日本の楽天、ロジスティックスのWebgistixを買収―アメリカでAmazon Primeなみのサービス提供へ

日本の巨大eコマース企業、楽天はアメリカの有力なロジスティクス・サービス、Webgistixを買収する。同社はeコマース業者に対して商品の保管、受注、発送などを代行するいわゆるフルフィルメント・サービスを提供している。楽天にとってWebgistixは日本国外でのロジスティクス関連の買収としては2件目になる。買収金額等の詳細は明らかになっていない。

Webgistixは2001年に創立された。提供するサービスは受注処理から在庫管理、配送の最適化までeコマースのロジスティックス全般に及ぶ。同社はアメリカ国内に戦略的に配置された独自のフルフィルメント・センターのネットワークを構築しており、アメリカのeコマースの顧客の98%に対して1-2日で配送を実行することができる。

一言でいえば、WebgistixはアメリカにおけるAmazon Primeに対する楽天の回答だ。Webgistixは利益をあげており、過去に1度だけ外部資金を調達している(金額は不明)。

楽天はウェブとモバイルでさまざまなサービスを提供しているが、メインとなるのは日本最大のオンライン通販サービス、楽天市場だ。楽天は売上高で世界最大のeコマース企業の一つであり、アメリカを含む20カ国で活動している。

ここ数年、同社はいくつかの興味あるM&Aと投資を実施してきた。イギリスのPlay.com、Buy.com(現在Rakuten.com)、Kobo、そして今年はGrommetを買収している。昨年、楽天はPinterestの1億ドルの資金調達ラウンドのリーダーを務めた。

ロジスティクスとフルフィルメントのインフラを構築するのはeコマース企業にとってきわめて優先度が高い。2012年8月、楽天物流は楽天市場の出店者向けに「楽天スーパーロジスティクス」の提供を開始した。これは受注処理、商品仕入れ、在庫管理、梱包、出荷、顧客サポート、さらには販促活動まで提供する総合的なフルフィルメント・サービスだ。2012年11月に楽天は倉庫のオートメーション・システムを提供するフランスの企業、Alpha Direct Servicesを買収し、ヨーロッパと日本でのロジスティクスの機能強化を図った。

楽天の三木谷浩史会長は「アメリカのRakuten.comの出店企業に対し、今後はWebgistixが倉庫の管理とフルフィルメント・サービス全般を提供していく。われわれの目標は出店者が世界のどこにでも商品を配送できるようなネットワークの構築だ。出店者に最大限の能力を与えることを楽天は重視している。だから楽天市場では出店企業が自社のページを自由にカスタマイズできる。次に強化を必要とする部分はロジスティクスだと考えている」と語った。

Webgistixのファウンダー、CEOのJoseph DiSorboは「われわれはアメリカ全土に2日以内に配送を実施できる。このサービスはAmazon Primeの直接のライバルだ。われわれが参加することによってRakutenのプラットフォームはAmazon Primeに匹敵する能力を獲得することになる。Amazonが強力な競争相手であることは確かだが、世界市場を考えた場合、まだ勝敗は決まっていない。楽天はAmazonとは異るアプローチで出店企業にメリットを与える」と述べた。

三木谷浩史率いる楽天がAmazonと互角に戦えるかどうか、今後に注目だ。しかし楽天がアメリカでの市場シェアとテクノロジーを獲得することにアグレッシブであるのは確かだ。昨年の楽天の売上は50億ドルでモバイル分野での成長も目覚ましい。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


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TechCrunch Japan

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