新型コロナに対抗する投資家たち、ポルトガル投資家にインタビュー(前編)

私は約4年前、リスボンのテクノロジー情勢について深く掘り下げた。今回、リスボンとポルトガルの現在の状況をもう一度、簡単に見てみよう。

Indico Capital Partners(インディコ・キャピタル・パートナーズ)の創業者兼マネージングゼネラルパートナーであるStephan Morais(ステファン・モライス)氏が明確に説明したように、ポルトガルは競争力のあるコストで非常に質の高いエンジニアリング人材を提供し、英語力のレベルがたいへん高く(スペイン、フランス、イタリアと比較して)、そして製品を最初からグローバルにリリースすることを好む。ポルトガルの創業者たちは非常に有能であり、その大半が修士号以上の学位を取得している。

ただし、ポルトガルのテック業界のエコシステムはまだ「初期段階」にある。エンジェル投資家を獲得した創業者はほとんどおらず、最近までイグジットの成功事例がわずかな数しかなく、営業やマーケティングの分野で利用できる人材も限られている。とはいえ、以下に示すように、まだまだかなりの成長が見込まれており、新型コロナウイルス感染症の時代にリスボン、そしてポルトガル全体は、才能あるデジタルノマドたちを惹きつける場所へと変化を遂げつつある。

Startup Portugal Ecosystem(スタートアップ・ポルトガル・エコシステム)のレポートによると、ポルトガルには大規模な一般消費者市場がないため、同国のスタートアップ企業は消費者向けアプリケーションよりもエンタープライズやSaaSの方に偏る傾向がある。国内の資金源と海外の資金源の格差は縮まりつつあるが、アーリーステージ向けの資金調達にはまだ格差がある。政府の統計によると、2019年は投資額が2億8500万ユーロ(約359億円)で、レイターステージ企業の上位25社が調達したのは合計1億1780万ユーロ(約148億3500万円)だった。

国内のベンチャーキャピタル(VC)には、Portugal Ventures(ポルトガル・ベンチャーズ)、Indico Capital(インディコ・キャピタル)、Faber Ventures(ファーベル・ベンチャーズ)、Armilar Venture Partners(アーミラリー・ベンチャー・パートナーズ)、Bynd Capital(バインド・キャピタル)、Semapa Next(セマパ・ネクスト)、Bright Pixel(ブライト・ピクセル)、EDP Ventures(EDPベンチャーズ)、Shilling Capital Partners(シリング・キャピタル・パートナーズ)が含まれる。Mustard Seed(マスタード・シード)はVCだが、インパクトファンドとして設立され、テクノロジーを利用して国内の社会的・環境的課題に取り組んでいるスタートアップ企業にのみ投資している。

ポルトガルにはいくつかの変化が起こっている。とりわけ、ブレグジットにより多くのイギリス難民がポルトガルに移住してきていることが挙げられる(ヨーロッパの他のあちこちにも移住しているが、リスボンにはビーチとスタートアップに優しい税制がある)。非EU加盟国出身の居住者はゴールデンビザ、テック起業家はスタートアップビザを取得できる。一方、ポルトガルのスタートアップ企業は海外からの資金調達を始めており、ポルトガルという自国の型にとらわれず、外に飛び出している。

国内のVCの投資額は2016年から2018年にかけて大幅に不足したが、2019年から2020年には大きく改善されている。また、K Fund(ケイ・ファンド)、Kibo(キボ)、Conexo Ventures(コネクソ・ベンチャーズ)などの隣国スペインのVCを含む海外のVCは、ここで説明しているように、ポルトガルのエコシステムに関心を持っている。

Farfetch(ファーフェッチ)、Talkdesk(トークデスク)、Outsystems(アウトシステムズ)、Feedzai(フィードザイ)、DefinedCrowd(ディファインド・クラウド)などの近年の成功により、海外の投資家たちはポルトガルに関心を向け始めている。投資家のPedro Almeida(ペドロ・アルメイダ)氏によると、2020年、外国人投資家が参加したベンチャーラウンドは全体の40%未満だったが、シードラウンドやプレシードラウンドの30%以上を外国人投資家が占めているという。

これは、スタートアップ企業の成長に伴い、外国人投資家が上位投資家になるケースが増えていることを示している。また、コーポレートVCの動きもこの期間、以前より活発化し、本格的になった。

テック業界のエコシステムを活気づけるための政府の主な取り組みには、「Startup Portugal(スタートアップ・ポルトガル)」や、50:50のマッチファンディングを主導し、3~4年以内でコールオプションを低価格(3~4%のIRR)で提供する「200M」、また、70:30のマッチファンディングを主導し、3~4年以内でコールオプションをこちらも低価格で提供するソーシャルイノベーションファンド「FIS」などが挙げられる。

さらに「Portugal Tech(ポルトガル・テック)」は、IFD(開発銀行)が所有し、欧州投資基金が専門的に管理する、史上初の正式な市場ルール、ファンドオブファンズ戦略である。

ポルトガルのエコシステムから生まれたユニコーン企業には、アウトシステムズやトークデスク(本社をサンフランシスコに移転)がある。また、ファーフェッチも創業者がポルトガル人で同国の生まれの企業といえるが、一般的にはロンドンのスタートアップ企業として知られている。より大きく成長しようとしている注目のスタートアップ企業には、フィードザイ、Codacy(コーダシー)、BIZAY(ビザイ)、Aptoide(アプトイド)、Unbabel(アンバベル)、Uniplaces(ユニプレイシーズ)などがある。

有望な「新入り」には、Rows(ロウズ)、Didimo(ディディモ)、Tonic App(トニック・アプ)、SWORD Health(スウォード・ヘルス)、Barkyn(バーキン)、Utrust(ユートラスト)、Sensei(センセイ)、Vawlt(バウルト)、Lovys(ロヴィス)、StudentFinance(スチューデント・ファイナンス)、Nutrium(ニュートリアム)、Reatia(リーティア)、LegalVision(リーガル・ビジョン)、Kitch(キッチュ)、Rnters(レンターズ)、kencko(ケンコ)、 YData(ワイデータ)などが挙げられる。

主な企業育成組織や起業支援組織には、Beta-i(ベータアイ)、Bright Pixel(ブライト・ピクセル)、BGI(Building Global Innovators:ビルディング・グローバル・イノベーターズ)、Tec Labs(テック・ラブズ)、Startup Lisboa(スタートアップ・リズボア)、Fábrica de Startups(ファブリカ・ド・スタートアップス)、Techstars Lisbon(テックスターズ・リスボン:2年間運営されていたが現在休止中)、Demium(デミアム)、EDP Starter(EDPスターター)、Maze X(メイズ・エックス)、Blue Bio Value(ブルー・バイオ・バリュー)、Indico Pre-Seed Program(インディコ・プレシード・プログラム)などがある。

コワーキングスペース(リスボンのみ)は、LACS(ラックス)、Fintech House(フィンテック・ハウス)、Cowork Central(コワーク・セントラル)、Second Home(セカンド・ホーム)、スタートアップ・リズボア、SITIO(シティオ)、Impact Hub(インパクト・ハブ)、NOW_Beato(ナウベアート)などだ。さらに、巨大な「キャンパス」スタイルのFactor Lisbon(ファクター・リスボン)がある。ファクター・リスボンは、新型コロナウイルス感染症への対策を考慮したスペースにするため、立ち上げ前に計画をうまく再調整した。

リスボン、そしてより広く言えば、ポルトガルは、ますます急速に変化するエコシステムとして、ヨーロッパや世界の舞台で台頭しつつある。このエコシステムには、EU加盟の継続、国際的な視野、温かく迎え入れる文化、そして意欲的な労働倫理という長所がある。

我々は、ポルトガルを拠点とするVCに話を聞いた。前編では以下の投資家からの回答を掲載する。

インディコ・キャピタル・パートナーズの共同経営者、クリスティーナ・フォンセカ氏

TC:概して、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

サプライチェーンのデジタル化とAI技術を活用した意思決定プロセスです。

TC:最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか

蜂の巣のデジタル化、つまり蜂蜜の生産と受粉産業をデジタル化するという案件です。

TC:特定の業界で見てみたいと思っているものの、まだ登場していないスタートアップはありますか。今、見過ごされているチャンスは何かありますか。

IoTとAIではついに5Gを利用できるようになります。今こそ投資すべきときです。

TC:次の投資を判断する際に、通常検討することは何ですか。

投資前に創業者の性格を詳しく分析します。

TC:新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資するのに慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

デジタルヘルス、フィンテック全般、eコマースです。

TC:概して、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

ポルトガルがほとんどで、スペインが少しです。

TC:現在の投資先に含まれているかどうかに関わらず、御社の都市や地域で、長期的に大きな収益が見込める業種と、そうでない業種は何ですか。また、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

B2B、SaaS、マーケットプレイスです(参入障壁を築くためにこれらを組み合わせることもある)。 バーキン、ニュートリアム、アンバベル、Zenklub(ゼンクラブ)、ケンコ、Consentio(コンセンティオ)に注目してください。

TC:他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の全体的な投資環境とチャンスについてどのように考えるべきでしょうか。

ここには、安定したビジネス環境があります。それから、エンジニアリングに優れ、グローバルな成長が見込めます。

TC:パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

確かに、そうした創業者がポルトガルやスペインでは数年前からすでに現れ始めていますし、これからもさらに増えるでしょう。

TC:御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス行動の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはどこですか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような前例のない時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

プラス面としては、ありとあらゆるニーズを満たすためにオンラインに移行する消費者がさらに増えていきます。マイナス面としては、中小企業を顧客とするスタートアップは、旅行、プロップテック、フィンテック(銀行の反発のため)と同様に影響を受け続けることでしょう。

TC:新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。御社が投資するスタートアップ創業者の最大の悩みは何ですか。今、御社が投資するスタートアップにアドバイスをお願いします。

資金が何よりも重要です。資金を使い果たさないようにし、コスト削減、資金調達、プラスのマージン、バーンレートをゼロにするといったことに優先的に取り組んでください。

TC:御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

確実に回復の兆しがあります。消費者によるオンラインショッピングとオンラインでのコミュニケーションの増加は、当社の投資先企業の半数近くに直接利益をもたらしています。

この1か月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

子どもの在宅学習期間が終わったことです。

アーミラリー・ベンチャー・パートナーズの共同経営者、ペドロ・リベイロ・サントス氏

TC:概して、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

当社は以前からディープテックに投資し、10年以上にわたってローコードやノーコードの進展を支持してきました。アウトシステムズへの初期投資の実施などはそうした支持の表れです。さまざまなディープテックが現実に実装されていること、さらにdashdash(ダッシュダッシュ)やAirtable(エアテーブル)などの製品が「市民開発者」も利用できるようさらに発展していることを目にするのは、本当にワクワクします。

TC:最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

当社の最新の投資先はディディモという若い会社です。ディディモは非常にエキサイティングな技術を持った会社で、あらゆる携帯端末で撮影した写真から、忠実度が高く、完全にアニメーション化できる人間のアバターを数秒で自動作成します。こうしたアバターを作成するのに従来のプロセスでは、細かな技術の結集、数時間に及ぶコンピューター・グラフィックス・アーティストによる作業、そして計算処理が必要です。ディディモの技術の応用分野はかなり幅広く、直接恩恵を受けるのは、ゲームやエンターテイメント、小売りといった分野です。

TC:特定の業界で見てみたいと思っているものの、まだ登場していないスタートアップはありますか。今、見過ごされているチャンスは何かありますか。

瞬間移動です。(笑)
もう少し真面目な話をすると、多くのT&H(旅行・ホスピタリティ)のスタートアップが新型コロナウイルス感染症の影響に耐えている一方で、コロナ禍によってこれまでの習慣が劇的かつ長期的に変化することで(例として出張など)、新たなチャンスが開ける可能性があります。

TC:次の投資を判断する際に、通常検討することは何ですか。

月並みですが、テクノロジーと知的財産を保護できる強力な枠組みがあることです。幅広い市場適用性も重要ですね。

TC:新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資するのに慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

投資しておくべきだったと思う市場は明らかにいくつかありますが、参入障壁が低いまたは技術を保護する枠組みがない製品やサービスの場合、概して初期段階での投資には慎重です(もちろん、そうした製品やサービスも時間が経つにつれて規模そのものや企業同士のつながりが明らかになってくると、参入障壁が格段に高くなります)。

TC:概して、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

初期のころ(20年前)からグローバルに投資を行ってきましたが、地域のエコシステムから始まって地元のエコシステム(ヨーロッパ、南ヨーロッパ、ポルトガル)が本格的に発展し始めたことで、より身近なところで投資を行っています。当社の現在のフラッグシップファンドVでは、ポルトガル(リスボンだけでなく)に限定した配分が50%以上あり、また現在、ポルトガルに100%特化した小規模なファンドを保有しています。

TC:現在の投資先に含まれているかどうかに関わらず、御社の都市や地域で、長期的に大きな収益が見込める業種と、そうでない業種は何ですか。また、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

私は、とりわけポルトガルおいて、資本が少ないものの技術力は高い企業、資金力ではなく独自の技術によって迅速に事業を拡大する企業、すなわち、ディープテックのB2Bソフトウェア企業が成功できる態勢が整っていると、個人的な思い入れを別にしても、強く信じています。ソフトウェアエンジニアリング、開発者ツール、DevOps(デブオプス)、ローコードツール、SWベースのインフラストラクチャ、それから強固なAI製品が思い浮かびます。ポルトガルはまだスタートアップ→成功→イグジット→流動性→再投資の流れを確固としたものにする必要があるため、そうした流れを順当にたどってきた企業、アウトシステムズ(当社の投資先に含まれる)、フィードザイ(当社の投資先に含まれる)、トークデスク(当社の投資先には含まれない)に最も期待しています。また、ディファインド・クラウド(当社の投資先には含まれない)、スウォード・ヘルス(当社の投資先には含まれない)、コーダシー(当社の投資先に含まれる)、ダッシュダッシュ(当社の投資先に含まれる)、ディディモ(当社の投資先には含まれない)などは、私が不当にも投資対象から除外していると自覚のある企業の中において、先に挙げた企業よりは成熟度が低いものの、非常に高い可能性を秘めており、こちらにもとても期待しています。

TC:他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の全体的な投資環境とチャンスについてどのように考えるべきでしょうか。

ポルトガルには次のような特徴があります。
• ヨーロッパのほとんどの国と比べて、比較的低コストで大きな才能(特に技術面)を持つ人材が得られる。
• 人々が住みたいと思える場所である(安全性、気候、ポルトガル人の親しみやすさ、インフラ、言葉・・・挙げればきりがない)。
• これまでずっと資本が不足している(最近大幅に改善したが、ヨーロッパの基準では今も比較的不足している)が、現地ではとても有意義な経験ができる。
• 設立される企業にはグローバルな発想(ポルトガルはあくまでも適当なパイロット市場ととらえている)と資本効率の発想(少しの資本で多くの利益を生み出すこと目指している)がある。
• 1人頭、GDP、現地資本、またはその他の一般的な指標あたりの優良企業の比率(たとえば、ユニコーン企業の数や価値、またはその他の指標で測定)は、ほとんどのヨーロッパ諸国をはるかに上回っている(ルーマニアだけは別だと認めるが)。
ポルトガルでは資本が不足しているため、上記のメリットすべてに惹かれた外国人投資家たち向けに、投資の機会が大きく広がっています。

TC:パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

必ずしもそうとは言えません。 多くの創業者がすでにリスボンやポルトの外から集まっており、これらの都市を中心に活動しています。
新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。御社が投資するスタートアップ創業者の最大の悩みは何ですか。今、御社が投資するスタートアップにアドバイスをお願いします。

最初の4~6週間は不透明でしたが、投資戦略に変更はありません。 創業者の最大の懸念は顧客の購買決定の遅れや凍結した予算などにあります。 今が踏ん張りどころです。

TC:御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

はい。多くの場合(旅行やホスピタリティなどの最も深刻な打撃を受けた分野を除いて)、ビジネスが通常に戻っている兆しがあります。

TC:この1か月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

2020年の計画を大幅に中止してきた多くの企業が、当初予想したほど状況が悪くはならないだろうと認識し始めています。

オリシポ・ウェイの共同経営者、トーシャ氏

TC:概して、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

スタートアップや大きな企業へと発展していく可能性を持ち、収益性の確保を目指している企業を探しているときです。

TC:最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

Reatia.com(リエイシア・ドットコム)とHunterBoards.com(ハンターボーズ・ドットコム)です。

TC:特定の業界で見てみたいと思っているものの、まだ登場していないスタートアップはありますか。今、見過ごされているチャンスは何かありますか。

従来から、VCが投資するのに十分な規模ではない、小さなニッチ市場です。

TC:次の投資を判断する際に、通常検討することは何ですか。

創業者に情熱があり、生涯働きたいと思えるようなビジネス作りを考えているかどうかという点です。

TC:新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資するのに慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

マーケットプレイスや暗号化技術です。

TC:概して、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

100%地元ポルトガルのエコシステムのみです。

TC:現在の投資先に含まれているかどうかに関わらず、御社の都市や地域で、長期的に大きな収益が見込める業種と、そうでない業種は何ですか。また、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

観光、リロケーションです。

TC:他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の全体的な投資環境とチャンスについてどのように考えるべきでしょうか。

優れた創業者たちや、サービスを低コストで提供できる、優れたチームが存在します。ここの企業は最初から国際市場に焦点を合わせてきました。

TC:パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

はい。

TC:御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス行動の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはどこですか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような前例のない時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

観光、飲食店、小売りです。

TC:御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

はい。 宅配またはリモートワークに関連するすべてにおいて、そう言えます。

TC:この1か月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

パンデミックが今後2~5年間続くということが一般に認識されたことです。 これが短期的な問題ではないということです。

ポルトガル・ベンチャーズの投資マネージャー、アダム・オリベイラ氏

TC:概して、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

現時点では、eコマース、クラウド、リモートワークのソリューションに期待しています。

TC:最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

バーキンです。同社はペットに必要なあらゆる製品とサービスを、オンラインとオフラインどちらでも、サブスクリプションプランで提供しています。さまざまな商品の中からカスタマイズされたフード(バーキンの自社ブランド)と、専属の獣医を利用できるシステムをセットにして提供し、1つのサービスでドッグオーナーの日常的なニーズ2つを解決しています。

TC:特定の業界で見てみたいと思っているものの、まだ登場していないスタートアップはありますか。今、見過ごされているチャンスは何かありますか。

ソフトウェアを使って、ビデオ通話中にアイコンタクトを保つことを可能にしてくれるスタートアップがあれば最高なのですが、これはどちらかというとDIYプロジェクトでしょうね。(笑)

TC:次の投資を判断する際に、通常検討することは何ですか。

大まかに言うとですか。 投資収益率が優れているかどうかです。笑っているけど真面目です。シードやアーリーステージ投資家として、私たちは当然のことながらイグジットを成功させることを目指していますが、スタートアップの初期の課題をすべて支援し、さらなる成長と拡大のために新たな資金調達ラウンドを確保することにも重点を置いています。

TC:新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資するのに慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

今の時点で、今後発展していく可能性がごくわずかしかないすべての分野において、たとえ市場が大きくても、資金調達はこれまで以上に難しくなるでしょう。 現在のプロセスを「少しずつ」改善しているだけのスタートアップは、新興勢力でもなく、これまでにない破壊的イノベーションを実現しているわけでもなければ、成功の確率は非常に低くなります。

TC:概して、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

ポルトガル・ベンチャーズが投資する先はポルトガルのみです。

TC:現在の投資先に含まれているかどうかに関わらず、御社の都市や地域で、長期的に大きな収益が見込める業種と、そうでない業種は何ですか。また、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

投資先企業のうち特に期待している企業は2つあります。

バーキン(創業者:アンドレ・ジョルドン氏)は、パンデミックの間に500万ユーロ(約6億3000万円)のラウンドを終了し、すでにポルトガルの他に2つの国際市場(イタリアとスペイン)に参加しています。

ディファインド・クラウド(創業者:ダニエラ・ブラガ氏)もパンデミック時に5億500万ドル(約524億円)の資金調達ラウンドを確保しています。

不思議なことに、両創業者は、アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー対象のJoão Vasconcelos(ジョアン・ヴァスコンセロス)賞を、2019年にはダニエラ、2020年にはアンドレと、同賞の設立後、最初の2年で受賞しています。ポルトガル・ベンチャーズの投資先が2年連続受賞しているということです(笑)

他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の全体的な投資環境とチャンスについてどのように考えるべきでしょうか。

私の考え、そして一般論として、他の投資家がリスボンだけでなくポルトガルに目を向ける主な要因は次の通りです。

  • 成熟したローカル市場
  • ビジネスモデルの検証を低コストで行うことが可能
  • 起業家にとって重要な拠点(リスボン、ポルト、ブラガ、コインブラ)
  • 低コストな人材の入手しやすさと生活費の安さ
  • 高い資本効率を持ちながらも、販売・マーケティング分野などで国際的な人材のニーズがある
  • 比較的低い評価
  • 成熟するエコシステム
  • 買い手市場で、つまり供給が需要を上回り、交渉において買い手が売り手よりも有利である
  • イノベーションに対する公的インセンティブ
  • 長期的に支給され、価値が減らない州や地域の補助金、R&D減税、あるいは「200M」のようなマッチングファンドも利用して、株式投資を活用できる
  • 多くのスタートアップが早い成長を見せ、高いマルチプルを達成している
  • これは真のエコシステムの形成に貢献しており、エコシステムでは企業同士のつながりの効果がより具体的に現れ始めている。

TC:パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

ポルトガルとリスボンのハブの場合、それとはまったく逆になると思います。 というのも私は、リスボン(とポルトガル)へのデジタルノマドの流入を予想しており、基本的には先ほど述べたいくつかの理由と、気候がその要因です。気候のことを忘れてはいけません(笑)国が提供する質の高い生活に加え、それ以外のことも、このデジタルノマドたちの流入に寄与することになると思います。

TC:御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス行動の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはどこですか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような前例のない時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

マイナス面に目を向けると、現在のパンデミックの状況下で、観光関連のベンチャー企業は確実に弱体化しているように見ます。これは現在の状況下の制約を考えると容易に理解できることです。 プラス面に目を向けると、eコマース、それにオンデマンドサービスが今特に盛り上がっています。要するに、オフラインからオンラインの世界への移行を可能にするトレンドに乗ることができれば、すべてのビジネスは、願わくば未開拓の市場で、絶好のチャンスをつかめるのです。

TC:新型コロナウイルスは投資戦略にどのような影響を与えましたか。御社が投資するスタートアップ創業者の最大の悩みは何ですか。今、御社が投資するスタートアップにアドバイスをお願いします。

私たちは今も絶好の機会と有望なベンチャーを探していて、投資戦略は変わっていません。 2020年の第1四半期と第2四半期は、すべての投資先企業を調査し、パンデミック下で企業がどのような影響を受けているかを判断する必要がありました。それは家族を第一に守るようなものです。そして、このパンデミックによって生じた、不確実な時代において企業が事業を継続できるよう、追加の資金援助を決定する必要がありました。

こうしたことがあったため、私たちが検討していた新たな投資は保留にしました。 しかし、2020年の第3四半期以降、パンデミック以前と同様の事業を再開し、ディールソーシング(投資先の発掘)の他、新たなスタートアップ企業への投資も行っています。投資先企業の創業者たちが抱える最大の懸念は、新型コロナウイルス感染症が事業活動全般に与える影響と、これからの時代の不確実性を考慮して、可能な限り最大のランウェイを確保することでした。

TC:御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

先ほど述べたのように、パンデミックの状況から恩恵を受ける企業もあれば、そうでない企業もあります。

TC:この1か月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

パンデミックの中で、私は初めて完全リモートで取引をまとめました。取引相手はバーキンです。まだCEO(アンドレ・ジョルドン氏)には直接会ったことがなく、それどころかチームの誰にも会ったことがありません(会えるのを楽しみにしています!)。また、TNWカンファレンス2020(完全リモート)に参加し、イベリア半島での事業拡張と発展の話題をテーマに講演しました。どちらの「瞬間 」も、物事が実際にどのように変化しているのか、そして、現在のような生活様式、ビジネスの作り方、知識の共有の仕方は、物事を遅くするのではなく、そのスピードを上げるのではないか、そして、そういったことをどれだけ効率的にできるのか、という点を考えるきっかけになりました。違う意見もあると思いますが、少なくとも私はそう考えています。

ファーベルの共同経営者、アレクサンドル・バルボサ氏

TC:概して、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

ファーベルは、新興テクノロジーで世界を変革するチームに投資しており、データ中心のスタートアップ企業がデジタルトランスフォーメーションを加速させ、さまざまな業界でイノベーションを推し進めていると考えています。

私たちは、DataOps(データオプス)、MLOps(エムエルオプス)などのAIエンジニアリングに関連した次世代ソリューション、NLP(神経言語プログラミング)、説明可能なAI、データ管理、データプライバシー、サイバーセキュリティなど、エンタープライズの世界でレジリエンス、インテリジェンス、俊敏性、自動化を実現するテクノロジーに期待しています。さらに、独自のデータと革新的なヒューマンマシンインターフェイス(ニューロテクノロジーなど)を使用し、さまざまな業界(デジタルヘルスなど)で精密さやパーソナライゼーションを実現することにも価値があると思っています。

TC:最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

過去数か月の間に、AIやデータに焦点を当てた新たなファンドで、新規投資4件を完了しました。その内訳は、デジタル理学療法の未来を築いているスウォード・ヘルスへの投資1件と、データオプスや合成データ、ニューロテクノロジー、説明可能なAIに関連した投資3件(詳細はまもなく発表予定)です。

TC:特定の業界で見てみたいと思っているものの、まだ登場していないスタートアップはありますか。今、見過ごされているチャンスは何かありますか。

企業のIT予算は、データ中心のスタートアップと協力してデジタル移行を加速させるために割り当てられる割合が増えているため、次世代のスタートアップが複数の業界でテックスタックに挑戦し、変革を実現できる大きなチャンスがまだ存在します。起業家精神は、新しいビジネスモデル、技術革新、ポジティブな影響を調和させて持続可能な未来を実現するうえで大きな推進力になると、私たちは考えています。デジタルヘルスに見られるように、地球科学や天然資源管理にAIやML、ロボティクスを革新的な方法で応用することで、気候変動などの差し迫った社会的課題に取り組むことを使命とするスタートアップの数が、これから増えていくことを期待しています。

TC:次の投資を判断する際に、通常検討することは何ですか。

私たちは通常、主に南ヨーロッパからスタートし、グローバルな展開を目指すアーリーステージ(プレシード、シード)のB2Bデータ駆動型スタートアップに、他の投資家に先駆けて現地で投資を行っています。

高度に専門化された技術チームを探しています。そうした技術チームに求めているのは、業界を変革することを使命とし、オープンなマインド、限りない好奇心、そして大きなチャンスをつかみ、世界中でシェア獲得するという飽くなき野心を持って、多様でありながらバランスの取れた、インクルーシブな文化を構築することを目指しているチームであることです。

TC:新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資するのに慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

私たちがB2Bに注力している中で感じるのは、差別化要因のないSaaS製品を立ち上げたり、ストレスの多い業界に過度にさらされたりしているスタートアップは、優先課題を再考する必要があるということです。

TC:概して、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

当社の、ステージ/専門技術にフォーカスしたアプローチと付加価値アプローチは、イベリア半島における課題を解消するものです。さらに、南ヨーロッパ発のデータ駆動型の成功企業(一般的には米国に事業を拡張する)が最盛期を迎えようとする中、私たちは今、投資家として有利な状況にあると確信しています。そうした中で、イベリア発の企業に資本の大半を投資することで世界中に指標を示し、ヨーロッパ全域の有望なチームに選択的に共同投資を行う予定です。

TC:現在の投資先に含まれているかどうかに関わらず、御社の都市や地域で、長期的に大きな収益が見込める業種と、そうでない業種は何ですか。また、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

南ヨーロッパで生まれ、大きな価値を生み出している革新的スタートアップの中には、「インテリジェントエンタープライズ」の分野で活躍している企業や、金融サービス、サイバーセキュリティ、ヘルスケア、製造業、農業食品、小売業などの分野でデジタルイノベーションを推進している企業があると思います。

私たちは、アンバベル、コーダシー、Seedrs(シードルズ)、EnjoyHQ(エンジョイHQ)のような企業に地元の投資家として最初に参加してきました。これらの企業は、ポルトガルから会社を立ち上げ、事業を急速に拡大し、それぞれの業界や市場分野に分散して、イノベーターとして広く認知されました(ファーベルが現れる前に設立されたフィードザイのように)。私たちは、そうした企業の成功と、そうした企業に私たちの理念が強く反映されていることに、当然ながら興奮しています。

TC:他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の全体的な投資環境とチャンスについてどのように考えるべきでしょうか。

イベリアは、成功を収めたスタートアップを過去10年間で数多く輩出しているため、起業の出発点として確固たる実績を持っています。イベリアという地域は、ヨーロッパ中の人材を惹きつけ続けています。そうした人材は、地元の人材とコラボレーションして新しいベンチャーを立ち上げ、地元のエコシステムとリソースの成熟度と専門性の高まりを活用しています。さらに、地元で起業し、米国に事業を拡大するという明確なマインドセットをポルトガルの創業者たちから受け継いでいます。

ポルトガルとスペインは、国際的なVCとの共同投資を伝統的に行ってきたプレシリーズAの投資家から投資を受けてきました。レイターステージキャピタル、グロースキャピタル(地元および国際)の層が厚くなってきており、現在ではより多くの機関投資家が次々にこの資産クラスへ投資しています。

グローバルな規模で業界に挑戦し、その業界のリーダーになる革新的な企業を南ヨーロッパが今後も数多く輩出し、この地域がヨーロッパのベンチャーにとって、チャンスをつかめる新たな場所であることが証明されるであろうと、私たちは確信しています。

TC:パンデミックや長引く先行きの不安によりスタートアップハブが人手不足に陥っていることに加え、リモートワークが注目されています。今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増すると予想していますか。

ポルトガルのエコシステムはそうした状況に急速に順応してきていて、分散型チームからスタートする、新しい企業が増えていくと予想されます。そういった企業は市場に存在する制約に対処できる態勢が整っていて、概して回復力があります。

これにより主要都市以外で起業する創業者にとっての障壁が低くなることを期待しています。同時に、地域の主要なハブは今後も、新しい企業の支えになる強力なリソースの数々を提供していくであろうと考えています。つまり、リモートワークや新しい仕事形態の推進要因は大都市にとって不利益なものではなく、資本や人材へのアクセスを促進し、地域のディールフローを拡大させるものだと考えているのです。

TC:御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス行動の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはどこですか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような前例のない時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

このパンデミックの影響を受けやすい業界(旅行やホスピタリティなど)もありますが、当社の投資戦略は、エンタープライズ向けのデジタルトランスフォーメーションにAI、ML、データサイエンスを応用しているデータ中心のスタートアップに焦点を当てています。

ビジネス継続性や俊敏性、パフォーマンスへの新型コロナウイルス感染症の当面の影響により、データ駆動型のB2Bスタートアップにとってはエンタープライズを対象にビジネスを展開するうえでの視野が広がっています。企業は「ニューノーマル」をリードすることによって、それぞれの業界においてイノベーションを応用もしくは推進することが可能になるでしょう。

TC:新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。御社が投資するスタートアップ創業者の最大の悩みは何ですか。今、御社が投資するスタートアップにアドバイスをお願いします。

私たちの投資戦略は変わっていません。むしろ、私たちの信念が正しいということ、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させるデータスタック全体において、革新的なソリューションで業界に挑むチームや企業に焦点を当てていることが正しいということを、このような時代が証明してくれています。

投資先企業の当面の優先事項は、当社および共同投資家と協力することで、堅固なランウェイを確保し、影響を受けにくい業界や長い販売サイクルにフォーカスするために市場進出戦略を迅速に調整することでした。また全般的には、優先順位の見直しと今後の不確実な時期に備えた計画や準備を行うことでした。幸いなことに、今年は投資先企業の大部分が成長して、全体のバランスは現在プラスになっています。

TC:御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

はい。これまでのところ、投資先企業すべてが当初の予想を上回るパフォーマンスでこの課題に適応し、それを克服しており(前年同期比で大幅に成長している企業もある)、B2B、クラウド、データ中心のスタートアップは、他分野のスタートアップより回復力があり、需要が高いことを証明しています。

TC:この1か月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

これまでの不況時と同様、困難をチャンスに変え、ベンチャーを立ち上げて現状に挑戦し、より良い未来を築いていく気概に満ちた新世代の起業家たちの大胆さと決意を目の当たりにすると、いつも元気づけられますし、励みになります。

このような時代にもかかわらず、ここ数か月の間、私たちは幸いにも、使命感を持った創業者や投資家がますます増えていることや、活気ある技術系大学や研究機関の勢いを通して、長期的な展望を描くことができました。

このパンデミックに適応し、それを克服するために、決意をもって団結して行動していけば、起業の気運は、未来への希望を与えられるほどの強さを持つことになると信じています。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:インタビュー

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(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。