新型コロナ需要で好調の在宅フィットネスTempoがソフトバンクなどから240億円調達

2020年、パンデミックによって人々が家に閉じこもることを余儀なくされたとき、ジム通いをしていた多くの人が有酸素運動と筋力アップのトレーニングの欠如を埋めようと在宅フィットネスメーカーに目を向けた。

そうした需要に対応しようと、Moawia Eldeeb(モアーウィア・エルディーブ)氏とJosh Augustin(ジョッシュ・オーガスティン)氏が5年前に創業したフィットネススタートアップTempo(テンポ)はソフトバンクがリードした2億2000万ドル(約240億円)のシリーズCラウンドをクローズした。Tempoは調達した資金でサプライチェーンを補強し、増大する消費者の需要に対応し、またR&Dやコンテンツなどの取り組みも促進する。同ラウンドにはBling Capital、DCM、General Catalyst、Norwest Venture Partners、Steadfast Capital Venturesなどが参加した。

Tempoが2020年2月に発売した自立型キャビネットには42インチのタッチスクリーンがある。絶えずスキャンし、運動するユーザーを追跡してコーチする3Dモーショントラッキングカメラを備える。

同社は現在3種のハードウェアパッケージを販売している。価格は2495ドル(約27万円)からで、バーベルやダンベル、折り畳み式ベンチ、ケトルベルシステム、スクワットラック、運動マット、リカバリー用フォームローラー、心拍モニターなどのアクセサリーから選べる。ユーザーはまた、オンデマンドとライブのクラスに参加するのに月額39ドル(約4250円)のサブスク料金を払う。

  1. Tempo1

  2. Tempo2

  3. Tempo3

  4. Tempo4

  5. Tempo5

  6. Tempo6

 

Tempoのコンセプトは、エルディーブ氏とオーガスティン氏がSmartSpotを開発した2015年に生まれた。SmartSpotは、トレーニング中にトレーナーがクライアントのフォームを分析して改善するのをサポートする、ジムに販売していたコンピュータービジョンの拡張スマートスクリーンだ。SmartSpotが生成・収集したデータの山を活用して、エルディーブ氏とオーガスティン氏はフィットネスユーザーの最も共通する動きのエラーを特定し、各ユーザーにユニークなレコメンデーションを提供するのに機械学習を使ったプログラムを開発した。このプログラムがTempoの基礎の一部となった。

「私はかつてパーソナルトレーナーだったのですが、1時間あたり150ドル(約1万6000円)の料金だったと覚えています」とエルディーブ氏は説明する。「より良いエクスペリエンスを作り、多くの人にかなり安価で提供したいのです。つまり、それを可能にするコアなテクノロジーに引き続き投資することを意味します」。

Tempoのサービス開始はかなり良いタイミングだった。パンデミックで在宅フィットネスソリューションに対する需要は空前の勢いだった。2020年初めにプレオーダー受付を始めて以来、売り上げは1000%増となり、納入は現在5〜7週遅れている。納入遅れはPeloton、Tonal、Echelonといった他のホームフィットネス企業も直面している問題だ。Tempoによると、同社のユーザーはこれまでに合計500万回のトレーニングを行い、4万時間をデバイスを使ったトレーニングに費やした。

「サプライチェーンは確かに問題です」とエルディーブ氏は認め、2020年に工場が一時閉鎖したりオペレーションが削減したりしたことによる生産面での問題を指摘した。「我々が大量生産するのは初めてのことで、立ち上げる前はプロダクトを少量生産していました。しかしマーケット展開した初年に当社はすべての問題を解決しなければならず、これまでに注文を受けたかなりの量のプロダクトをいまだに出荷しています。工場の従業員に安全でいて欲しかったため、基本的に当社は販売を減らさなければなりませんでした」。

事業拡大の機会は巨大だ。グローバルマーケットは2025年までに294億ドル(約3兆2062億円)に到達すると予想されている。エルディーブ氏は新たな資金でロジスティックとサプライチェーン、従業員を増やす。そして、ヨガやボクシングクラスを2021年後半に提供するためにコンテンツを拡大する計画でもって急増する需要に対応したいと考えている。

米国ではワクチン接種が着実に進み、それにともないジムが再開する中で、人々が在宅フィットネストレーニングに今後も執着するかどうかは大きな疑問だ。元のジム通いに戻るのか、あるいは両方を組み合わせたハイブリッドモデルを受け入れるのか。エルディーブ氏は、2021年初めに発表されたThe New ConsumerのConsumer Trendsレポートを指摘し、人々が在宅トレーニングに慣れるほど、その利便性を手放さないと確信している。レポートでは、40歳以下の人の81%が自宅でのエクササイズを好むことが示された。

もしそうなら、Tempoのような企業は在宅フィットネスへのシフトの恩恵を引き続き受けることになる。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Tempoフィットネス資金調達ソフトバンクグループ

画像クレジット:Tempo

原文へ

(文:JP Mangalindan、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。