既存のGoogle Mapsのアクセスではなく自由にカスタム地図を作れるMaps Engine APIがまず有料の企業ユーザに公開–将来は一般公開も

GoogleのMaps Engineは、主に企業が自分のデータに基づいて独自の地図を作るためのサービスで、二年前にローンチされ昨年から商用化された。今日(米国時間6/5)Googleはこのプラットホームの機能をなお一層増強すべく、Maps EngineのAPIを立ち上げた。これによりデベロッパは、独自データを使った独自の地図作りを、Maps Engineサービス上ではなく自己のアプリケーション内で行えるようになる。APIの提供に踏み切った理由をGoogleは、企業がアプリケーション内の地図作成提供機能としてGoogle Mapsよりも高度な、自己データに基づくものを要望しているからだ、と説明した。たとえば(静的なGoogle Mapsとは違って)、社員や顧客からのデータや情報を生かした地図の作成提供も可能になるのだ。

GoogleにはすでにMaps APIがあるじゃないか、と思われた方もおられると思うが、しかしMaps Engine APIのプロダクトマネージャDylan Lorimerによると、Maps APIでは主に、Google自身の地図コンテンツにアクセスできるだけである。それに対し、Maps Engine APIを使うと独自のデータを使ったカスタム地図を作れる(例: 上図)。なお、そのシステムにはGoogleの分散グローバルGPSデータベースSpannerが使われている。

このAPIはこれまで“実験段階”とされていたが、これを使うことにより、アプリケーションからの入力データ〜読み取りデータによって地図〜地図上の情報も変わる、という部分をデベロッパが容易にプログラミングできる。顧客のブランドのブランドイメージやニーズに即した地図も作れるし、またその地図をほかのデベロッパと共有することもできる。

たとえばFedExはこのAPIをしばらく試用していたが、今では同社の位置情報サービスstore locatorが完全にこれで動いている。 FedExのITマネージャPat Doyleによると、Maps Engineの利用に完全に切り換えたのは今年の1月からである。

テスターとしてのFedExからのフィードバックも、Maps Engine APIに反映されている。たとえば、指定した位置に関する結果(お店の所在など)をサーバサイドでソートするより容易な方法、などだ。このAPIを利用することによってFedExは、タッチインタフェイスの地図上の50000あまりの小売店の、営業時間のアップデートを、15分おきにできるようになった(営業時間だけでなく、一つのお店に約150項目のデータがある)。たとえば停電や天災などで急な閉店になっても、そのことがユーザにはすぐに分かるのだ。

Doyleによると、システムの信頼度は今のところ100%である。そして、アクセス分析データによると、store locatorを使ってお店を見つける人が、前よりも増えている。FedExの用例については、このビデオが参考になるだろう。

APIはまだ、Maps Engineサービスのごく一部の機能しかサポートしていない。ベーシックな場所クェリやベクタデータの操作などだ。近い将来、APIの拡張を行う、とGoogleのチームは言っている。またLorimerは、高価な企業向けのMaps Engineアカウントを持っていない一般のデベロッパでも、このようなAPIを利用できるようにしたい、これは自分個人の考えではなくGoogle自身の関心事だ、と力説した。この件に関しGoogleからの公式発表はまだないが、いずれある、と考えて間違いないだろう。


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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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