感が合わさって、画期的な収益源が新たに生まれています。

TC:この1か月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

ありきたりな表現になってしまうかもしれませんが、最近我が家に女の子が産まれたことで、より良い未来を築くためのエネルギーをたくさんもらっています。

インディコ・キャピタル・パートナーズの共同経営者、ステファン・モライス氏

TC:概して、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

SaaSソリューション、AIアプリケーション、デジタルヘルス、データ収益化、IoT SaaSプラットフォーム、人工生物学、マーケットプレイスです。

TC:最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

ニュートリアムは、栄養管理を受ける80万人のユーザーにサービスを提供するデジタルヘルスプラットフォームです。このプラットフォームは、栄養士と患者を結びつけて、診察予約も管理できるようにし、その他ウェルネスデータ、製品、サプリメントなどに関してもサービスを提供することを目的としています。

TC:特定の業界で見てみたいと思っているものの、まだ登場していないスタートアップはありますか。今、見過ごされているチャンスは何かありますか。

デジタル化すべき伝統的な分野や産業がまだまだ多くあります。 AIの導入はほとんどの産業で初期段階にあるため、デジタイゼーションというこれまでずっと存在してきた、大きな可能性に対処する必要があります。

TC:次の投資を判断する際に、通常検討することは何ですか。

私たちは、実際に優れたリーダーやCEOになることができる、卓越した創業者を探しています。ビジョンを持ち、市場機会を活用でき、そして、成功事例を生み出すうえで、避けては通れない障害を突破するために必要な粘り強さを持っている、そういう人です。さらに、高い技術力を持ったチームも必要です。

TC:新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資するのに慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

フードデリバリー、中小企業やスタートアップ向けのeコマースとSaaSの大半です。 広告分野の飽和状態や競合を考えると、ビジネスを軌道に乗せるために広告に依存するすべての分野が困難に直面しています。

TC:概して、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

私たちは100%ポルトガルとスペインのみに投資しています。

TC:現在の投資先に含まれているかどうかに関わらず、御社の都市や地域で、長期的に大きな収益が見込める業種と、そうでない業種は何ですか。また、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

B2BのSaaS企業では、 アンバベル、InnovationCast(イノベーション・キャスト)、Infraspeak(インフラスピーク)、Onalytics(オナリティクス)。

AIおよびディープテックでは、 フィードザイ、Smartex(スマーテクス)、Cleverly.ai(クレバリー・エーアイ)、Sound Particles(サウンド・パーティクルズ)。

デジタルヘルスでは、 ニュートリアム、ゼンクラブ、スウォードヘルス、トニックアプ。

フィンテックでは、 スチューデント・ファイナンス、Switch Payments(スウィッチ・ペイメンツ)。

コンシューマーでは、 バーキン、EatTasty(イート・テイスティ)、PleasyPlay(プリージー・プレイ)。

伝統産業のデジタライゼーションでは、 BitCliq(ビットクリック)、ApisTech(アピステック)。

TC:他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の全体的な投資環境とチャンスについてどのように考えるべきでしょうか。

ポルトガルのエコシステムにはまだ発展の余地があります。 ほとんどの投資機会は初期段階にあり、100万ユーロ(約1億2600万円)以下のラウンドが大半を占めています。 外国人投資家は早い段階で地元の企業と提携すべきです。

TC:パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

ポルトガルは過去数年の間に海外企業を非常に惹きつけてきており、それらの企業は現地法人を設立し、高い技術力を持った現地の人材を活用しています。またポルトガルの安全性とライフスタイルは、ノマドやリモートワーカー、そして家族と一緒にここに移住したいと考えている上級管理職の人々にとっても魅力的な要素です。 リモートワークをする人が増えるにつれ、ポルトガルには一層、テックワーカーやスタートアップが集まると予想されています。

TC:御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス行動の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはどこですか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような前例のない時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

旅行、ホスピタリティ、航空など一部の業界は明らかに苦境に陥っており、これらの分野に取り組む当社の投資先企業の一部も影響を受けています。 こうした状況は、今後数か月続くと予想しています。
一方で、オンライン配信、プロセスの自動化、チーム内の情報共有とコミュニケーションといったサービスを提供する分野が急成長しています。

TC:新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。御社が投資するスタートアップ創業者の最大の悩みは何ですか。今、御社が投資するスタートアップにアドバイスをお願いします。

私たちはこの数か月間、来年に向けて投資先企業に十分なランウェイがあるかどうかを確認することに重点的に取り組みました。 資金が何よりも重要であることはわかっていますが、企業は今あるチャンスを利用して、自分たちのビジョンを実行していくことと、資金を確保することの間でバランスを取る必要があります。

TC:御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

もちろんイエスです。 一部の分野では、社会の機能と企業の生産性を維持するうえで、テクノロジーが不可欠な要素になっています。

TC:この1か月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

米国で成功している企業はヨーロッパの創業者が設立したものが多く、中には母国に戻ってきている企業もあります。こうした企業は、非常に良い影響をもたらすでしょう! これから数年の間にヨーロッパから面白い企業が数多く出てくるでしょう。

ポルトガル・ゲートウェイのマネージングパートナー、ギャビン・ゴールドブラット氏

TC:概して、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

エネルギーとフィンテック、特にモバイルマネー関連です。

TC:次の投資を判断する際に、通常検討することは何ですか。

国際展開の可能性を秘めた、実績のある経営陣と製品であるかどうかです。

TC:概して、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

50%未満です。

TC:他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の全体的な投資環境とチャンスについてどのように考えるべきでしょうか。

リスボンは素晴らしいワークライフバランス、起業コストや生活費の安さに加え、スキルを持った人材の供給も充実しています。 ですから、新型コロナウイルス感染症がきっかけで、最近、企業が利点のそれほどない場所をベースにしたスタートアップハブから離れる動きがありますが、そうした動きも良い結果につながる可能性があります。

TC:パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

はい。

TC:御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス行動の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはどこですか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような前例のない時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

まだ判断を下すには早すぎます。 観光や多くのサービス業は明らかにマイナスの影響を受けていますが、ワクチンの供給完了後に状況が改善し、繰延需要が解放されれば、これらの分野においてさえも、イノベーターは混乱した状況から生まれるチャンスを利用して事業を首尾よく展開していけるでしょう。

TC:新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。御社が投資するスタートアップ創業者の最大の悩みは何ですか。今、御社が投資するスタートアップにアドバイスをお願いします。

驚くべきことに、大きな可能性が生まれており、純利益は投資先企業すべてでプラスとなっています。混乱と変化はチャンスをもたらします。

TC:御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

はい。

TC:この1か月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

今年の投資がすべて、予算に見合う以上の結果を出し、期待を上回っていることです。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:インタビュー

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(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。