日本人創業の居住シェアリングのAnyplaceが約2.7億円を調達

家具付きのアパート、ホテルの一室を短期間シェアリングする新しい賃貸システムを提供するスタートアップ、 AnyPlaceが250万ドル(約2億7000万円)のシード資金の調達に成功したことを発表した。

共同ファウンダー、CEOのスティーブこと内藤聡氏は自身のニーズからこのスタートアップを創立した。内藤氏は町から町へ数ヶ月ごとに引っ越しするのが好きだという。

「自分のために作った会社です。長期間の賃借契約に縛られるのが嫌いなんです。ただし部屋を借りたらWi-Fiやひと通りの家具は部屋に備わっていてほしい」と内藤氏はいう。「簡単に契約できて設備も整っている」理想の部屋はホテルだ。もちろんホテルに住み込むのは内藤氏の専売特許ではない。実は2006年には私もジャーナリストになるための夏のインターンの仕事をする間、ホテルに泊まっていた。

Anyplaceはホテルや家具付きアパートの部屋を月単位で住居として利用するためのオンライン・マーケットとしてスタートした。ホテルの部屋は高いが、Anyplaceを通じて借りると1日単位の料金に比べて、30%から50%も割引となる。今朝Anyplaceのサイトをチェックしてみたが、ニューヨークでの月あたり料金は1331ドル(14万3773円)から4157(44万9034円)ドルだった。Airbnbなどと対抗しなければならないホテルや家具付きアパートにとってAnyplaceは安定した収入を確保する格好のサービスとなっている。

Anyplace App

ビジネスモデルとしては従来の家具付きアパート賃貸業やWeLiveのようなルームシェアリングと似ているが、内藤氏は「Anyplace自身は不動産を一切所有せず、オンライン・マーケットプレイスのサービスのみを提供する。つまりホテルや家具付きアパート、ルームシェアリング・サービスなどの企業と提携して顧客を送り込む手助けをします」と説明する。

Anyplaceは貸出し、料金支払などの手続きを代行し、10%の手数料を得る。また借り手のバックグラウンド調査を行い、不動産所有者側のリスクを軽減する。内藤氏は立ち退きに関するコストを最大1万ドルまでカバーする保険も提供する計画だ。

また常連の借り手に対し「ノーマッド・ロイヤルティー」という特典を提供する。これは航空機チケットの割引や新しい地域に引っ越したときに友だちを見つける手助けができるオンライン・コミュニティーへの参加などが含まれる。

「ありきたりの退屈な不動産業者になるつもりはありません。われわれのマーケットプレイスが提供したいのは単なる居住スペースではなく、住みたいところに住む自由なのです」と内藤氏はいう。

内藤氏に取材したところでは、現在100人ぐらいがこのサービスを利用しているという。昨年の賃貸手数料収入は130万ドル(約1億4000万円)前後だった。

「デジタル・ノーマッドというのはとても響きのいいフレーズだが現実ににはかなりニッチな市場」だという。そこでAnyplaceは長期の出張やインターンの仕事など誰であれ短期の住居を必要とする人々のニーズに答えていこうと考えている。

Anyplaceに対して著名なエンジェル投資家のジェイソン・カラカニス氏をはじめ、FundersClub、UpHonest Capital、East Ventures、Global Brain、本田圭佑、笠原健治、家入一真、Bora Uygunらの諸氏がシード資金を投資している。

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滑川海彦@Facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

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