日本の抹茶とアメリカのミレニアル世代を繋ぐWorld Matcha

「僕はアメリカで抹茶の可能性を試したい。コーヒーの代わりとして次のエナジードリンクになる可能性が抹茶にはあるものの、現状ではまだカフェでしか飲まれていない状態だ」

そう話すのは、World Matchaの創業者でCEOを務める塚田英次郎氏。同社は抹茶の飲用機会を世界に広めることを目指し、現在、アメリカで挑戦している。

スタンフォード大学を卒業し、長年サントリーに勤めながら日本とカリフォルニアを行き来したという塚田氏は、心や身体の健康意識の高いアメリカの“ミレニアル世代”と日本が誇る“抹茶文化”は非常に相性が良いと確信し、彼らの「より健康的でよりサステイナブルな生き方をサポート」するべく、抹茶を誰でも簡単に自宅やオフィスなどで楽しめるようにするソリューションの「Cuzen Matcha」を開発している。

Cuzen Matchaはハードウェアの「Matcha Maker」と専用の碾茶(抹茶をひく前の茶葉)「Matcha Leaf」から成り、挽きたての“抹茶の濃い液体”である「Matcha-presso」が作られる。このMatcha-pressoはストレートで飲むことも可能だが、World Matchaではミルクにかけて抹茶ラテにしたり、炭酸水と割って味わうことも推奨している。

World Matchaの設立は2019年1月。それ以前、塚田氏はサンフランシスコのミッション地区に店舗を構える抹茶のカフェ「Stonemill Matcha」を立ち上げ、1日に700杯くらいの抹茶のドリンクが飲まれるほどの「大ヒット」を経験した。

塚田氏いわく、抹茶はアメリカでも「飲み物としての市民権は得られている」。だが、まだカフェなど“外”で飲むものとして認識されており、「なかなか家やオフィスには来ていない」(塚田氏)

そもそも、「Stonemill Matchaは抹茶の飲用を家庭やオフィスに広げていくために、ある意味では、旗艦店として展開していた」と塚田氏は言う。「だが、残念ながら、(抹茶の)粉が凄く売れたかというと、そういうわけではない」(塚田氏)

抹茶の粉が売れないのは“使い勝手の悪さ”も1つの原因だった。そのため、碾茶を使った美味しい抹茶がマシンを使い簡単に楽しめるCuzen Matchaを開発するに至った。

World Matchaは1月6日、毎年ラスベガスで開催されている家電展示会のCESにて、Cuzen Matchaが「CES 2020 Innovation Awards Honoree (イノベーション賞)」を受賞したことを発表。この賞は、デザインや機能性が優れているプロダクトに与えられる。

Cuzen MatchaはCESの前夜祭「CES Unveiled Las Vegas 2020」にて初公開され、1月7日から10日のCES開催期間中、展示されている。そして同プロダクトのプレオーダーも本日、開始した。

プレオーダーではマシンと茶葉をセットで販売している。サブスクリプションでの販売を行うかは未定だが、塚田氏は「碾茶は茶農家とお茶屋さんの間で取引されているため、基本的に流通していない。従って、僕らがきちんとブランドを作れば、僕らから買い続けてもらえる素材に成り得る」と言う。そしてBtoCもしくはBtoB、どちらを主軸としていくかは今後決めていく方針だ。

World Matchaは2019年12月には、プレシードラウンドで、総勢25もの匿名の投資家から約1億円を調達したことを発表した。

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TechCrunch Japan

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