新型コロナ後のリモート採用をサポートするDeelが約168億円調達、2020年に20倍成長しユニコーンへ

世界の組織の多くが新型コロナウイルスパンデミックのためにリモートワークにシフトした。しかし人々がワクチンを接種し、オフィスが再開を計画していても、一部の組織ではリモートワークがしばらく続くのは明らかだ。

事業者がリモート雇用するのをサポートしようと、給料支払いやコンプライアンスのツール、その他のサービスを提供しているスタートアップDeel(ディール)はこのシフトの結果、需要増に直面した。

そして米国時間4月21日、サンフランシスコ拠点の同社はYC Continuity Fundと既存投資家のAndreessen Horowitz、Spark CapitalがリードしたシリーズCラウンドで1億5600万ドル(約168億円)を調達したと発表した。UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏、Stripeの元決済リーダーLachy Groom(レイシー・グルーム)氏、Jeffrey Katzenberg(ジェフリー・カッツェンバーグ)氏、Jeff Wilke(ジェフ・ウィルケ)氏、Anthony Schiller(アンソニー・シラー)氏も参加した。

この資金調達はいくつかの理由で注目に値する。まず、DeelがシリーズBで3000万ドル(約32億円)を調達してまだ7カ月しか経っていないことだ。シリーズCはシリーズBの5倍超だ。また、創業3年のDeelを12億5000万ドル(約1349億円)という評価額でユニコーン企業に押し上げた点でも大きなディールだ。同社が7カ月前にはポストマネーで2億2500万ドル(約243億円)という評価額だったことを考えるとなおさら意義がある。また今回の資金調達は、Deelが前年に大きく成長したことに続くものだ。現在1800超の顧客企業を抱え、2020年の売上高は20倍超となった、と同社は話す。前回資金調達した2020年9月時点の顧客企業は500社だった。

MIT(マサチューセッツ工科大学)の卒業生であるAlex Bouaziz(アレックス・ブアジズ)氏とShuo Wan(シュオ・ワン)氏が共同で創業したDeelは事業者が「規則などに沿った方法で誰でも、どこでも採用」できるようにすることを目指している。同社のサービスを使うと事業者は国外の社員あるいは契約社員を5分もせずに採用できる、という。現地企業を要することなく、そしてクリックするだけで120超の通貨で社員に給与を支払うこともできるという。

Deelは新たに調達した資金を海外展開の継続と、新規のDeel所有する事業体80社を世界中に設置するのに使う。同社はまた、自社の採用とプロダクトの拡大も計画している。Deelのチームは完全にリモートで、2020年1月以来、従業員は7人から26カ国にまたがる120人に増えた。CB Insightsは、Deelのようなテクノロジープラットフォームが事業者のリモート第一の働き方へのトランジッションをサポートするなかで、バーチャルHRソフトウェア産業は2026年までに430億ドル(約4兆6443億円)に成長すると予想している。

資金調達の一環としてDeelの役員メンバーに加わったYC ContinuityのAli Rowghani(アリ・ロウガニ)氏は、Deelがすでにパンデミック前にリモートワークの先頭に立っていたと考えている。

「人々の働き方は根本的に変わりつつあります。Deelのチームは企業が最も近いロケーションにいる人ではなく世界で最も優秀な人材を採用できるよう、リモートワークの障害を独自のやり方でなくします」と同氏は声明で述べた。

TechCrunchが以前報じたように、Deelはすでに給与支払いサービスや税務コンプライアンス情報、契約アシスト、インボイス発行サービス、健康や就業に関連する他のエリアをカバーする各種保険など、さまざまなツールを雇用主や組織に提供している。

そして今、労働者と雇用主向けにさらにサービスを拡大する計画だ。ここには、給料に基づく労働者のためのローン、保険や福利厚生のオプションなどが含まれる。

カテゴリー:HRテック
タグ:Deel資金調達ユニコーン

画像クレジット:Cattallina / Shutterstock

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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